1963年全英35位。Cilla Black は、リバプールのキャバーンクラブのクロークでアルバイトをしていて Beatles のメンバーと知り合い、John Lennon の紹介で Brian Epstein のオーディションを受けます。Epstein は初め彼女にあまり興味を示さなかったのですが、とりあえずオーディションをしたところ、彼女自身メチャクチャ緊張してしまったのに加えて、バックを務めた Beatles がいつも自分たちが演奏しているキーで演奏したので彼女のキーと合わず(アホやな)ボロボロになってしまい、結果は不合格でした。しかしながら、Epstein は、後日彼女がクラブで歌っているのを見てマネージャーとして契約、彼女は Lennon - McCartney の作品であるこの曲(プロデューサーは George Martin)でめでたくデビューを果たしました(日本であればさしずめ「ビートルズの妹」的なノリで売り出されていただろうな)。 

 

 

1964年全英7位。第四弾シングル "It's For You" は John と Paul が彼女のために書き下ろした作品で、そのレコーディングにも立ち合い、George Martin を交えていろいろとアイディアを出し合ったそうです。さらに Paul はピアノを弾いていて、のみならず、John とともにPVにも友情出演(?)するなど、全面的にバックアップしていたことがわかります。

 

 

Cilla Black は1968年にも Lennon - McCartney 名義の作品(実際には Paul が彼女のために書き下ろしたもの) "Step Inside Love" をヒットさせた(全英8位)ほか、"Yesterday", "The Long And Winding Road" 等の Beatles ナンバーもカバーしています。ちなみに、彼女は1964年に "Anyone Who Had A Heart" と "You're My World" という2曲の全英 No.1 ヒットを放っていますが、どちらも Lennon - McCartney の作品ではありません。

 

なお、"Love Of The Loved" は1962年に Beatles(当時のグループ名は Silver Beatles)がデッカレコードのオーディションを受けた際に演奏されています(ドラムスは Pete Best)。

 

 

デッカレコードが Beatles と契約しなかったのは有名な話ですね(世にいう「世紀のミスジャッジ」)。

 

"Step Inside Love" は Beatles によるデモバージョンをアルバム "Anthology 3" で聴くことができます。

 

 

また、"It's For You" の Paul によるデモディスクは永らく行方不明となっていたところ、Cilla Black の死後彼女の遺族によってその遺品の中から発見されてオークションにかけられたようですが(こちらの報道参照)、どうなったんだろう?

 

そのデモの一部。