先週9日、英下院に提出された法案が問題となっています。
英政府は9日、欧州連合(EU)離脱協定の一部を無効化する法案を議会に提出した。国際法違反につながる可能性があり、EUは英国が離脱協定の修正を試みれば英国との自由貿易協定(FTA)は実現しないと警告、交渉を巡る混迷が一段と深まった。
英政府が提出した「国内市場法案」は、今年1月に発効したEU離脱協定の一部条項を実質的に無効化する内容。ジョンソン首相は議会で、離脱協定の北アイルランドに関する条項を巡る「極端、もしくは不合理な解釈から英国を守る法的な安全網」と説明した。(10日付Newsweek)
議会に提出された法案は、「国内市場法案」。
「特定の規定は国際法、その他の国内法との矛盾、不適合にもかかわらず効力をもつ」などの表記があり、EU離脱協定の一部を無効化するもので、国際法違反につながる可能性が指摘されています。
昨年10月に欧州連合(EU)と合意し、今年1月末に発効した国際条約「離脱協定」の主要部分を反故にしようとしていると、EU側は主張しています。
シェフチョビッチ欧州委員会副委員長
「離脱協定は一方的な変更や修正、解釈はできない」
「将来的な関係についての交渉を危機にさらす」
ドナフー・ユーログループ議長
「英国はEUとの将来の通商関係に関心を寄せているが、既存の協定を順守することが前提条件になる」
ミシェルEU大統領
「英政府が自らの責任を果たす時だ」
メイ前首相
「(英国がこれから国際条約を締結しようとしても)条約に従うと(相手国に)信用してもらえるだろうか」
為替市場ではユーロ買いポンド売りが進行、EUR/GBPは次のようになっています。
8日の法案提出以降EUR/GBPが上昇、0.90レンジを突破しています。
「EU擁護」の声が多いようです。
一方ジョンソン首相は、12日付の英紙デーリー・テレグラフへの寄稿で次のような見解を示しています。
「英国の経済・領土の一体性を破壊すると脅している」
「英国を惨事から守る必要がある」
「(EUが離脱協定の極端な解釈を行い)英本土から英領北アイルランドへの食品移送を停止させる可能性がある」
先週末高値0.92911は今年3月24日以来で、このときの高値は3月19日、0.95でした。
ユーロ導入以来の高値ですが、3月のお彼岸といえばコロナショックピーク時。
つまり、ユーロポンドが上昇しているときは、「平時ではない」ということです。
今回のユーロポンド高値は「コロナ禍」以来ですが、ユーロポンド週足(終値)とNY金週足(終値)を重ねると、次のようになります。
左軸:EUR/GBP 右軸:NY金($)
ポンドは「平時」に強く、ユーロポンド高値警戒はすなわちNY金のそれと一致しそうです。
(中略)
国民投票から3年半が経過、その間「離脱による巨額損失キャンペーン」が展開されました。
「感情的に投票」「だまされた英国民」など、イギリス国民の品位まで攻撃されました。
しかしイギリスという国は、議会制民主主義を育んだ、いわば民主主義の母国。
「感情的に投票して後悔している英国人」を一般化する見方は、英国民に対する侮辱です。
真の民主主義からはほど遠いEUからの離脱選択は、英国民からすると当然の結果でしょう。
別れの曲は、オールド・ラング・サインでした。
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日本フィナンシャルセキュリティーズ㈱ 谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員