見落としがちな盲点
なんとも気になるニュースを耳にしたのは、数日前のことだった。
未だに感染の拡大を防ぎきれない状況の中で、陽性と判定されたものの自宅療養を余儀なくされている人々の容態を見守り、容態の急変にすばやく気づき、最悪の事態を未然に防ぐ目的で、オキシメータを該当者全員に配布する、と政府は誇らしげに胸を張って公表した。
現実を知らない一般の人々は、政府の本気度を確認した、思いで、好意的に受け止めだであろう。
実はこの救済策には思わぬ盲点があったのだ。
思うにこの政治家は、側近の提言を直ちに受け入れ、直ちに実施するようにゴーサインを出したのだろう。だが、もしこの政治家が日ごろ公言しているように、国民一人、一人の声に耳を傾けるきめ細かな姿勢を実践する意欲があれば、まず、実物を手に取り、自分自身で試してみただろう。その結果、このオキシメータは確かに指先をはさむだけで、即座に体内の酸素量を測定し、液晶画面に測定値を表示する。まことに便利な計測器であることを実感すると同時に、もし、この政治家に更に一歩進んだ想像力があれば、この計測器には読み上げ機能がないことに気づくだろう。自宅療養を余儀なくされている人々の中には、高齢者も居るだろうし、更には視覚障害者も居るかもしれない。そのような人々は、液晶画面に表示された数値が読めるだろうか、と初めて見落としていた欠陥に気づくだろう。そこで、この政治家は、何とか対策を講じようと試行錯誤をするだろう。余計なコストも人手も必要になるだろうが、弱者の側に立って政治を行ってこそ、前途に期待が持てる世の中になるだろう。