霞家とコラボ 1DAY Adventure~ウンスver…? 10 | 壺中之天地 ~ シンイの世界にて

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韓国ドラマ【信義】の二次小説を書いています

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「トクマン…君?」

もし迂達赤の彼を、現代風に髪型を変えて洋服を着させたら、まさにこの男になるだろうと思う。
ヨンもウンスもいる世界だ。トクマンがいてもおかしくはない。
それにしても…

(トクマン君でこの完成度よ、ヨンの実物はどんな感じなのかしら……)

食い入るようにトクマンを見つめるウンス。


「ウンス先生?どうしたんですか??
今日はいつもと雰囲気が違いますね。
何というか…いつもより美しさに凄みがあると言うか…踏まれたくなるような…っていうか…
あっすみません!…こんなこと言ったのバレたらまた蹴られちゃうな……」

「え?ああそう?…ちょっと、イメチェンしてみたの…。
ねぇねぇ、それよりそれ、美味しい?」

「これですか??
俺も仕事の途中に見つけて、思わず入っちゃったんですけど……
いや〜これ美味いですよ、チョコチップの食感がアクセントになってて、ダークチョコレートパウダーがまた味をキリッと引き締めてるんですよね〜。
幻にするのもったいないな〜でも幻だからいいのか…
次カスタマイズするなら、俺なら…なんちゃらかんちゃら…なんちゃらかんちゃら…」

謎に熱い。
【注:こっちのトクマンはまあまあ有名なパティシエでもある】

迂達赤のトクマンも実はこんなに甘党だったのだろうか……?帰ったら差し入れしてあげよう……
うんちくを聞きながら、高麗のトクマンに思いを馳せる。

「へぇぇ、そんなに美味しいの…
ちょっと頂戴」

ウンスがフラペチーノを取ろうと手を出した。

「えっ」

トクマンが手に持つカップを引っ込め、慌てて立ち上がった。

「何言ってるんですか、ちょっと待っててください!」

急いでレジに向かうとすぐに
新しいフラペチーノを持ってきてくれた。

「はい、どうぞ……!」

「え?うそ、トクマン君ご馳走してくれるの?」

「もちろん!」

満面の笑顔だ。

「ありがとう、気が利くわね〜!
そういう男ってモテるわよ。
彼女は?」

ウンスの何気ない質問に、トクマンは悩ましげな溜息を一つ吐いた。

「彼女はいないんです。
いないんですけど……」

「けど?
……これ美味しい…」

「なんていうか…妹なんです。そう、妹」

「ふぅ〜ん…それで?
確かにこのチョコチップの食感最高ねぇ…」

相槌を打ちながらも、ウンスの手はせっせとフラペチーノのクリームを掬っては口に運んでいる。

「ミスキャンパスなんかになっちゃったら…最近やたら男が群がるようになって……面白くないというか、腹が立つというか」

「うん、それは面白くないわね」

(それって、もう既に恋してるってことじゃないのかしら……気づいてないのね。
かわいい……)

ウンスはトクマンの話を微笑ましく聞きながら、ふと思う。

(そういえばこんな恋話、迂達赤のみんなからは聞いたことないかも……)

高麗は結婚も早いが、迂達赤の隊員達は押し並べて独り身ばかりだ。
妻子持ちで思い浮かぶのは、チュンソクと、それ以外は指折り数えて片手もいかないかもしれない。
上官であるヨンを気遣って先に婚姻できなかった……ってことはないだろうが、恋愛も不自由な時代である。婚期を逃してしまった隊員たちも多そうだ。

(うっかりしてた……!
実力もありながら、家柄よし、容姿よしの自慢の子達なのに、あれかしら、仕事しすぎて出会いがない、ってやつ?
このままだと兵舎が寂しい独身男性で溢れ返って、迂達赤に入ると独り身の呪いにかけられるとか、変な噂が流れちゃう…
ここは私の出番ね。帰ったら早速…)

ウンスの頭の中で、お節介プランが進行中だ。
おそらく実行に移す前にヨンによって阻止されるだろうことに、本人は気づいていない。


その時だ。
ブルブルとトクマンのスマホが鳴った。

「うわっ チュンソクさんだ!」

慌てて電話に出る。

電話の向こうから、大きな声が聞こえてくる。

『お前、どこで油を売ってるんだ!お前がいないと仕事が進まないってトルべとテマンが怒ってるぞ!』

漏れ聞こえてくる内容から、ウンスのよく知る名前が次々に聞こえる。

(トルべ君もここでは元気なのね…)

ウンスの胸が熱くなる。

「すみません!すぐ帰ります!」

そう言ってトクマンは電話を切ると、慌ててジャケットを羽織った。

「お先に失礼します!
あっ、ウンス先生、この事はボスには内緒でお願いします……!」

「ボス?ああ、ボスね」

【完璧なボス】というスマホの表示を思い出す。きっとヨンのことだ。
ここでもやはり、鬼の上官なのか。

「ねえ、忙しいのは結構だけど、大事な人逃しちゃだめよ。
運命の人ってそうはいないんだから」

「はい?」

「そのうちわかるわ。
はやく、急がないとまたボスにお尻蹴られるわよ」

「はいっ」

走って出て行くトクマンに、ウンスはご馳走さま〜と声をかけて見送った。





偶然出会ったのはトクマン君でした〜
霞さん家では、彼は会社のレストラン事業を任されていました
研究熱心なんでしょうね
帰った後、ウンスが暫くの間、トクマンをスイーツ攻めにしたとかしなかったとか……!?

さて、明日は霞家

ヨンは何かを勘づいたのでしょうか?
こっちのウンスは逃げ切れるのでしょうか……?(何からだ??)