パウエル「物価2%!」→「時間かかるかも…」 | 浪風谷本

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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員

 

▼3月パウエル「物価は2%へ」

3月FOMCにて、パウエルFRB議長は好調な経済情勢を追い風にあらためて年内利下げを示唆しました。

 

パウエル米FRB議長の会見要旨

米連邦準備理事会(FRB)は19-20日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25-5.50%で据え置いた。据え置きは5会合連続。 

パウエルFRB議長がFOMC後に行った会見の内容は以下の通り。

*景気はかなり改善している

*インフレは大幅に緩和したが継続的な進展は保証されていない

*先行きは不透明

*GDPは、サプライチェーンの回復や旺盛な消費者需要によって支えられてきた

*金利上昇は債券投資を圧迫している

*労働市場は引き続き相対的にタイトだが、需供バランスは改善しつつある

*名目賃金の伸びは緩和している

*労働需要は依然として供給を上回っている

*FOMCメンバー、労働市場のリバランスが続くと予想

*インフレ率は依然として目標を上回っている

*長期的なインフレ期待は依然、十分安定している

*目標に対するリスクはより均衡

*政策金利、ピークにある公算(ロイター)

 

パウエル会見を市場は好感、この日のダウは史上最高値を更新しました。

▼4月パウエル「時間かかるかも」

ところが今月10日に公表された米CPIは前年比3.5%増と市場予想3.4%を上回る結果となり、当局者からも「利下げ急がず」の発言が相次ぎました。
結果的に、マーケット・フレンドリーなパウエル議長が叩かれ始めています。

 

米金利先高観が世界を揺らす、震源地はパウエル議長-各国にジレンマ

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が世界の中央銀行関係者を厳しい状況に追い込んでいる。米国で高金利が長期化する見通しが強まっていることで、各国の緩和余地が狭まっているためだ。

パウエル議長は16日、予想を上回るインフレ統計が相次いだことを受けて、利下げ開始の先延ばしを示唆した。金融緩和への政策転換との受け止めが広がった昨年12月の発言からは大きな軌道修正だ。パウエル氏の発言後、2年債利回りは5%台に乗せ、ドルは値上がりした。(18日付ブルームバーグ)

 

今年も根強い米インフレ、パウエル議長の拙速な姿勢転換が一因か

今年は米国のインフレ率が2%に向けて減速し、米金融当局が政策金利を二十数年ぶりの高水準から着実に引き下げる年になるはずだったが、そうした期待は打ち砕かれている。

2024年に入り数カ月が経過した中で、景気と労働市場が底堅さを見せており、インフレは想定よりもはるかに根強いことが判明。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は16日、インフレが長引けば当初の想定よりも長期にわたり高金利を維持することを意味すると述べ、トーンを変化させており、世界中の政策に影響を与える可能性がある。(18日付ブルームバーグ)

 

3月FOMCから先日の講演にかけて、パウエル発言が変化しています。
このあたりについて、日本経済新聞は次のようにまとめていました。
 

FRB議長、物価認識を修正 利下げ観測崩れ軟着陸に影

米連邦準備理事会(FRB)のインフレ封じ込めシナリオに誤算が生じている。パウエル議長は16日、物価上昇率が2%に戻る確信を得るには「予想以上に時間がかかりそうだ」と述べ、物価認識を修正した。高金利が続けば、米経済のソフトランディング(軟着陸)の前提が崩れかねない。(4月17日付日本経済新聞)

 

2%へ向けた物価の収束見通しに変わりはないとパウエル氏は述べていたものの、今月10日に公表された米消費者物価指数や15日発表の米小売売上高からはインフレの粘着性が浮き彫りになりました。

一部のFRB幹部からは高金利政策維持の必要性が発信されていましたが、パウエル議長の慎重姿勢を貫いていました。
しかし今回パウエル氏は物価認識を修正、利下げ期待は大幅に後退しています。

▼年内「再利上げ」の可能性も

そして投票権を持つNY連銀のウィリアムズ氏は、ついに「再利上げ」についても言及し始めています。
 

米経済好調、利下げの差し迫った理由ない=NY連銀総裁

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は18日、米経済が好調なことを踏まえると、利下げを実施する差し迫った理由は現時点では見当たらないと述べた。

ウィリアムズ総裁はワシントンで開かれたセマフォーの世界経済サミットで「現在の経済の強さを考えると、利下げの緊急性は全く感じていない」と言及。「われわれの経済は強い。これは極めて望ましいことだ」と述べた。

その上で「このことは、現在の金利水準で経済が大幅に減速していないことも意味する」とし、インフレ率を目標とする2%に戻す取り組みを続けながら、金利を据え置く必要がある可能性を示唆した。

同時に、物価は目標に戻ると引き続き予想しているとし「インフレが持続的に2%に低下し、経済が良好に均衡するにつれ、ある時点で金利を引き下げる必要が出てくる」と指摘。「そのタイミングは経済情勢によって決まる」と語った。

このところのインフレ指標を受け、物価圧力を確実に緩和させるためにFRBは再利上げを迫られるとの見方が出ていることについて、そうした可能性は低いとしながらも、排除はできないと指摘。「利上げは自分自身の基本方針ではない」としながらも、「経済指標で目標達成に利上げが必要と示されれば、当然そうしたい」と述べた。(ロイター)

 

基本シナリオは好調な経済活動の先に経済政策の正常化が控えているとしたものの、経済指標によっては「再利上げ」の可能性を排除できないと述べています。

 

▼新興国受難

スイス国立銀行を皮切りに、他中央銀行は利下げに踏み切り始めています。
 

中央銀行

政策

スイス国立銀行

25bp引き下げ

メキシコ中銀

25bp引き下げ

チェコ国立銀行

50bp引き下げ

コロンビア中銀

50bp引き下げ

ブラジル中銀

50bp引き下げ

スリランカ中銀

50bp引き下げ

ハンガリー中銀

75bp引き下げ

 

FRBは少なくとも6月には利下げに踏み切るとの見通しでしたが、今回のパウエル氏による利下げ時期の後ずれ示唆を受け、米国とその他の国の金融政策に乖離が見られ始めました。
実際に「再利上げ」となると、追いつめられるのは「新興国」です。
ドル調達コストの上昇、そして外貨準備の切り崩しが始まる可能性が高まっています。
地政学リスクへとともに、米国による金融政策の引き締め継続ならびに新興国経済の混乱が新たな火種となることが警戒されます。

 

 

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