再婚禁止期間 子が受難 | 離婚後300日問題-民法772条による無戸籍児家族の会

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家族と法(中) 再婚禁止期間 子が受難
無戸籍、社会生活阻む

2015/12/11 日本経済新聞 朝刊クリック!

 生まれて半年の長男にミルクをあげるのはお母さん、お風呂に入れるのはお父さん――。
静岡県内で一つ屋根の下に暮らす一家3人は法律的にはまだ「家族」といえない。
「子供に何か起きたらと思うと不安。1日が長い」。
心配そうな表情で母親が話す。



法律上の家族になるための壁は、明治時代に定められた民法の二つの規定にある。
一つは「女性は離婚から6カ月経過しないと再婚できない」とした733条だ。

父親の推定も壁
 母親の20代女性は5月、3年間の別居の末に前夫との離婚が成立した。
その間、支えてくれたのが現在の夫。
7月に婚姻届を出したが、離婚から6カ月以内のため役所で不受理となった。

 女性は現夫との子供も授かっていた。
予定外の早産となり離婚成立前に出産。出生届を出す段になり、民法上のもう一つの問題に直面した。

 772条「婚姻中に懐胎(妊娠)した子は夫の子と推定する」という規定だ。
出生届を出すと戸籍では前夫の子となる。出生届はあきらめ、子供は無戸籍児となった。

 「新生児検診も予防接種も自治体から連絡が来なかった」と女性は振り返る。
11月下旬、ようやく婚姻届が受理された。
だが夫が法律上、子供の父になるには家裁での手続きが必要で、出生届はまだ出せていない。
わが子が戸籍を得る日を一日千秋の思いで待つ。

見直し手つかず
 女性の再婚禁止期間や父親を推定する規定は子供に法律上の扶養義務を負う父親を早期に確定させ、子供に不利益がないようにするのが目的だ。

 だが、結婚生活が破綻しても、婚姻関係をすぐに解消できないこともある。
相手が離婚に応じなかったり、ドメスティックバイオレンス(DV)のために話し合いすらできなかったりすることが原因だ。
子供の保護のための規定が、無戸籍という大きな不利益をもたらす皮肉な結果となるケースも出ている。

 「二つの規定がいまもあるのはとても残念」

 関東地方で暮らす女性(33)は実感を込めて話す。
離婚した両親の事情で無戸籍児になった。
小中学校にも通えず、その後も家に閉じこもる日々が続いた。

 新聞記事で支援団体の存在を知って相談。
法律的な手続きを取り、今年、戸籍を取得できた。
「やっと人生の出発点にたどり着けた。無戸籍の人間が現にいることを知ってほしい」

 法務省は昨年、無戸籍者に関する集計を開始。
今年11月時点では全国で680人に上る。民間団体「民法772条による無戸籍児家族の会」(神戸市)は全国で1万人を超えると推計する。
井戸正枝代表は「女性の再婚禁止期間があることで一時的に無戸籍児にせざるを得ないケースは多い。規定がなくなればそうした子供はいなくなるはず」と話す。