Episode14 拓けた夢の未来
もうね、この題名見ただけで何となくこうなるんだろうな……。て感じがひしひし(笑)
とにかくお話を読んでいきたいと思いますー。
A 不覚……
B もう朝だなんて
C 寝ちゃうなんて (80)
A 考える (40)
B 夏輝に聞く
C 春に聞く
A 分かりました
B 約束します
C 嬉しいです (40)
誰かに頭を撫でられたような気がして、私は目を覚ました。
「ん……」
(なんだろう……?すごく気持ちいい……)
開きかけた目を閉じる。
そのまま気持のよさに揺られていたいけど、ふと昨夜のことを思い出した。
(夏輝さんが前の恋人の話をしてくれて……寄りかかってきた夏輝さんが寝ちゃって……気付いたら私も寝ちゃってて……あれ?
夏輝さんが寄りかかっていたはず……だけどこの態勢ってもしかして……)
誰かに寄りかかっている自分に気付き、はっと目を開く。
「!」
私は慌てて身を起こすと、すぐに夏輝さんから離れた。
夏輝 「おはよう」
「お、おはようございます……」
(って、のんきに挨拶してる場合じゃない!)
「すみません!」
夏輝さんに慌てて謝る。
「私……夏輝さんに寄りかかって寝ちゃったみたいで……
重かったですよね……?」
夏輝 「全然?」
夏輝さんはクスッと笑った。
夏輝 「○○ちゃんが寄り添ってくれてたから、暖かかったよ」
そう言って微笑む夏輝さんは、昨日の冷たい夏輝さんからは想像できないほど優しい。
(元の夏輝さんだ……)
夏輝さんの笑顔を見て、ほっと胸を撫で下ろす。
「それにしても…… 寝ちゃうなんて」
夏輝 「寝顔、かわいかったよ」
「っ!」
夏輝さんの言葉で、かっと顔が赤くなる。
(そうだ……寝顔見られてたんだ……)
「お恥ずかしいところをお見せして……」
私は恥ずかしさのあまり、俯いてしまう。
夏輝 「大丈夫。すごく癒されたから」
「そ、それは良かったです……」
夏輝 「本当だからね?」
夏輝さんは私の顎に手をかけると、クイッと上を向かせた。
そしてすぐに手を離す。
夏輝 「それに、こんなにぐっすり眠れたのは久しぶりかもしれない」
「え……?」
(夏輝さん、ちゃんと眠れてなかったんだ……)
夏輝さんは、少しもそんなそぶりを見せなかった。
夏輝 「ありがとう」
「はい!」
夏輝さんの笑顔が嬉しくて、私は元気良く返事した。
夏輝 「今日からライブか…… ○○ちゃんは明日だっけ?」
「はい。JADEは2日とも出るんですよね。 頑張ってくださいね」
夏輝 「うん、ありがとう」
眩しい朝の光に包まれながら、私たちはそんな会話をしながら穏やかな時間を過ごす。
そして、私はそれに注がれている視線にも気付かずにいた。
夜になって野外ライブが始まった。
今は、出演前のJADEの楽屋に挨拶に来ている。
(初日大トリなんて、さすがJADEだなぁ……)
そんな事を思いながら、JADEのメンバーに挨拶をした。
冬馬 「○○ちゃんに応援してもらえれば百人力だね」
秋羅 「お前の場合、百万 『馬』 力じゃないのか?」
冬馬 「どっちでもいい。要は力が出るってことだ」
冬馬さんは珍しく、秋羅さんの突込みを受け流す。
(やっぱり大舞台の時は真剣なんだなぁ)
私はそう思っていた。
秋羅 「まあ、頑張れ。百万 『馬』 馬力」
冬馬 「……ちょっと待て。今、なんか余計なものがつかなかったか?」
秋羅 「気のせいだろ」
冬馬 「気のせいじゃないだろ」
結局、秋羅さんと冬馬さんはいつものようなやり取りをし始めてしまう。
(でも……この状況でこの余裕はさすがだな……)
私は妙なところで感心してしまった。
スタッフ 「JADEさん、スタンバイお願いします」
スタッフの声がかかると、集中していた神堂さんが立ち上がる。
春 「行くか……」
秋羅 「じゃあね、○○ちゃん」
冬馬 「○○ちゃん、応援ありがとう」
「頑張ってください」
次々と楽屋を出て行くメンバーに、私は声をかけた。
(あれ?夏輝さん、どうしたんだろう)
最後まで控室にいた夏輝さんが、なかなか出て行こうとしないことに気付く。
私が首を傾げていると、夏輝さんの頭がふわりと私の肩に乗った。
「え……」
私の胸がドキンと音を立てる。
夏輝 「ちょっとだけ……いい?」
「は、はい……」
私はドキドキしながらそのまま硬直してしまう。
そしてふと気付く。
(あ……そうだ。夏輝さんあの報道の後、初めて人前に出るんだ……)
もしかして夏輝さんも不安なのかもしれない。
私は夏輝さんに向かって手を伸ばすと、髪にそっと触れた。
「私はいつだって、夏輝さんを見てますから」
夏輝 「うん」
夏輝さんの頭をそっと撫でる。
「私は、夏輝さんの一番のファンです」
夏輝 「うん」
囁くたびに、夏輝さんは子供の用に素直な返事を返す。
「たとえば世界中の全てがひっくり返っても、私は夏輝さんの演奏を見てます」
夏輝 「○○ちゃん……それ大げさすぎ」
夏輝さんがクスッと笑った。
その拍子に、夏輝さんの吐息が私の首筋にかかる。
くすぐったくて、そこから体が火照っていくような気がした。
「大げさじゃないですよ?本当にそう思ってますから」
夏輝 「……心強いね
誰の言葉より、○○ちゃんの言葉は俺に響くよ」
「夏輝さん……」
やがて夏輝さんがゆっくりと顔を上げた。
夏輝 「ありがとう。行ってきます」
夏輝さんはふわりと笑うと、控室を出て行く。
私はその笑顔に見惚れてしまって、しばらくその場を動けずにいた。
そのまま呆然としていたけど、やがてはっと気づく。
「あ!JADEのライブ始まっちゃう!」
私は慌てて控室を後にした。
会場後方にある関係者席に私は慌てて駆け込んだ。
(ぎりぎり間に合ったかな……)
呼吸を整えていると、JADEのメンバーが姿を現す。
その瞬間、歓声が沸き起こった。
(夏輝さん大丈夫かな……)
私は自分の時以上に緊張してしまう。
やがてギターが小さく音を立てた。
それを合図に一斉に演奏が始まる。
(音……ちゃんと出てる)
夏輝さんはとても楽しそうに演奏していた。
報道のことなど吹き飛ばすかのようなパワフルなステージ。
観客だけでなく、スタッフや他の出演者までも魅了していく。
(リハーサルの時とは全然ちがう……!)
私はJADEのステージに夢中になっていた。
そして演奏が終わると、私は立ち上がって手を叩く。
すると、隣に座っていた強面の男性がじろりと私を睨んだ。
「あ……」
はっと我に返った私は、急に恥ずかしくなって椅子に座る。
会場にはアンコールの声が降り注ぎ、私も心の中でアンコールを叫ぶ。
こうしてJADEのステージは大成功に終わった。
ライブが終わりホテルに戻る前に、私はJADEの控室に挨拶に来ていた。
「すごく良かったです!会場も大盛り上がりでしたよ」
興奮気味に話すと、JADEのメンバーも嬉しそうにしてくれた。
秋羅 「今日の客はノリが良かったな」
冬馬 「俺、スティック飛ばしたんだけど、○○ちゃんに届いた?」
「いえ、私は関係者席にいたので……」
冬馬 「ああ、そうか。関係者席って後ろの方だっけ」
「はい。でもその分、全体がよく見えましたよ。 会場が一体になってる様子とか……」
秋羅 「○○ちゃんにそこまで言ってもらえると嬉しいね」
夏輝 「明日は○○ちゃんの出番でしょ」
「はい、そうです」
夏輝 「楽しみにしてるね」
「ありがとうございます!」
(JADEのようにとまではいかないだろうけど、あんな風に会場を盛り上げたい
明日のステージ楽しみになってきた……!)
私は密かに気合いを入れる。
冬馬 「はい、そこ。2人の世界を作らない」
突然、ズイッと冬馬さんが私と夏輝さんの間に割り込んできた。
夏輝 「え?いや別にそんなつもりは……」
秋羅 「無いとは言わせないよ」
秋羅さんと冬馬さんが夏輝さんに絡み始める。
(どうしよう……もうそろそろ帰った方がいいのかな)
そんな事を思っていると、ふと神堂さんと目が合った。
春 「ありがとう」
「え……?」
神堂さんが僅かに微笑んだので、私は驚いてしまう。
だけど神堂さんはすぐに目を逸らすと、静かにペットボトルの水に口をつける。
(気のせい……じゃないよね?
お礼を言われるようなこと、したかな……?)
首を傾げていると、控室の扉がノックされる音がした。
扉が開かれて、顔を出した人物を見て私は驚く。
(あ!さっき関係者席にいた人だ……)
JADEのライブに感動して拍手をした時、思い切り私を睨んだ人だった。
夏輝 「会沢さん!」
夏輝さんが驚いたように声をあげる。
他のメンバーも同様だった。
神堂さんですら、椅子から立ち上がっている。
(え……?この人……何者?)
私が戸惑っていると、男性はゆっくりとかけていたサングラスを外した。
会沢 「久ぶりだな」
男性がJADEのメンバーに挨拶をする。
その顔を見て私は、はっと気付いた。
(この人……敏腕プロデューサーで有名な……!)
男性は多くのアーティストを手掛け、海外進出まで成功している人物だった。
(10年位前まで現役でバンドをやってて、有名ギタリストだった人だよね……
どうしてそんな人がJADEの楽屋に?
私は、うーんと考える。
いや、JADEほどのバンドなら知り合いでもおかしくない……)
そんなことを考えていると、ふと会沢さんと目が合う。
「あ!すみません、私失礼しますね!」
私は慌ててJADEの控え室を後にした。
会沢は○○の去っていく姿をじっと見つめていた。
会沢 「あの子は?」
夏輝 「○○○○さんです。明日のライブにも出ますよ」
夏輝が答えると、会沢はなるほどと言ったように軽くあごをあげる。
会沢 「……ああ、夏輝が報道された子か」
夏輝 ええ、まあ……」
会沢 「ま、そんなことはどうでもいい。今日は話があってきた」
会沢はJADEのメンバーに向き直った。
会沢 「お前ら……海外に行く気はないか?」
夏輝 「え……?」
夏輝は会沢の言葉に驚きを隠せない。
他のメンバーも同様だ。
会沢 「俺はお前らをニューヨークで挑戦させたいんだ」
会沢の言うことはつまり、JADEを海外でデビューさせたいということだろう。
夏輝 「…………」
夏輝はすぐにこたえる事が出来なかった。
冬馬 「その話、本当なんですか?」
秋羅 「俺たちが海外で……」
春 「ニューヨーク……」
ミュージシャンなら誰もが一度は憧れる夢、それが今、目の前にある。
夏輝は○○に夢を語った時のことを思い出す。
少し前の夏輝なら、冬馬たちのように喜んで話を聞いていただろう。
会沢 「すぐに答えを出せとは言わない
だが、よく考えておいてくれ」
会沢はそういうと去って行った。
JADEの控え室から出た後、私は自動販売機の前にいた。
(興奮したら喉乾いちゃった)
お金を入れた後、自動販売機のボタンをぽんっと押す。
ゴトッと音を立てて落ちてきた飲み物を取ると、私の携帯電話が鳴った。
(夏輝さん?)
私は慌てて電話に出る。
夏輝 『さっきはごめんね』
「いえ、そんな」
(わざわざかけてきてくれるなんて……)
夏輝さんの優しさに心がじんわりと暖かくなっていく。
夏輝 『明日、頑張ろうね』
「はい!」
夏輝 『それと、今日は早く寝ること』
「え……?」
夏輝 『興奮して眠れないと思っても、必ずベッドに横になって休むこと』
「夏輝さん?」
夏輝 『○○ちゃんのことだから、練習とかしちゃいそうだから』
「う……」
夏輝 『約束、ね』
「はい……心配してくれて嬉しいです」
夏輝 『そんなの……当たり前だよ』
「夏輝さん、ありがとうございます……」
夏輝 『いや、今日は俺がありがとうだったし』
夏輝さんの照れたような声が聞こえた。
私は今日のことを思い出して、顔が赤くなってしまう。
(電話で良かった)
夏輝 『それじゃあ、お休み』
「おやすみなさい」
(ふふ……夏輝さん優しいな……)
電話を切った後も、私は1人にやけてしまう。
すると、先ほどJADEの控え室にいた会沢さんがじっと私を見ていることに気付いた。
(わ……会話聞かれてたかな)
会釈して立ち去ろうとすると、声をかけられてしまう。
会沢 「君は折原夏輝と付き合っているのか?」
「……はい」
会沢 「そうか……」
会沢さんは少し考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。
会沢 「あいつを、自由にしてやってくれないか?」
「え?」
自由という言葉の意味が分からずにいると、会沢さんは私にJADEの海外進出を考えているという話を始める。
会沢 「こういうことは時期というものがる。今あいつらがまさにそうだ」
「…………」
(夏輝さんは前に、世界に出てみたいって言ってた……)
私は何も言えず黙り込んでしまう。
会沢 「本当に夏樹のことを好きなら……わかるだろう」
会沢さんはそう言い残し去っていく。
(本当になつきさんのことが好きなら……)
1人残された私は、会沢さんの言葉がいつまでも頭から離れずにいた。
まあ、そうだろうな。と思っていた展開だったー!
きっと主人公ちゃんは離れる選択をするんだろうなー。
でも、なっちゃんが甘えるとか……ちょー可愛いんですけど!!
肩に頭置かれちゃ……卒倒するわ(笑)