1964年全米12位(イギリスではシングルカットされていない)。ご存じ、映画『A Hard Day's Night』に挿入されていた名曲で、Paul が大部分を単独で書き、いわゆるミドルエイト(ブリッジ)のパート(A love like ours/Could never die/As long as I/Have you near me)で John の手を借りたもの(ただし、Paul は、「あのミドルエイトはおれのものだよ。たぶん、John に手伝ってもらったと言えるんだろうけど、あいつが『あれはおれのものだ』と言うことはできないのさ」と述べており、John も、この曲を Paul の「first "Yesterday"」と呼んでいた)。また、イントロのギターリフは George によるもので、Paul は、「あれがなかったら、つまらない曲になっていただろうね」と高く評価し、「たぶん、ジョージも共作者にしておくべきだったんだろうな」と述べています。

 

日本でも当時シングルカットされました。

 

 

この曲のレコーディングは1964年2月25日から27日にかけて行われ、初日に収録されたテイクには「ミドルエイト」はありませんでした。

 

 

2月26日のセッションで数テイク録ったものの満足できず、ティーブレイクとなったときに John と Paul がミドルエイトを書いたということです(George Martin のサジェスチョンによるらしい)。

 

この曲は Beatles ナンバーの中で最もカバーされている曲の一つだということですが、Beatles 自身は Esther Phillips のバージョン(いうまでもないが、"And I Love Him" とジェンダーチェンジしている)がお気に入りだったようです。

 

 

1965年全米54位。Beatles に呼ばれて彼女がイギリスのテレビに出演し、この曲を歌った際に、John が「one of the best」と紹介したほか、Paul も、自身の曲のカバーのうちでどれが好きかという質問に対し、「たくさんあって答えるのは難しいけど、Esther Phillips の "And I Love Him" が思い浮かんだよ」と答えています。

 

こちらは Pat Metheny によるカバー。

 

 

Metheny は、Beatles がいなかったらギターをやっていたかどうか、と述懐しています。映画『A Hard Day's Night』は何度も見ていて、この曲は大好きなんだとか。

 

さらに Brad Mehldau によるカバーも。

 

 

最後は Paul の2013年の東京ドームでのライヴパフォーマンスを。

 

 

オリジナルではベースを演奏していましたが、ライヴではアコギ。