遺留分減殺請求は、故人の遺言によって法定相続人の受けるべき最低限の遺産分割が保障されるための制度です。しかし、この手続きは複雑であり、多くの方が専門家に依頼することを選択します。それでも、自分で遺留分減殺請求を行いたいと考える方もいるでしょう。この記事では、司法書士の立場から、自分で遺留分減殺請求を行う方法について解説します。
遺留分減殺請求とは?
遺留分とは、法定相続人が最低限受け取るべき遺産の割合のことを指します。遺言で全ての財産を特定の人に遺贈した場合でも、法定相続人の遺留分は保護される必要があります。遺留分減殺請求は、遺言によって遺留分が侵害された場合に、その回復を求める手続きです。
遺留分減殺請求の手順
第1ステップ 遺留分の計算
自分の遺留分がどれくらいあるのかを計算します。遺留分の割合は、法定相続人の立場・状況によって異なります。
具体的な数字として、請求者が配偶者や子供の場合は、相続財産の25〜50%のいずれかとなります。
第2ステップ 遺産の総額の確定
故人の財産(不動産、預貯金、株式など)の総額を確定します。
これには、故人名義の財産だけでなく、生前に贈与された財産も含まれる場合があります。
遺産の総額がわからない場合は、遺言執行者に確認しましょう。
遺言執行者は、遺産の総額を開示する義務があります。
第3ステップ 遺留分侵害額の計算
遺留分の計算と遺産総額をもとに、実際に受け取った遺産と自分の遺留分との差額を計算します。
この差額が遺留分侵害額になります。
第4ステップ 減殺請求の通知
遺留分侵害額を基に、遺留分の減殺を請求する相手方(遺言による受益者や沢山の財産を相続した相続人など)に対して、減殺請求の通知を行います。この通知は、内容証明郵便で送ることが一般的です。
第5ステップ 協議
減殺請求を受けた相手方との間で、遺留分に関する協議を行います。この段階で合意に至れば、遺産分割協議書を作成し、遺留分の問題を解決します。
第6ステップ 裁判
協議が不成立の場合は、裁判を通じて遺留分減殺請求を行うことになります。この場合、訴状の作成や証拠の収集など、専門的な知識が必要になるため、弁護士や司法書士等に相談することをお勧めします。
注意点
遺留分減殺請求には時効があります。遺産分割協議が成立した日、または遺言の存在を知った日から1年以内、故人の死亡から10年以内に請求を行う必要があります。
自分で遺留分減殺請求を行うことは可能ですが、適切な手続きを踏むことが重要です。
よって、まずは上記のステップをしっかり守って手続きを行って下さい。