「やはりまだいたのですか」
突然現れた白猫に、ヨンがうんざりといった声を上げた。
「そうよ。
だってうちが気に入ったみたいなんだもの。
自由にさせてるのに、ちゃんと戻ってくるのよ。
それにね、この子賢いの。
私が研究してると邪魔しないで大人しくしてるの。
空気読むのね」
(賢い?これが?)
ヨンは目を細め、筆に興奮している猫を見つめた。
「そのぼんど、というのは何です」
「名前よ。
この前話してあげた例の凄腕スパイ、ジェームズ・ボンドから貰ったの。
この子にぴったりじゃない?きっと役に立つわよ……ちょっと、ボンド、だめよ、だーめ、これはあなたのおもちゃじゃないの」
ウンスの甘い叱責などなんのその。
彼女の高く上げた筆をめがけ、よじ登ろうと必死に衣にぶら下がっている。
「どう見ても役に立つようには見えないが」
ヨンは猫の首輪をぐっと掴むと、ウンスから引き剥がした。
「テマン!」
扉を開け廊下に放り出すと、心得たとばかりに彼の忠実な弟分が走ってきて猫を捕獲した。
にゃおおおおんと不満げな鳴き声が段々と遠ざかって行く。
ここ数日のお決まりの儀式だ。
「もう…!
ヨンってば…大人気ないんだから」
ウンスは不満げに口を尖らすが、このまま放っておけば、奴は閨の中まで入り込む事必至なのだ。
「ところでイムジャ」
ヨンはウンスの気を逸らすように話を変えた。
「今日、その文具屋に行った時に、気になる話を聞いたのですが」
「気になるって?」
早速身を乗り出したウンスに、ヨンは文具屋の母親の話をした。
「すごい偶然!
その話、私も今日スミさんから聞いたところよ。
ここのご主人のお母さんの事だったのね」
「医員は痴呆だと言っていたそうだが、イムジャはどう思いますか?」
「そうねえ」
ウンスは考え込んだ。
「確かにレビー小体型認知症といって、幻視症状が出る痴呆があるわね」
「では、やはり痴呆だと」
「それは検査してみないとわからないわ」
「検査とは何をするのです」
「確実なのは天界にある道具で頭の中を見る事ね。
でもここじゃ無理だから、問診と運動検査になるかしら。
…ねえ、ヨン」
「何です」
「その文具屋さんに私を連れて行ってくれない?」
ウンスにこの話をすれば、きっとそう言うだろうと思っていた。
それなのに話したのは、文具屋に少々同情したから…ではない。
「明後日なら」
ヨンは答えた。
「ほんと?」
「ええ。半日なら休みが取れそうです。屋敷で待っていてください」
ウンスに笑顔が浮かぶ。
妻を喜ばせるには、一に腹を満たすこと。
次に好奇心を満たすことなのである。
アメンバーの件
沢山のご応募ありがとうございました
予告通り、今朝8時で締め切らせて頂きました
ただいま承認作業中です
アメーバのメンテナンスと被ったみたいで、
申請できないケースがあったようです
メッセージくださった方には申請来てませんよ、と連絡しましたが、メッセージのない方で、もしかしたら申請できてると思ってできていなかった方がおられるのかも?
やはり今回も色々と不備がありまして
メッセージ頂いた方にはご連絡差し上げましたが、
メッセージのない方へ私信です
oo…様、ka…様
ご新規だと思いますので自己紹介のメッセージをお願いします
(性別、年代、生息地など…個人情報になるのでコメントはやめてくださいね)
mi…様、ch…様、yo…様
承認にあたり、【事件簿】からランダムにいいねを確認させて頂いています
確認が取れなかったので、とりあえず保留にしてます
再度振り返って頂けると幸いです
何か私の勘違い、連絡がない、などがあったらメッセージをください!
今回間に合わなかった方からもご連絡頂きました
また近いうちに募集しますので、お待ちくださいね
くぅ