この曲は Cole Porter が1943年のアメリカ映画 "Something To Shout About" のために書いたもので、映画はコケたようですが、Dinah Shore が同じ年にヒットさせて以降、多くの歌手/ミュージシャンによって取り上げられてスタンダードとなりました。邦題の『帰ってくれたらうれしいわ』(「帰ってほしい」という意味ではなく、「帰ってきてほしい」という意味。念のため)は若き日の大橋巨泉がつけたものですが、彼自身後に認めているように誤訳で、正しくは「素敵なあなたのもとに帰りたい」という意味(今では誤訳という認識が定着してきたのか、この邦題はあまり見なくなった)。映画では男性が女性を口説くものとして使われたらしい(未確認)のですが、第二次世界大戦の最中という当時の世相を反映して、戦場にいる兵士の、妻のいる家に帰りたいという思いを歌ったものとして広まったようです。なお、日本では Helen Merrill と Clifford Brown のバージョン(アレンジは Quincy Jones)がこの曲の決定版となっていますが(大橋巨泉も Helen Merrill のボーカルに幻惑されて誤訳してしまったのであろう)、アメリカではあくまで one of them でしかないとのこと。

 

インストバージョンの決定版(もちろん、日本では、であるが)は Art Pepper が当時の Miles Davis Quintet のリズムセクションと共演したこちら。

 

 

Jim Hall + Chet Baker + Paul Desmond によるこちらもおススメ。

 

 

さらに、Chet Baker と Bill Evans のコラボも。

 

 

最後は、アドリブをじっくり堪能できる Lee Konitz のバージョン(ドラムスは Elvin Jones)。