オカルト新時代が始まる・・・! | CS放送局 ファミリー劇場 オフィシャルブログ「ふぁみぶろ」
去る5月6日(金)、新宿ネイキッドロフトにて行われた「緊急検証!オカルト世代交代デスマッチ」。オカルト界若手のエース・中沢健氏が飛鳥昭雄氏&山口敏太郎氏にオカルトセメントマッチを仕掛けて世代交代を図った、オカルト界の未来を左右する大会であった。

まず結果から言うと中沢氏は敗れた・・・。
飛鳥&山口両氏の圧倒的なオカルトプレゼンは中沢氏の実力を遥かに凌駕していたのである。


イベント中盤、それまで筆者と二人でイベントを繋いでいた中沢氏の前に、山口氏と飛鳥氏が乱入。それまでの楽しげな空気を一変させた。


山口「中沢!この状態が今何を求めているのか分かるか!?
   オカルト三銃士を期待してイベントに来てくれたお客さんが
   本当に求めるのが何なのか分かるか!?

   俺と飛鳥先生がいない事に対しての不満を、お前一人だけで
   なんとかなると思ってんのか、この野郎!
   俺はこのオカルト界のど真ん中に立ってんだぞ、今!

   中沢、よ~くお前だけ上がって来たな。
   オカルトで天下を取る気のない男がよく上がって来た。
 
   最後に一つだけ言ってやろうか、
   次にこのど真ん中に立つときには、俺のオカルトパワー全開で、
   このど真ん中に立ってやる。わかったか!」



このマイクパフォーマンスに対し、中沢氏は怒りのあまり、トレードマークの紙帽子を床に叩きつけ、こう言い放った。


中沢「山口!飛鳥!俺はお前達の噛ませ犬じゃないぞ!
   何で俺が紅白オカルト合戦でいつもお前らのチームの先鋒なんだ!?
   何で俺がお前らの前を歩かなきゃいけないんだ。
   俺とお前らとどこが違う。お前らは先に生まれただけだ。
   勝負しろ、勝負してやる、お前らをぶっ倒してやる!



こうして、オカルトデスマッチのゴングが鳴った。
簡単だが試合のレポートと感想を綴る。


<第1試合:テーマ【UMA】 中沢健vs飛鳥昭雄>

中沢氏は故・橋本真也の「爆勝宣言」で入場。その顔は緊張で余裕が感じられない。
対する飛鳥氏の入場曲は桜庭和志の「Speed TK Remix」。不敵な笑みを浮かべ、
若手からの挑戦を受ける飛鳥氏にとって余裕すら感じさせる。


●先攻:中沢健「ダークナイト・イン・オーシャン」
深海に潜むバットマンにそっくりなUMAと、地上で人間を誘拐する凶暴なUMAの関係性を暴露。中沢氏らしいユニークな情報であった。

●後攻:飛鳥昭雄「スカイスネーク」
最新号のムーに掲載予定であった情報と写真をどこよりも早く緊急公開。飛鳥氏の本気度が伺える驚愕のプレゼンだ。空を飛ぶ蛇のような写真の連続に観客席からは驚きの声が。


二人のプレゼンが終わりジャッジは観客の拍手の音に委ねることになっていた。
その結果、飛鳥氏の圧勝に終わる。
飛鳥氏本人も語っていた事だが、感性やアイデアは中沢氏の方が上なのかもしれない。
しかしオカルトに必要な要素である論理的な裏付けと、虚構とリアルの狭間を付くテクニックを飛鳥氏は持っており、中沢氏にはそれが足りなかった。これが勝負の差であったかと思う。



<第2試合:テーマ【陰謀論】 中沢健vs山口敏太郎>

悔しい表情を見せる中沢氏が残るリングに、山口氏が前田日明の「キャプチュード」で登場。
オカルト界の先輩であると同時に所属事務所の社長でもある山口氏の表情は本気で中沢氏をぶっ潰す気満々である。

●先攻:中沢健「恐怖の精霊」
情報やアイデアというものは空間に物理的に存在しており、人は無意識のうちにその情報をキャッチしている。しかし、それらを人工的に作り出し、人々に偽の情報を植え付けている勢力がいるとしたら・・・。

●後攻:山口敏太郎「新世界政府ネクロスの千年王国」
ネットの集合知を神とあがめる新宗教「ネクロス」。
欧米のIT企業やベンチャー企業の社長たちが人類を支配するために、新しいメシアとしてネットを神格化し誕生した。人工知能という名の神に対し人間たちに残された手段とは・・・?


山口氏のプレゼンの特徴は話し方と雰囲気作りが圧倒的に上手く、自分の世界観に人々を引き込む事にある。自らをプロレス的と称する山口氏のスタイルは中沢氏の繰り出したプレゼンの存在感を遥か彼方に追いやってしまった感があった。僅差ではあったが山口氏の完勝であったことは否めない。




中沢氏の独創的なプレゼン内容とキャラクターの濃さは誰もが認めている。
この日、最も観客から受けていたのは中沢氏だ。

しかし、オカルト界の上の世代には通用しなかった。

これは旧来のオカルトが、如何にリアルで論理的かを重要視し、学術的なテイストを盛り込んできたかを表しているように感じる。結果、オカルトはオカルト村社会に閉じこもり、世間からは懐疑的な目で見られたり、茶化されたりの批判を浴びる形になってしまった。オカルトというジャンルは一般人においては異形の存在なのだ。


だが筆者は思う。
これからのオカルトに対し、受け手は「嘘/本当」の二元論で語るのではなく、楽しいか楽しくないかで語るべきなのだ。

その中で本当かどうか?はそれぞれが勝手に判断すればいい。

そして送り手として重要なのは、「オカルト」という怪しげでマニアックで犯罪や事件を連想させるような、一部の誤った認識を改善させ、その敷居を下げる事にあるのではないか?
オカルトはエンタメであり、知的好奇心を満足させ、アニメやバラエティのように楽しんで見るコンテンツなのである。


イベント最後に飛鳥氏はこう言った。

「オカルトは未来の可能性を広げる重要な役割を持っている。そのために僕達オカルト三銃士のオカルト笑点を見て楽しんでほしい」と。

彼らオカルト三銃士はオカルトを愛し、数パーセントの未知なる存在や事象がありえる事を信じている。それらの魅力を広く伝えるために、エンタメとして昇華しているのだ。


この日、会場には某大学のオカルト研究会の部長が来ていた。
彼女曰く「私たちの世代も頑張ってオカルト界を盛り上げたい」との事だ。



矢追純一氏はオカルトの基礎を切り拓いた。

飛鳥昭雄氏は矢追氏が切り開いたオカルトという基礎の上に高層ビルを建てた

山口敏太郎氏はオカルトという巨大化した社会に反旗を翻し、新しいオカルトのコミュニティと土壌を作った。


そして次の世代。
オカルト第4世代は「オカルトゆとり世代」かもしれない。
しかし先人達が作り上げたオカルトを誰よりもリスペクトして、エンタメとして昇華させる術を持っている。

かつてのオカルトブームにあったような日本国民がビリーバーになる時代は不可能だとしても
日本国民がオカルトを楽しいと感じるようになる事は出来るはずだ。

その中心は間違いなく中沢氏とその世代にかかっている。

今回のイベントは旧来のオカルトの終わりであり、新しいオカルトの始まりでもある。
来場頂いた皆様においては、この歴史的な瞬間に立ち会って頂いた事に感謝の意を述べたい。




「中沢君、いつかこの俺を倒してくれる日が来る事を楽しみにしているよ」
飛鳥氏は本当に嬉しそうな表情を見せ、山口氏はその時だけ、父親のような表情で中沢氏を見つめた。