別に悲しくなりたい訳じゃない。 | ここから見に来て。[旧Quem tudo quer, tudo perde.]

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ここは音楽のBlogでした。実際には節操無く何でも有りましたが、アメブロと相性が悪いようなので、他に書く事にしました。出来ればそちらを、よろしくお願いします。

Blue Valentine / Tom Waits

01.Somewhere [From West Side Story]
02.Red Shoes by the Drugstore
03.Christmas Card from a Hooker in Minneapolis
04.Romeo Is Bleeding
05.Twenty-Nine Dollars
06.Wrong Side of the Road
07.Whistlin' Past the Graveyard
08.Kentucky Avenue
09.Little Bullet from a Pretty Blue Gun
10.Blue Valentines



始めは大好きな3曲目に関連つけて
クリスマス・アルバムとして書こうと思いましたが、
アルバムタイトルに関連つけて
バレンタイン・シーズンに書きましょう(笑)。

稀代のストーリー・テラーTom Waitsです。
1stから今までのどのアルバムも
気分の向いた時に聴くと言うよりも
何か緩やかな刺激が欲しい時に耳にします。
彼の作り出す世界は、
どのアルバムの世界も宙に浮かない優しさが漂い、
気がつくとリラックス以上の刺激になっていたりします。
だから、少しだけですが、私の場合ですが、
気持ちの整理が必要だったりします(笑)。

初期の作品からこの頃までは、
自分の過去を吐き出すような作品が多く
私小説を読むような作品に共感させられました。
一部の人達にはカリスマ的な扱いを受けるほどで
今でもこの頃までの彼を愛している人達も沢山居ます。
私も何度も何度も聴いた1stが一番印象的で、
懐かしさや自分の過去と共鳴しあう部分も有ります。

彼はストーリー・テラーと言う言葉が良く似合う人だと思います。
アルバムは演劇的手法を使った私小説のようなものから
正しく演劇的な物へと変化して行く事になります。
現在では一つの物語を作り出してしまうような
アルバムになっていますし
実際に彼自身が俳優として何本かの映画に出ています。

私には彼のアルバムの変化はとても自然で受け入れやすく
新たなアルバムごとに変化する彼の心の変化自体を
ごく自然に受け止めてきましたが、
この頃のアルバムの後に起こった表現の大きな変化により
過去の彼から離れる事の出来ない人達も沢山居ます。

ミュージカル、ウエスト・サイド・ストーリーの挿入歌サムホエアで始まる
このアルバムは、彼にとって6枚目になる1978年に発表されたアルバムです。
ちょうど作品の膠着期、過渡期にあたるのは、
アルバム全体の持つ中途半端なイメージから自然とわかると思います。


サムホエア

どこかに

俺たちの場所がある
どこかにきっとある
のどかで平和で
自然に恵まれた場所が
どこかで 俺たちを待っている

いつか きっとやってくる
俺たちの時代が
いつかきっとやってくる
共に過ごす時間が
ありあまるほどの時間が
愛しあうための時間が

いつか
どこかに・・・・・・
     (訳詩:山本安見)



このアルバムは街の中の風景を切り取るような
まるで私小説のような形式で最後まで進みます。
彼の過去の経験を思わせる曲々が、
どうしようもない毎日の中では、
確信的な未来への希望など難しいけど、
それでも人はそれぞれに
明日に希望を持ち続けると言っているように
私の耳には聴こえてきます。


ミネアポリスの女からのクリスマス・カード

ねぇ チャーリー 私 妊娠しているのよ
今は9番街に住んでるわ
ユークリッド・アヴェニューの外れの
イヤらしい本を売っている店のすぐ上よ
ヤクはもうやめたわ
ウイスキーもやめたの
ダンナはトロンボーン吹きよ
将校たちが集まるバーで働いてるわ

お腹の子供は彼の子供じゃないけど
彼は愛してくれてるわ
自分の息子だと思って
大事に育ててやるっていってるの
おかあさんの形見の指輪をくれて
毎週土曜日の夜には
ダンスに連れてってくれるのよ

ねぇ チャーリー
フイリン駅を通り過ぎるたびに
アンタのこと思い出すわ
アンタって いつも髪にベタベタ
グリースを塗ってたわね
それから アンタのくれた
リトル・アンソニー&ザ・インペリアルズの
レコード まだ持ってるわよ
でも レコード・プレイヤーは
誰かが盗んでいっちまったの

ねぇ チャーリー
マリオがパクられた時
私 気が狂いそうになってね
家族のいるオマハに帰ったのよ
でも 私の知ってた人たちはみんな
死んだか監獄に入ってたかで会えなかった
だから ミネアポリスに戻ってきたのよ
これからは ここで暮らすつもり

ねぇ チャーリー
あの事故が起きてから 辛かったけど
やっと幸福をつかんだ気がするの
今から思うと ヤクにつぎこんだお金
全部残しておけばよかったとつくづく思う
そしたら 中古車売り場を買うのよ
でも 一台だって売りはしないわ
毎日 その日の気分によって
いろんな車を乗りまわせるじゃない?

ねぇ チャーリー
ところで
本当のことを知りたい?
トロンボーンを吹いているダンナなんて
実はいやしないのよ
本当はお金を貸してほしいの
弁護士に払わなくちゃならないのよ
でも チャーリー
ヴァレンタイン・デーの頃には
きっと仮出獄できると思うわ
   (訳詩:山本安見)




アーティスト: Tom Waits
タイトル: Blue Valentine
アーティスト: トム・ウェイツ
タイトル: ブルー・ヴァレンタイン