賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編・第254話『激突』感想 ~溶解不可能の氷~ | ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

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先日予告していました PSカイジの実況動画を投稿。
今後はPS2アカギと交互に上げる予定です。
 
正直小っ恥ずかしいのでここには載せませんが、ニコ動で検索すれば出てくるはず。
 
ただ・・・元々くぐもった声で滑舌も悪いので、改めて向いていない事がよく分かった(^_^;
再生はくれぐれも自己責任でお願いします。

 

ゲーム自体は想像以上に正統派の心理戦を楽しめているので、黒歴史となろうが完走はしたいな。

 

 

以下、今週のカイジ感想です。

 

 

※年表&ワン・ポーカー戦歴

http://ameblo.jp/fake-or-bluff/entry-12293133639.html

 

前回、遂にベルトが解除、和也は椅子にしがみつきながら絶望を覚えました。

 

そして・・・死の淵で回想されたのは、同じくマザー・ソフィーに選ばれなかった幼い日のトラウマ。

 

とある休日、その一家団欒のクルージングで何があったのでしょうか。

 

 

母親であるソフィーが和也に微笑み、手を振った直後、船はカジキかイルカか・・・ともかく何かの激突を受けて大揺れ。

 

黒ひげゲームをへりのすぐ側で遊んでいたため、

まだ4歳の頃ですし、頭から水中に沈めばパニックになるよね。
自力で上がってこいと言うのは辛い話。
 
当然、子が溺れれば親はすぐに救助へ向かいますが・・・
 
このとき和也にとって不運だったのは、船尾にいた兄の和貴も同じように海へ落下した事。
 
しかも、
対して、和也がいた場所は仕切りで遮られ、ちょうど人目の死角。
 
落ちてからも顔を上げられず、声も出せなかったために見過ごされてしまったのです・・・!
 
 
もう一つの緊急事態が起こっているとは誰も知らず、和貴は迅速に救助されました。
まあサメに喰われたら泣けもしないわけで。
 
しかし・・・さすが奥さん、会長を呼び捨てに出来るとは豪胆だな。
ちょっと天然で怠惰ですけど、常識は持っているようですね。良い性格をしてる。

 

 

一同は危機が去ったと胸をなで下ろしますが・・・

この時、本当に危機的状況に置かれていたのは和貴ではありません。

 

事故発生からしばらくの間、あろうことか和也はただただ放っておかれたのです。

 

もちろん故意ではないにしろ、本人からすればとんでもない恐怖だよね。見捨てられたと受け取っても仕方がない。

 

 

散乱する黒ひげゲームから最初に異変を察知したのは、家政婦の和枝。

事なきを得る!
 
対応が遅れてしまい、黒服たちは和也へ必死に陳謝。
 
会長は分からんもんは分からん、と開き直っていますが、
ソフィーは本当に気が気ではなかったようですね・・・。
 
母親として情けなかったことを謝る、素直な愛情が表れているように思えますが・・・
この言葉で、和也は心に傷を負ってしまいました。

 

というのも・・・他の人はともかく、ソフィーは和也が落ちる直前に目を合わせて手を振っていました。

 

つまり海に投げ出される瞬間を目撃していたにも関わらず、真っ先に助けたのは兄の和貴。

気付かなかったなど嘘、後回しにされたのは故意だと・・・和也は確信してしまったのです。

 

しかし、実はこれは全くの誤解。

真実は違っていました。

 

事故直前、

ソフィーが手を振っていた本当の相手は、テーブルの上の鏡。

あの激突!
 
そこでソフィーは反射的に振り返ったため、落下する和貴の救助へ向かうのは当然。
 
決して和也よりも兄を優先したわけではなかったのです。

うわ・・・なんて悲しい勘違いなんだ・・・。

 

しかし、この誤解が解けることのないまま、3年後にソフィーは急逝。

凍り付いていた和也の心の芯は、ついに解凍する術を失ってしまったのです。

 

まあ・・・面と向かってあの時オレを故意に見捨てたよね、なんて怖すぎて聞けないよ。

 

今回のような真実が語られれば霧は晴れますが、万が一それで母親が口ごもるような姿でも目にしたら、もう立ち直れない。

確信しつつも一片のグレーの可能性は残さないと、心の拠り所が無くなってしまうのだろうな。

 

 

そして母親にさえ選ばれなかった衝撃を、今も和也は引きずっています。

 

とどのつまり、自分は愛されない人間。

その凝り固まった価値観は、この記憶に起因していたのですね。

 

 

悪夢の回想を終えてもなお、和也の脳内にはソフィーの声がこだまします。

しかし、

確かに賢そうな外見ではあるけど、兄弟間で出来を比較されるのは辛いだろうな。
会長が顔を嫌っていた一条に似たタイプですけど、実子は特別だよね。

 

しかし・・・誤解とはいえ母親からも優先順位を付けられ、親の七光り、会長の影ばかりを窺われて人間関係も崩壊・・・そりゃあ人間不信になっても不思議はない。

 

 

誰にも望まれず、愛されない自分は、果たして・・・何のために存在しているのか。

全ての営為は不毛だったのかと、希望を無くした和也。

 

生への執着が途切れたのか、それは意図せず握力にも影響してしまいました。

え・・・!(O_O)

 

・・・・お、落ちる・・・!?

 

 
 
絶望と悲惨を湛えながら・・・

和也はとうとう落下・・・!( °д°)

和也は何人もの命を不当なギャンブルで奪ってきました。
 
当然・・・それは今回語られたような、過去の境遇程度で擁護できるものではありません。和也の自業自得である部分も多い。
 
しかし、救われてほしい。
こじれた人間関係も、誤解も、その果ての処刑執行も、天罰の一語で片付けたくはない。
心を満たす手段として凶行を選んだのは理解できませんが、根からの悪人ではないと信じている。
 
一つの些細な価値観の補正で救われるはず・・・救われてほしい。

 

 

回想は二話で完結しましたし、和也の性格の構築を裏付けるもので興味深かったな。

 

既に投下開始、カイジたちはいかにして救うのか・・・

内容が濃くなってきただけに、続きが再来週というのが焦れるなぁ