1971年全米11位。この曲は多くのアーティストによってカバーされているのですが、特に Jimmy Cliff と Maxi Priest のバージョンに馴染んでいたためか、レゲエナンバーのように思っていて、オリジナルはこの人だと知ったのはだいぶ後になってから。Cat Stevens は、1960年代末に女優の Patti D'Arbanville とつきあっていて、1970年には彼女のことを歌った "Lady D'Arbanville" をヒット(全英8位)させました。そうしたこともあってか、彼女と別れた直後に発表されたこの曲は、彼女との別れをテーマにして書かれたものだとの解釈が一般的となっていて、アメリカの著名なジャーナリスト/音楽評論家でフェミニストでもある Ellen Willis は、「荒っぽい方法だが、女性について書いた男性の歌を男女反対に置き換えれば、歌詞に込められた男たちの査定的な目線と偏見が明らかとなる。このテストによれば、『アンダー・マイ・サム』のような罵倒の限りを尽くした曲でさえ、キャット・スティーヴンスの優しくも共感的な『ワイルド・ワールド』と比べれば性差別的とはもはや言えない。ミック・ジャガーのかわいらしい復讐のファンタジーは簡単に女性の視点となり得る。実際、女性の側からのカウンターパートとしてナンシー・シナトラの『にくい貴方』があった。『ワイルド・ワールド』であるが、女が別れた恋人に向かって『悪に満ちた広い世界に出て行くには、あなたはまだ世間知らずで無邪気すぎる』と悲しそうに警告する姿を想像するのは難しい。」(出典:Wikipedia(こちら))と述べて、この曲は女性を見下したものだと批判してます。ところが、Cat Stevens は、2009年のインタビューにおいて、この曲は彼自身の「wild world」へ向けての旅立ちを歌ったものだと述べており、そうすると、Ellen Willis による前記批判はまったくの的外れだということになります。フェミニストの主張は、ともするとこうした一方的な決めつけに基づくものとなりがちで、それって、単なるミサンドリーじゃないの?と辟易してしまうことが多いのですが、このように共感を得るどころか、反感や嫌悪感を招くような言動をしてしまうのは、フェミニストが目指す社会を実現するためにはまったく逆効果であって、戦略的には最悪だと思うんだけど、なんでそうなっちゃうんだろう?(ただし、Ellen Willis の前記批判は、おそらく誤解に基づくものであり、それは当時の状況に鑑みると無理からぬものであったとも考えられ(作者が創作の意図を一々明かすことはほとんどないので、評者はその作品のみから判断しなければならないのが通常である)、そうだとすると、昨今のフェミニストに見られるような一方的な決めつけとは区別する必要がある(また、"Wild World" に対する批判としては当を得ないものの、その指摘する内容には傾聴すべきところがある)。なお、私は、フェミニストを揶揄するものではない(特に、尖鋭化した一部のフェミニストとは関わり合いになりたくないというのが正直なところである)が、前記指摘を捉えてそのように誤解(あるいは曲解)されたとしても、それはそれでなにも申し上げることはない)。

 

話を "Wild World" に戻して、Jimmy Cliff のバージョンを。

 

 

1970年全英8位。シングルとしてリリースされたのはこちらが最初となります。Jimmy Cliff によると、彼が所属していたレコード会社でこの曲のデモを聴かされてすぐに気に入ったのですが、その際、Cat Stevens はこの曲が気に入っていないと聞き、彼に直接電話をして「おれに歌わせてくれ」と頼んだところ、Stevens は快諾したばかりか自らプロデュースを買って出たとのこと。

 

 

Maxi Priest のバージョンはこちら。

 

 

1988年全英5位、全米25位。

 

さらに、Mr. Big によるカバーも。

 

 

1993年全米27位。