毎週木曜日は「投資部門別取引状況」を更新する予定なので、本日「ECB」を更新します。
いつも通り、前回レジメの確認から。
2020.09.10
政策金利0.00%
「政策金利を現行の0.00%に据え置く事を決定」
「PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)は少なくとも2021年6月末まで継続」
ラガルドECB総裁
「国内需要は大幅に回復」
「ユーロ相場のインフレへの影響を慎重に判断、ユーロはインフレに下押し圧力」
「ECBはユーロ相場を議論したが為替レートは目標でない」
「PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)購入枠を全額使用する公算が極めて大きい」
ECBスタッフ予測
「20年のインフレ見通しを0.3%に据え置き、21年の見通しを0.8%から1.0%に引き上げ」
「20年の成長見通しを-8.7%から-8.0%に引き上げ、21年の見通しを5.2%から5.0%に引き下げ」
前回会合が開催された9月上旬は、新型コロナ感染拡大も一服。
ユーロ高が懸念されていましたが、ラガルド総裁から牽制発言などは聞かれませんでした。
しかし前回レジメでは、ユーロ高がインフレを押し下げていると指摘されています。
「デフレ進行」が確認されたユーロ圏経済にとって、「ユーロ高」はとどめを刺すようなもの。
さらに今回はスペインやイタリアなど、感染再拡大や一部規制強化などの悪材料が出始めています。
更なる緩和への布石を打つのか。
そんななか注目されているのが、ESG(環境・社会・企業統治)債の発行です。
EUが巨額ESG債 社会貢献・環境で30兆円超発行へ
欧州連合(EU)が「ESG(環境・社会・企業統治)」債発行に乗り出した。発行規模は合計で30兆円超になる見通し。これまでの世界の発行額と同等かそれを上回る規模の債券を発行し、一挙に主要な発行体に躍り出る。マネーがESG関連に向かう流れをつくり、EUの政策実現につなげる狙いもある。
(中略)
欧州委はこの債券で調達した資金を「SURE」と呼ぶ雇用支援制度の基金にあてる。これは新型コロナウイルスの感染拡大で失業者が大量に出るのを防ぐため、EUが6月から始めた各国へ融資する制度だ。欧州委によると、すでに17カ国に878億ユーロを融資することが決まっている。(10月26日付日経新聞)
来年はグリーンボンド(環境債)の発行も予定されており、この分野での発行額のうち欧州が実に4割を占めています。
先ほどの日経新聞記事は、次のように締めています。
EUは持続可能な金融の基準づくりを進めている。…(略)…この基準を世界に広げ、ESG市場で優位に立つ野心を抱く。
ソーシャルボンド発行によりESG市場でのイニシアチブを取ることを目指すことが、逆にユーロ高へと繋がっています。
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日本フィナンシャルセキュリティーズ㈱ 谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員