遺言書には、作成する時点で生存している者(相続人・第三者)に対して、相続させたり、遺贈する財産と内容を指定します。

ただ、想定していた通りに進まないことがあります。

たとえば、指定した相続人・第三者が、遺言者より先に亡くなった場合です。

 

 

  ケース① 妻にすべて相続させる

 

遺言者(夫)は、自分が妻より先に亡くなると考えていても、現実には妻が先に亡くなることあります。

そんな時に、妻にすべて財産を相続させるという遺言書を書いていた場合、そもそもその遺言書は効力を発揮することはできません。

 

妻が、既に死亡しているので、妻の子供(夫の子供でもある)たちが、遺産分割協議をすることになります。

 

 

  ケース② 長男に相続させる

 

父、母、長男、長女の家庭で、

遺言者(父)が、長男に相続させるという遺言書を書いていたとしても、長男が死亡していた場合は、長男が相続する財産に関しては、 母、長女及び長男の子供達で、再度遺産分割協議をする必要があります。

 

 

 

 

  ケース③ 第三者に相続(遺贈)させる

 

遺言者が死亡する前に受遺者(第三者)が死亡すると、遺贈は無効になります。

その受遺者の相続人が、その遺言書の遺贈を代わりに受けることができません。

 

この根拠は、民法です。
第994条(受遺者の死亡による遺贈の失効)

 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。

 

 

だだし、遺言書自体は有効です。

遺言書に当該遺贈以外の記載があれば、当該遺贈以外の効力は有効です。

 

 

 

  対応策

 

これしかありません。下記のブログ記事です。

遺言書には、必ず予備的条項入れて。

この予備的条項を必ず入れてください。

 

第〇条 遺言者より前にまたは遺言者と同時に配偶者○○が死亡していた場合は、遺言者は前条記載の財産の一切を、遺言者の子○○(昭和○年〇月〇日生)に相続させる。

 

これは、家族以外の第三者に相続(遺贈)させるときも同じです。

 

せっかく作成した遺言書が、トラブルを引き起こすこともあります。

注意してください。