今年7月26日更新記事「僕が金を売らない理由」の中で、
唯一金の売り材料になりそうだったのが「イエレン議長退任」です。
退任を理由に金融政策正常化を急ぐ可能性を指摘しました。
私のなかではほぼ100%イエレン議長退任、「ゲイリー・コーン」モードでしたが、
コーン氏辞退、イエレン議長留任の芽が出てきました(記事)。
ロスチャイルド優勢などの議論は置いておいて、イエレン留任となった場合の相場展開を考えます。
まずは記事のなかにもありますが、初期反応としてはコーン氏辞退によるドル安でしょう。
前回オバマ大統領は政府機関閉鎖の中、10月9日にイエレン氏を次期FRB議長に指名しています。
もしイエレン議長留任なら引き金はコーン氏辞退でしょうから、指名はもう少し早くなるかもしれません。
仮に今月FOMC前までに指名されるようなことがあった場合は、金融政策への影響もありそうです。
完全に推測ではありますが、さらなる4年の猶予が彼女を本来の「ハト派」に戻すのではないか。
そんな風にも考えてみます。
恨み節のように散々書いていますが、今年3月の利上げは唐突過ぎました。
(この表現しかできませんが)連銀総裁からの「まことしやかな」利上げ推しを経て、
3月14日、15日のFOMCにおいてFRBは0.75%へと利上げを敢行しました。
そして6月FOMCで再度利上げをしたうえで、バランスシート縮小へのハードルであった
政策金利1%をクリアしたのです(今年1月20日ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁発言より)。
金融政策の正常化は、長年FRBに従事する彼女の花道を飾るうえでも悲願であると考えますが、
もし4年の猶予を与えられることとなった場合は、そんなに急がないのではないか?
次に彼女の取り巻きについて考えましょう。
今年6月FOMC時点でのメンバーによる政策金利見通しは、1.00%が4人、1.25%が8人、1.50%が4人。
つまり今年6月時点では「あと1回利上げ」が平均で、これが中間派(残りはハト派4人、タカ派4人)。
今年の投票権を有する9人がどこに入るか当てはめてみると、以下となります。
ハト派
カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁(ハト派本命)、エバンス・シカゴ連銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁
中間派
イエレン議長、フィッシャー副議長、パウエル理事、ブレイナード理事、ダドリーNY連銀総裁、
ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁
タカ派
該当なし
カシュカリ総裁は前回も唯一利上げ反対でしたので安パイ。
エバンス総裁は8月の発言で低インフレ率に言及する一方、BS縮小は容認。
カプラン総裁も9月BS縮小は容認のようであるが、利上げには「慎重になれる」とのこと。
6月時点で3対6ですから、イエレン議長ともう一人が寝返ると可能性ありそうですね。
しかし今のFRBはフィッシャー副議長によるところが大きいと思われますので、彼の発言には要注意。
「政治的、および経済的な不透明感が米国や世界の経済成長減速につながっている」先月の発言です。
基本的には年末利上げの有無はそれまでに越えなければいけないハードルが多いことから、
安易な予測は禁物です。
しかしイエレン議長留任の可能性も出てきたため、もしそのようなニュースが飛び込んできたときに、
どのように対応するかの選択肢も頭に入れておきましょう。
追伸
日本時間明日の晩20時15分に、嵐のような水星逆行期間が終わります。
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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、オプション)、証券一種外務員
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