アカギ EPISODE306 感想 ~再び降り立つその日まで・・・~ | ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

カイジ・アカギ・トネガワ等
福本伸行先生の漫画作品
について意見するブログ。
熱い三流を目指します!

遅ればせながら・・・更新。
 
 
 
福本作品の歴史が動きました。

 

 
2/1・・・当ブログのアクセス数がこちら。
普段は1~2万、多くても4~5万ですから、
10万というのはあり得ない数字。

 

 

もちろん・・・これは今回の出来事における、世間の注目度の高さに他なりません。

当然ながら、それはYahoo!ニュースでもトップを飾りました。

 

 

麻雀は知らずとも、誰もがこの名は知っている・・・

 
 
アカギ・・・
 
その伝説に、ひとまず幕が下りた。
表紙には

我らが赤木しげる、その最大にして究極の敵・鷲巣巌、

以下・・・過去の主要キャラが勢揃い。

 
・・・なのですが、南郷さんや矢木、竜崎、仲井、治あたりを差し置いてまで閻魔や鬼がいますし、白服からは鈴木でも岡本でもなく、なぜか酒井。

 

割と謎の人選ですね。
 
まぁそれはいいとして・・・連載終了後は読切の予定があるとの事でしたが、表紙にはアカギ「完結」号と明記されています。

今回でアカギ伝説は一区切りを迎えるという事になりますね。

 

つまり、これが取り敢えずのラストエピソード。

色々と感慨に浸りながら書き残そうと思います。

 

 
ただ正直なところ、
どこか感想を・・・書きたくない気持ちもありました。
 
 
買って、読んで、感想の文章に起こす・・・そのルーティーンが終われば、私の中でその一話は過ぎ去ったもの。
 
この感想を書き終えれば、私の中では最終話ではあっても最新話ではなくなる。
その瞬間から、アカギという作品が過去へと変わってしまう・・・。
 

 

とはいえ書かないという選択肢は無いわけで、あまりしんみりせずに1ページずつ、1コマずつを噛み締めよう。

 

 

前回、アカギはすり替えのトリックによって手本引きの勝ち金を守ると、翌朝の電車で弥代組の管轄から逃れることに成功しました。

 

一方・・・3年間その身を追い続けていた鷲巣は、ひと足遅く港に出現。

みすみす逃走を許した組員たちを罵倒していました。

しかし、組員たちは丁度アカギに嵌められた事に気付き、頭に血を上らせていたところ。

 

誰とも知らぬ老人に馬鹿にされ、衝動的に掴みかかりますが・・・

その瞬間、鷲巣は懐の拳銃に気づきました。

相手が自分を鷲巣と知らないのをいいことに・・・
 
惚けたふりして乱射開始・・・!
78歳となってもその狂気は健在!
 
組員たちは呆れ慄いていますが、白服たちは静観している辺り・・・多くの修羅場を潜る様を見届けてきたのでしょうね。

 

この乱射も単なる狂態ではなく・・・鷲巣のこの3年間そのものでした。

 

ポン、ポン、ポン・・・

会う事も儘ならん
 
鷲巣麻雀、最終6回戦オーラス・・・
 
鷲巣の最終形がこちら。
 

  

そして鈴木の手には

 

一筒東南西白發中

がありました。

 

安岡のツモによっては阻まれる可能性があったとはいえ、ポンを重ねていけばほぼ和了は確定。

 

残すはウイニングランのみ・・・という所で意識は途切れたのでした。

 

 

血肉を削った闘牌を繰り広げていたからこそ、ルール違反の輸血というイレギュラーな形での決着だったのは、アカギも悔いていた事。

 

感傷に浸る鷲巣ですが、それはただ虚しいばかり。

拳銃を投げ捨て、アカギを探すために踵を返しました。

 

 

とはいえ組としては発砲されて見逃せるはずはありませんが・・・ただ一人、若頭の男は自重。

 

去り際で一言、白服が老人のことを「鷲巣」と呼んだのを聞き逃しませんでした。

鷲巣は表ではもちろん、裏の財政をも牛耳っていた男。
末端の組であれば数日と掛からず潰すのも訳ない事です。

 

事の大きさに気づいた組員たちは、掌を返して恫喝を謝罪。

一様に遜りますが、鷲巣はこの程度の格下にマジになる器ではありません。

 

が・・・それは脅しに対しての事。

もう片方への怒りは収まっていませんでした。

 

つまり、自分とは比べるに値しないほど格下でありながら、ただ感情に任せてアカギを殺そうと宣ったこと。

そんな資格も権利も、憎悪も敬意も歴史も無いのです。

 

覚えておけ!

それは仰る通り、間違いないね。
 
鷲巣の人生において、アカギは遂に出会った唯一の同類。
その至高のライバルとの決着を付けられないばかりか、再会できるすんでのところで先立たれたとなれば・・・これはもう鷲巣の生涯そのものを殺され、否定されたようなものです。
 
まさに魂からの叫びを残し・・・
こみ上げる渇望を胸に、鷲巣は悄然と防波堤を去るのでした・・・。
 
 
 
一方・・・その頃、
鉄道を途中下車していたアカギは、治と共に立ち食いそば屋で食事中。
 
前回・・・博奕に手を抜いての小勝ちなどあり得ない、そんな姿勢では必ず負けると語ったアカギは、どこか感慨深げでした。
 
治はその負けについて詮索し始めますが、アカギは取り立てて語ることはなく、その件について再戦したい気持ちもありません。
そのサッパリした表情からも、相手を認めているのは明白。
 
それを察した治は、その相手と勝負抜きで一晩語り合うことを勧めますが・・・
今でも不意に過る、あの夜の死闘。
それは互いの命を牌に捧げ、その魂を張り合った純な記憶。
 
その一瞬、一秒に込められた熱を言葉で語り合うなど、真剣であった博奕への冒涜かもしれませんね。
 
 
そしてアカギが降り立った地は・・・いつでも気紛れ。
13歳のアカギが雀荘みどりへ迷い込んだこと、性にも合わずに玩具工場で勤務していたこと、倉田組の丁半に入り浸っていたこと、そして弥城組の手本引きに赴いたこと・・・
 
事あるごとに雲隠れしても、行きつく先はアカギの人生に沿った勝負の道へ繋がっていました。
 
直感を信じてこそ、博徒の矜持・・・その流れに身を任せた先こそ、自分が歩むべく定められた道、
この湯治場への途中下車も、自らの意思に沿っただけ。
 
アカギの意思が選んだ地、
鷲巣ヶ谷。
なるほど、前回調べても存在しないはずでした。
実はその身を追い、接近していることをアカギは知りません。
 
しかし博徒の持つ意思が、この流れを選んだ。
その人々が持つ宿運とすれば、アカギは波乱に邂逅する運命なのかもしれません。
アカギに宿る狂気への誘引・・・
それが果たされたのかどうかは、もはや誰にも知れない。
 
 
「アカギ」、最終話、完結。

 

 

しかし、その人生は博徒そのものを体現していく・・・そんな未来を感じさせるラストでした。
 
今回はどこか柔和な、後の赤木像へと繋がる表情やセリフも散見されましたね。
 
アカギ、21歳。その伝説は、始まったばかり。
次に降り立つ地では、果たして如何なる運命が待っていたのか。
 
 
そして、天和通りへと至るまで・・・
 
その身が飛散するまで・・・
 
今でもその風と共に、アカギの魂は生き続ける。
 
 
 
アカギ、
そして福本先生、
比類なき伝説を・・・ありがとうございました。
 
そしてこれからも、伝説の新章が綴られる日を待ち望んでいます。
 
 
・近代麻雀2018/03/01号より。
 
 
※最終巻となる36巻は5月発売予定です。