利上げ打ち止め期待の先延ばしか(利回り格差絶賛拡大中) | 浪風谷本

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次の10年へ

先日公開されたFOMC議事録によると、FRB中立金利を越えた利上げを進める可能性に言及しています。

パウエル議長も今月3日に開催されたイベントの中で、以下のように述べています。

 

「われわれは中立を超えるかもしれない。しかし現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」

 

議事録公開後、米債金利は再び上昇する動きとなっており、2年物利回りは2008年6月24日以来となる2.89%、10年物利回りも再び3.2%を越えてきました。

 

以前より利上げサイクルの過程では、米債利回り格差は縮小する傾向にあるとお伝えしています。

利上げを織り込むために短期債が売られ、利上げ終了を織り込んで長期債は買われるためです。

現に2015年12月のFOMC会合から数えること8回、FRBは25bpずつ利上げを行っていますが、その都度利回り格差は縮小する傾向にあります。

 

FOMC開催日

FF金利中央値

  2Yr

  10Yr

    Yield Curve

2015.10.28

0.125

  0.73

  2.10

    1.37

2015.12.16

0.375

  0.98

  2.28

    1.30

2016.11.02

0.375

  0.83

  1.83

    1.00

2016.12.14

0.625

  1.27

  2.54

    1.27

2017.02.01

0.625

  1.19

  2.45

    1.26

2017.03.15

0.875

  1.40

  2.60

    1.20

2017.05.03

0.875

  1.30

  2.33

    1.03

2017.06.14

1.125

  1.35

  2.15

    0.80

2017.11.01

1.125

  1.60

  2.38

    0.78

2017.12.13

1.375

  1.79

  2.36

    0.57

2018.01.31

1.375

  2.14

  2.72

    0.58

2018.03.21

1.625

  2.31

  2.89

    0.58

2018.05.02

1.625

  2.49

  2.97

    0.48

2018.06.13

1.875

  2.59

  2.98

    0.40

2018.08.01

1.875

  2.67

  2.96

    0.29

2018.09.26

2.250

  2.83

  3.06

    0.23

黄字は利上げを行った会合

 

私の記録では、8月27日に20bpを割り込んでいます。

 

 

このまま行くと、年末から来年初めにかけて逆イールドが見られるのではないかと危惧していました。

ところが9月FOMCが終了し10月に入ると、利回り格差は徐々に広がり始めています

ダウが天井を付けたのが10月3日でしたが、そのあたりからでしょうか。

 

 

おそらくこのときに米債はだいぶ買い戻されましたので、週末のCFTCで確認しましょう。

そしてもう一度債券は売られ始め、利回り格差は広がり始めました。

この動きは、市場が利上げ打ち止め期待を先に延ばした結果だと思います。

もしくは中国による米債売却でしょう。

 

トランプ大統領は連日のFRB批判を繰り広げています。

トランプ大統領のおっしゃる通り、このまま引き締めを継続すると株価にも多大なる影響を及ぼしかねません。

しかし、「トランプとFRBは一枚岩」です。

現在繰り広げられているFRB批判はあくまで株安に備えたアリバイ作りで、ドル高という強力な武器をトランプ大統領が手放すはずがないと考えます。

 

お知らせ

今晩の内部要因更新は、当方の都合で遅くなります。

よろしくお願いいたします。

 

 


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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、農産物、オプション)、証券一種外務員