1984年全米1位(Prince & The Revolution の "Let's Go Crazy" を蹴落として1位となり、Billy Ocean の "Carribean Queen (No More Love On The Run)" によって引きずり下ろされたが、ブラックチャートとアダルトコンテンポラリーチャートも制した「三冠王」)。イギリスでは Stevie Wonder がソロとして唯一 No.1 を獲得した曲(George Michael の "Careless Whisper" からトップの座を奪い、Wham! の "Freedom" にその座を譲った。なお、デュエットとしては "Ebony And Ivory" で1位を獲得している)で、さらに、アイルランド、フランス、オランダ、ベルギー、西ドイツ、スイス、オーストリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでも1位を獲得するなどワールドワイドな大ヒットとなり(日本でもオールジャパンポップ20で1位)、英米両国でミリオンセラーを記録するなど現時点で彼にとって最多の売上を記録したシングルです。また、映画『ウーマン・イン・レッド』の主題歌として1985年のアカデミー歌曲賞を受賞しました(同年の日本公演でももちろん演奏された)。Stevie Wonder によると、1976年ごろ、お母さんの家を訪ねた帰り道でこの曲のコーラスができ、Beatles と一緒に歌っているのを想像しながら完成させたとのこと(John Lennon が殺されて、Beatles と一緒に歌うという夢は永久にかなわなくなってしまったと述べている)。

 

 

Stevie らしいジャケットですね。ジャケットに書かれているようにこちらのCMで使用されました(残念ながら状態が良くない)。

 

 

そして、1985年の日本公演(今はなき後楽園球場でのライヴ)の模様も。

 

 

こちらは Herbie Hancock によるカバーで、Stevie Wonder もハーモニカで参加しています(ボーカルは Raul Midon)。

 

 

ところで、この曲はもともとブレッド&バターに提供されたもので、彼らが『特別な気持ちで』(松任谷由実作詞・細野晴臣編曲)というタイトルでリリースする直前に Stevie が「ごめん、やっぱ自分で歌うわ」となった(彼が映画『ウーマン・イン・レッド』用に書いた曲をモータウンレコードの社長が気に入らなかったので代わりにこの曲を使うことにした)ため発売延期となり、Stevie のバージョンが出た後で改めてOKをもらってリリースの運びとなったということです。

 

 

上記のエピは、ブレバタファンはもちろん、多くのフォーク/ニューミュージックファンの方々からすれば、そんなのみんな知ってるよ、かもしれませんが、私はこの曲について書こうと思って下調べのために Wikipedia(日本語版)の記事に当たるまで全く存じませんでした。日本のフォーク/ニューミュージックには「鐚一文」興味がない(ブレバタは名前(及び略称)しか知らない)がゆえの無知蒙昧ぶりを自ら暴露してしまいましたが、この機会に申し上げておくと、本ブログで取り上げるネタを取捨選択する基準においては、私が個人的に「へぇ~」と思ったという事実がなによりも優先されます。なので、今回も基本に忠実に(笑)、周知の事実ならば事々しく書き立てて無知なるがゆえの恥を晒すこととなるのも顧みずに取り上げた次第です。なお、前記 Wikipedia の記事には、Stevie がかつて曲作りのパートナーであった Lee Garrett からこの曲はパクリであるとして訴えられた裁判で、ブレバタが Stevie からもらったこの曲のデモテープを証拠として提出したことが決め手となって Stevie が勝訴し、そのお礼に『Remember My Love』という曲をブレバタにプレゼントした旨記載されています。この点、Wikipedia(英語版)を見ると、単に Stevie が Garrett から盗作で訴えられたが陪審は Stevie の言い分を支持した旨記載されているのみで、また、そこで引用されている新聞記事には、陪審がこの曲と Garrett が書いたという曲とを聴き比べた結果「似ていない」と判断して Stevie の勝訴となった旨しか記載されておらず、残念ながらどちらにもブレッド&バターの「ブ」の字も出てきません(笑)。