本記事は、2017年1月に投稿した記事の改訂版です。

 

 

1964年全米5位(イージーリスニングチャートでは1位)、全英29位、カナダで5位、ニュージーランドで8位となり、翌年のグラミー賞で最優秀レコード賞を受賞。この曲は、国際的な大ヒットとなって世界中にボサノバブームを巻き起こしました。これによりアストラッド・ジルベルトは一躍世界的なスターとなり、後には「ボサノバの女王」と呼ばれるまでになりました(ただし、本国ブラジルでの評価はあまり高くないらしい)。


なんだか鼻歌を歌っているようですが、それもそのはず、アストラッドは正式なボイストレーニングを受けたことはなく、スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトが名作アルバム "Getz/Gilberto" のレコーディングをした際、夫(当時)のジョアンについてきた彼女に歌わせてみたところ、曲調に完璧にフィットしたので、歌手としてデビューした・・・という話が一般に流布されています。ところが、どうもそれは彼女を売り出すためのマーケティング戦略の一環として作られた一種の「シンデレラストーリー」のようです。なお、ゲッツは、レコーディングのあとで、プロデューサーのクリード・テイラーに対し(?)、アストラッドにギャラを払うなと言ったとか。

 

こちらはアルバムバージョン(シングルバージョンではジョアン・ジルベルトのボーカルがカットされた)。

 

 

 

さらに、アントニオ・カルロス・ジョビンのセルフカバー。

 

 

この曲はもっとも有名なボサノバのナンバーといえるでしょう。それだけに数多くのカバーがありますが、一説によると、その数は "Yesterday" に次いで多いのだとか。

 

その中から、まずはアントニオ・カルロス・ジョビンとフランク・シナトラの顔合わせを。

 

 

女性が歌うと "The Boy From Ipanema"

 

 

ところで、イパネマは観光地として有名なリオデジャネイロの海岸ですが、25年以上前にリオに行った際には、バスでその横を通過したのになぜか立ち寄らずにスルーされてしまい、バスの中から指をくわえて眺めるほかなかったという苦い思い出があります。なお、「イパネマの娘」とは、エロイーザ・ピニェイロという美少女のことで、この曲の作者のアントニオ・カルロス・ジョビンとヴィニシウス・ヂ・モライスが、イパネマにあった行きつけのバーで飲んでいるときに彼女が近くを通り過ぎるのをよく見かけて着想を得たとのこと。彼女は、その後モデルを経て「Garota de Ipanema(イパネマの娘)」というブティックを開いたそうです。