アルバム "The Stranger" のタイトルトラックで、1978年オリコンの総合チャートで2位(そのときの1位はピンク・レディーの『モンスター』(笑))、洋楽チャートとオールジャパンポップ20で1位。この曲の大ヒットにより日本での Billy Joel 人気が爆発しました(当時の実感としてはまさしくそうだった)。ただ、シングルカットされたのは日本とオーストラリアだけというのは少々意外。この曲のトレードマークはなんといってもイントロのメロディ(とりわけ口笛のパート)ですが、Billy は『シェルブールの雨傘』や『第三の男』みたいな雰囲気を出したかったのだそうです。そして、当初は管楽器で演奏したいと思い、プロデューサーの Phil Ramone に口笛でメロディを聞かせて「どの楽器がいいかな」と尋ねたところ、Ramone の返事は「今吹いたじゃないか」というものでした。思いもよらない返事に Billy は半信半疑でしたが、録音して聴き返してみたら、「クソッ、フィルの言うとおりだ」ということになりました。

 

 

1978年全米2位。Billy Joel が大ブレイクしたアルバムで(このアルバムが出る少し前、Billy Joel と Bruce Springsteen は所属するコロンビアレコード(CBS)からお払い箱になりそうになっていてやきもきしていたんだとか)、アメリカだけで1000万枚以上のセールス(これはコンピレーションアルバムを除く彼の全アルバムの中で最多)を達成し、Simon & Garfunkel の "Bridge Over Troubled Water" を抜いてCBSのアルバム最多売上記録(当時)を更新しました。Beatles の大ファンである Billy は初め George Martin にアルバムのプロデュースを依頼したのですが、Billy が自身のツアーバンドをレコーディングに起用することを希望したのに対し、Martin はスタジオミュージシャンを使う方がよいと言って反対したためお流れとなり、Phil Ramone と組むことになったということです。この人選は結果的には大正解で、以後 Billy はRamone とのコラボにより数多のヒット作を世に送り出すこととなります。ちなみに、このアルバムがリリースされた後、Billy は George Martin から「君が正しかったよ。私は間違っていた。君のバンドと一緒にやることを検討すべきだった」という内容の手紙を受け取ったそうです。

 

ライヴでは早くから定番となりました。