虹の生まれた場所9 | 楽々主義

楽々主義

徒然なる日々

ひとまず、隣町に着いた。
食料などを調達し、船着き場へ向かう。

『う~ん、虹の橋か。本当なら行きたくはナイ場所なんだけどね。』
リッドは浮かない顔をしてそう言った。
『そうなのかい。虹が地面から続いているなんて、とても不思議なことだろう。興味が湧くと思うんだけれど。』
『それは人間っちにとっての話だろ。俺っちたちの方じゃあ、あの虹の橋が出ると何かとんでもないことが起きるってことになってる。』
『それは、よくないことなの。』
『一概に悪いことだとは言えないみたいだけど。まぁ、色々立場があるからな。人間っちは、虹を光の仕業だって言ってるんだろ。でもさ、本当はあれは違うんだぜ。』
『え、どういうことなの。』
『ドワーフみたいなのって、実はそこらじゅうにいるんだよ。あれは水の聖霊っちが、その地に降り立ったことを意味してる。』
『それって、何か意味があるの。』
『この星にとって、水は命の源だ。そして、水は雨だったり、川だったり海だったりする。時には恩恵をもたらすし、時には災害になって牙をむく。つまりさ、水の聖霊は俺っちたちみたいな妖精とは、訳が違う。もうそれは人間っちの言うところの神といってもいい。』
『なるほど。そういうことか。』
『普通、水の聖霊、アクアっちは空に住んでる。でも、時々地上にやってくるのさ。まぁ、目的はその時によって色々なんだけど。で、そのアクアっちが地上に降りてくる為に使うのが、虹ってわけさ。』
『生命の源、命を司る聖霊、か。本当にお伽噺だな。虹の橋が今色々なところで噂になってるってことは、アクアがやってきているってことなのか。』
『父ちゃんの話だと、今回降りてくるのは事前予告なし、異例のことらしいぜ。だからさ、世界中の精霊や妖精たちは、今慌てふためいてる。』
『リッドと話しているし、何より過去に森で体験したことがあるから、今は自然と受け入れているけど、妖精や精霊がいるなんて、信じられないよ。いや、夢があっていいんだけれど。』
『俺っちたちは、普段形を変えているからな。木だったり、葉っぱや花だったり。』

そうこうしている内に、船着き場に着いた。船に乗るのは久しぶりだ。とても、ワクワクしている。
船では、リッドの話を聞いた。
森のこと。家族のこと。
それすらも初めてのことだから、とても新鮮で、一晩中聞いていた。