クリミアに到着した。
初めて来たけれど、全体としては何だかレトロな雰囲気だ。レンガ造りの家が多くあり、どの家にも煙突が付いている。リッドの話ではパンが有名だそうだ。
言われてみれば、そこかしこから美味しそうな香ばしい薫りがしている。
『ここから、少し歩くとクリミア山がある。ここは家を見たら分かるように、赤土がよく採れるんだ。ここのドワーフは土の守り神。』
『へぇ~。土地土地で違いがあるのはとても面白いね。ここのドワーフも、リッドみたいに名前を呼ぶとき語尾に“っち”を付けるのかい。』
『それは俺っちだけさ。何だ、バカにしてんのか!リトスっちは。』
『ははは。いやいや。そういうんじゃないよ。ただ、小説だと何かあった方が誰が喋ってるかが分かりやすくていいなと思ってさ。』
『そのちょいちょい挟む作者目線止めろよ!冷めるわ~、コイツ空気読めないな~。絶対友達になりたくないタイプだよ。』
『友達じゃなくて、仲間なら問題ナイだろう。さ、無駄話してないで、行こうよ。』
『バッサリだよね。リトスっちってさ、バッサリだよね!!』
町を出てしばらく進むと、山が見えた。と言っても、そこまで高くはない。緑より土の赤茶色が目立つ、少し荒涼とした雰囲気だ。
この辺かな?と言って、リッドは地面に耳を当てた。うん、そうだ。と、次はその地面に手を当てて、呪文を唱え始めた。
『ラヒークラヒークドワ。ラヒークビラト。』
すると、地面に裂け目が出来、そこから下へ続く階段が現れた。真っ暗で何も見えないが、だいぶ下まで延びているようだった。
『さ、行こう。ここには俺っちの従兄弟っちがいるんだ。ゴレムっちっていうんだけど。見た目はちょっとゴツいけど、気の優しいヤツだから、大丈夫。』
『うん。ドキドキするな。何だか旅というより冒険みたいだ。昔読んだ本を思い出すよ。異世界のお話を。』
『事実は小説より奇なりってね。百聞は一見に如かず。まずはゴレムっちから情報集めだ。』
持ってきたランプに火を点け、階段を下っていく。冷たい空気が頬を撫でた。雨上がりの原っぱのような匂いがしている。
階段は土で出来ていて湿気を含んで柔らかく、うっかりすると滑りそうだった。
慎重に降りていく。途中何度か分かれ道があった。きっとドワーフ達の生活道路として使われているんだろう。
リッドは慣れた足取りで、迷わず進んでいく。そして15分ほど歩いた頃、木の扉があるフロアに出た。
リッドが先程と同じ呪文を唱える。するとカチャッという音とともに、二枚の扉が奥に開いた。