○第2外国語選択の理由
第2外国語として何を選択すれば良いか?
下記の理由から話者人口だけで選択するのは早合点かと思います。
○経済的観点
言語価値を表す指標として言語内総生産GLP(=Gross Language Product)(※1)というものがあります。
その名の通り、その言語を話す人の総生産です。
例えばスペイン語は母語人口が多い(21ヶ国、4億5000万人)ですが、経済的にみると、果たしてスペイン語を学ぶ価値があるか?
もっと端的にいえば、スペイン語圏の国で就職して、日本より稼げるか?
スペイン語圏の経済上位国を挙げると、下記のようになります。
スペイン語圏で日本より豊かな生活が出来るのはスペインだけでしょう。
ただし、スペインですら経済危機以降、雇用が悪化しています(2017年 失業率17.7%)(※2)
2位のメキシコのGDPは低くないですが、ほとんどが外資系企業によって創出されている(※3)ため、メキシコの企業に就職しても日本にいるときより稼げるとは思い難いです。
実際、下記の図を見ると、ヨーロッパ圏で人気なのは英語で、次点はフランスとドイツです。
日本より稼げる可能性が大きい言語は、英語、中国語、ドイツ語、フランス語となるでしょう。
※GLPとは?
ソースは1994年と古いですが、英語が圧倒的に価値があることは変わりありません
https://www.nagaitoshiya.com/ja/2009/language-importance-ranking/
(※1)正式には「1年間に各言語の話者によって生み出される全ての最終的な商品とサービスの総市場価格」のこと
あまり有名な指標でないようで、ネット検索しても「話者」「母語者」「公用語」で数値は異なる
(※2)「世界経済のネタ帳」
http://ecodb.net/country/ES/imf_persons.html
(※3)Fortun500を見ると、スペインはそれなりに多いが、メキシコは2社、その他中南米スペイン語圏はランキング外。
とはいえ、ヒスパニックを中心にスペイン語話者は2050年までに倍増するとも言われています。
20年前と比較して中国経済が爆発的に進化したように、今後、スペイン語の需要が高まるのは間違いありません。
上記のランキングも20年後には変わっていることでしょう。
○究極は好みで選択
第2外国語選択で最も重要なのは、その国が好きか否かだと思います。
日本にいるときはスペイン語を猛勉強していたが、実際にスペインに来て見ると、ラテン圏のノリが合わず勉強を断念してしまった。
逆にドイツやフランスは、人々の教育レベルが高く、経済先進国なので、その国に暮らしたいと思い勉強したくなった。
など、色々と説明しましたが、最後は好みによると思います。
◎第2外国語学習
下記、英語・ドイツ語・スペイン語を勉強した私個人の経験と主観です。
○目的に応じる
学習レベルは目的によって異なります。
ドイツ語…移住する気がある。 →私生活から法制度まで隅々に学習。
英語 …ネイティブ並みに話したい。→経済ニュースが読めるレベルまで学習。
スペイン…ビジネスや観光で使うのみ。→簡単な単語のみ。
(参考:ヨーロッパ言語共通参照枠)
A1~C2レベルまであり、C1レベルあればその国で生活しても支障ないレベルです。
○似た言語を利用して学習する
印欧語同士は兄弟なので、先に英語を学習していれば習熟が早い。
-ボキャブラリーが似ている & 直訳できる
例)
ドイツ語⇔日本語の単語帳で学習するより、同じゲルマン語であるドイツ語⇔英語の方がニュアンスが掴みやすい。
-文法が類似している。
例)
接続法(仮定法)は印欧語に共通するルールであり、英語が分かれば理解が早い。
※上記の通り言語的な類似性が大きいため、欧州ではトリリンガルは珍しいことではない。
同様にヨーロッパ人が中国語を勉強するより、漢字を知っている日本人が中国語を勉強する方が楽と言われる。
○楽しく学習する
言語学習で一番大切なのはモチベーション。
まずはその国を好きになること。
机に噛り付く、ニュース、映画、新聞、雑誌、本、実際にその国に行って話す…等、手段は何でもいいです。
○文法
印欧語であれば文法学習はあっさりと。
私の場合、ドイツ語の文法学習は1ヶ月半。
あとは法則より学習量を増やすことに徹しました。
○語彙
会話をする場合、文法は間違ってても伝わりますが、語彙は瞬時に思い浮かばないと伝わりません。
よって語彙が最も重要です。
「書けば覚えるの?」「ひたすら読みまくればいいの?」等、手段は問いません。質より量です。
-単語
単語帳は下記がついているものがおすすめ。
-音声…発音を覚えるため
例文…ニュアンスを覚えるため
性別…男性名詞、女性名詞が明示されているもの
アルファベット順でなくカテゴリ順になってるもの(アルファベット順だと辞書を眺めてる気分になる)
-熟語(構文)
難しい熟語を暗記するのでなく、「動詞+前置詞」のようなコロケーションを覚える。
会話で使うことを前提に覚える。
○検定、資格を利用
個人的主観ですが、英語、ドイツ語、フランス語は検定が豊富かつ整備されており、一方でスペイン語は話者が多い割りに少ないようです。
その他の言語は知りません。
-ドイツ語
ゲーテのドイツ語検定か、独検があります。
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/sta/tok/prf.html
-スペイン語
資格の質・認知度を考えるとDELE一択かと思います
https://examenes.cervantes.es/es/dele/preparar-prueba
-フランス語
「資格って意味ないんじゃないの、要は使えるか否かでしょ」
は尤もな意見ですが、むしろ欧州の方が検定に厳しく、より明確にレベルが定義されています。
○便利ツール
-Google翻訳
印欧語同士であれば文法が類似しているためほぼ直訳が可能。
また1回音読ボタンを押すとナチュラルスピード、2回押すとゆっくり発音してくれるため、リスニングにも使える。
検索結果に類語が出る。
https://translate.google.co.jp/
-東外大言語モジュール
メジャーな言語は網羅されています。
文法が最も整備されていますが、語彙やリスニングもあります。
http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/
-Youtube
教育レベルが高い国はYoutuberのレベルも高いと感じます。
Easy Language
https://www.youtube.com/user/magauchsein
Learn German with Jenny
参考)雑誌
Economist…英語サイトですが、これより高度な英語を使ってるサイトは見たことがありません。
○その他
○印欧語マップ(出展「Metatheory of Linguistics」)
兄弟言語が分かります。
同じロマンス語のイタリア人とスペイン人の会話は、東北人と沖縄人が話すイメージでしょうか。
○ヨーロッパ人は言語能力が高い
一緒に仕事をしてみて、ヨーロッパ人は本当にマルチリンガルが多い。
東京から名古屋に行くノリでドイツからフランスに行けてしまうなど、ビジネスや学校教育で他言語圏と関わりを多く持つ環境から、
英語、フランス語、ドイツ語の3ヶ国語を話せる人が非常に多くいた。
残念ながら日本人の大卒の語学力はヨーロッパの高卒レベルより低く、つまり彼らより能力的に劣っていると見做されてしまう。
こういった危機感が語学を勉強し始めた動機です。
○言語の難易度
英語とスペイン語を例に挙げます。
ヨーロッパ人は難しい表現を好みますが、旧植民地は分かり易い表現を使う傾向があります。
移民、教育レベルの違いから、言語の難易度は国によって異なるようです。
例えばスペイン人の話すスペイン語よりも、中南米で話されるスペイン語の方が簡単です。
活用の多い時制(完了形)を使わず、ほぼ現在形で会話をするためです。
同様に移民の多いアメリカよりも、イギリスの方が難しい表現を好むようです。
例えばアメリカとイギリスの新聞を読み比べると、イギリス人の方が奥ゆかしい文学的な単語を好むように思えます。
※英語など話者人口が多い世界語では、使い難い表現は淘汰される
http://blog.iknow.jp/posts/15118#3
※各言語に必要な語彙数
http://www.streetsmartlanguagelearning.com/2013/02/how-many-words-does-average-native.html
日本語を話すのに必要なボキャブラリー数が鬼畜ですね、言語の壁が高過ぎて他人種を寄せ付けません。
○結局、どうやって勉強すればいいの?
文法を軽く覚える
↓
ボキャブラリーを増やす
↓
あとはひたすら浴び続ける
例えば、日本人が日本語を覚えるとき、テレビや会話など、普段から言葉を浴び続けることで自然に覚えたはずです。
それと同じだと思います。