朝の記事にも書きましたが、米10年物利回りが2.7%台を回復しました。
※右軸:米10年債利回り(上下逆注意)
年初のアップルショック時に2.5%台半ばまで低下していましたが、2月は2.6%台の振幅が続きました。
久しぶりの2.7%台復帰ですが、それとともに注目されるのが米債2-10Yr利回り格差20bpです。
今朝の時点で米債長短利回り格差が20bpまで拡大しており、今年初です。
直近では昨年12月11日に11bpまで縮小していましたが、久しぶりの20bpです。
これまでにも何度か利回り格差に触れてきましたが、長短利回りが逆転するケースとして、以下のような場合が考えられます。
①デフォルト懸念
2014年のギリシャ債などに見られました。
②利上げ局面
短期金利が先に反応するため、長短金利差は縮小し、まれに逆転する場合もある。
③景気先行き懸念
景気が悪くなると市場が感じたとき、将来の金利低下予想により債券が買われる。
今回2-10年物では見られませんでしたが、もう少し短い期限では逆イールドが見られました。
たとえば2-5年物利回り格差です。
昨年12月5日に初めて利回りが逆転すると、その後はクリスマス明けを除きほぼ逆イールドです。
特に今年の1月24日以降に絞ると、プラス圏に浮上していません。
今回は文字通り三度目の正直となっており、2-5年物のプラス圏復帰、ひいては2-10年物利回りの拡大に期待がかかります。
利上げ期待が強い局面では短期債が買われ長期債が売られるため利回り格差は縮小傾向となりますが(②のケース)、現在はその逆と言えるのでしょう。
<グリーンスパン議長>
2004年6月会合においてグリーンスパン議長(当時)率いるFRBはFF金利利上げを開始、2006年6月に終了するまで、25bp利上げを17回続けました。
月末ベースですが、2004年6月当時の2年物利回りは2.64%、10年物は4.71%、格差は211bp。
利上げ終了局面の2006年3月当時の2年物が4.71%、10年物が4.59%、利回り格差は-12bp。
ここをピークに利回り格差縮小の動きは途絶え、再び拡大→リーマンショックとなりました。
昨晩のハーカー総裁の発言では来年まで利上げをするというようなことをおっしゃっていますので、現段階では利上げ停止とはなっていません。
しかし市場が利上げ停止を織り込む動きを継続するならば、利回り格差は拡大するでしょう。
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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、農産物、オプション)、証券一種外務員