1982年全米8位(アダルトコンテンポラリーチャートでは1位)、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでトップ10入り。バーティ・ヒギンズによると、彼は長年同棲していた恋人と別れて、しばらく傷心の日々を送っていたのですが、やはりヨリを戻したいと思って、彼女に呼び掛けるためにこの曲を書いたそうです。そして、この曲がヒットすると、彼女は戻ってきて、翌年二人は結婚し、二人の子供に恵まれて、めでたしめでたし・・・となるはずでしたが、残念ながら95年に離婚してしまいました。この曲は、ハンフリー・ボガートとローレン・バコール主演の映画『キー・ラーゴ』にインスパイアされてヒギンズが書いたもの(「We had it all ... Just like Bogie and Bacall ... Starring in our own late night show ... Sailin' away to Key Largo」)。ヒギンズはボギーフリークのようで、歌詞の中には、「Here's looking at you, kid (君の瞳に乾杯!)」とか、「Please say you will ... Play it again」など、『カサブランカ』のおなじみの名台詞も出てきて、ボギーの大ファンであるあっしとしては相好を崩さずにはいられません。なお、PVでヒギンズの相手役を務めた女性は17歳で、当時36歳だったヒギンズは、「ハリウッドで最も魅力的なカップル」と称されたボガート・バコール夫妻の年の差が25歳だったのを意識したのかな?

 

『キー・ラーゴ』のトレーラー。

 

 

そしてカサブランカといえば。

 

 

日本ではバーティ・ヒギンズといえばこの曲。アメリカではヒットしていませんが、日本では郷ひろみのカバーバージョンがオリコンで2位、約50万枚を売り上げる大ヒットとなったこともあり、ヒギンズのオリジナルもオリコンで13位(洋楽チャートとオールジャパンポップ20では1位)に昇り、30万枚に迫る売り上げを記録しました。また、韓国、中国などでもヒットしたそうで、ヒギンズは中国では最も人気のある「外タレ」の一人だということです(上のPVは中国ツアー向けに作られたものらしい)。この曲は、"Key Largo" のような曲をもう一曲、ということで作られたようで、「I fell in love with you watching Casablanca」という、ヒギンズと奥さんの馴れ初めに基づく歌い出しで始まり、「In Rick's candle lit cafe」とか「a kiss is still a kiss」とか「as time goes by」などの『カサブランカ』に因んだ歌詞が出てくるので堪りません(笑)。

 

『カサブランカ』のトレーラーも。

 

 

私にとって、全ての映画の中でベスト1となることが既に確定しているのがこれです! ラストのリックとイルザの別離のシーンはわかっているのに何回見ても涙腺崩壊で、もはや完全にパブロフの犬状態(笑)。ああ、そーいえば、全然関係ないけど、バーグマンとバコールは1974年の映画『オリエント急行殺人事件』で共演していたな(絡みはなかったと思うが、そこまでは憶えてない)。

 

"Key Largo" と "Casablanca" が収録されていたのがこちらのデビューアルバム。

 

 

ヒギンズはアメリカでは "Key Largo" のほかに大きなヒットはなく、完全な一発屋となってしまいました。なお、彼はゲーテの玄孫(やしゃご)だということで(こちらのオフィシャルウェブサイト参照)、"Casablanca" がヒットして来日したときには、マスコミのインタビューで散々その質問をされて辟易したとのこと(周知のとおり、日本のマスコミの質問のレベルは悲惨なまでに低いので、無理もない)。