彼女が泣いている間、俺はただ彼女を見守るしか出来なかった。
慰めようとしたが、かける言葉が見つからない。
しばらくして彼女は泣き止んだ。


「…ごめん…なさい」
「ううん」
「色々あって…」
「だ、大丈夫?」
「ありがとう、なんかいっつも泣いてばかり、ホントごめんなさい」
「気にしないで」
「やさしいね、fairyさんは」
「良かったら、話聞くけど」
「うーん、でもやめとく、個人的なことだから」
「そっか」


相談してくれなくてちょっと残念だったけど、誰にでも話したくないことはあるだろうから、これ以上は聞かなかった。
ただちょっと心配。
久美子なんか大きなものを背負い込んでるんだと思う。
出来れば俺がそれを取り除いてあげたい。
そう思った。


とりあえず隆には俺から話をするということになって、その日は家に帰った。
といっても何を話していいか分らないけど。


結局告白はまた出来なかった。
ただ二人の距離は少しづつ近づいているとは思う。
(俺の思い込みかもしれないけど)
あせらずじっくりと頑張っていこうとおもう。


是非皆さんも見捨てずに応援してください。


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そうだろうなとは思っていたけれど、相談はやっぱり隆のことだった。

俺とのことを色々と言われたらしい。


「どういうつもりなんだって聞かれたから、ただ映画見に行っただけだよって言ったんです。」

「ごめんね」

「そしたら、fairyさんのことはどう思ってるんだって言うから、良い先輩だって」

「…」

「私とfariyさんはそんなんじゃないのに、何か勘違いしてるみたいで」


勘違いか…

まあ久美子にしたらそうなんだろうな。

俺は本気なのに…


「もしその気が無いなら余計失礼だって、もうfairyさんには近づくなって」

「…そっか」

「何なんだろう隆君」

「多分、久美子ちゃんのことが好きなんだよ」

「え!」

「俺も言われたんだ、二人は釣り合わないって」

「ないない」

「じゃなきゃこんなことしないでしょ」

「…そうかな」

「久美子ちゃんは隆のこと」

「まさか、ただのバイト仲間、それに…あの人ちょっと苦手で」

「まあ、クセあるよな」

「悪い人じゃないけど、ちょっと」

「根は良い奴なんだけど」

「結構本気で怒ってて怖かったんですよ」

「俺のせいでゴメン」

「fairyさんのせいじゃないですよ」


まあ確かに久美子にしてみたらこんなオジさんとカップルに見られるのはちょっと困るだろう。

やっぱり無理なのかな…


「fairyさんはどうなんですか?」

「え?」

「私とそういう風に見られるの迷惑ですか?」

「え、あ、いや、そ、そんなわけ」

「私は結構嬉しかったですよ」

「ま、またまた」


面白そうに笑う彼女を見て、俺は自分の気持を再確認した。

やっぱり俺は久美子が好きだ。


「やっぱりfairyさんと話してると落ち着くな」

「俺も楽しいよ」

「時々こうやって話聞いてもらっても良いですか」

「も、もちろん」


こ、これはいわゆるフラグというやつなのか。

これを折ったら男が廃る。

よし、気持を伝えるぞ。

そう思って彼女を見て思わず固まった。


久美子は…泣いていた…


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昨日バイト中に久美子に突然言われた。

初デート以来あまり話していなかったのでちょっとビックリした。

なんか駄目そうなのでちょっと諦めようかなと思っていたけど、また一気にテンション上がった、


取りあえず今日の夜に一緒に食事に行く事に。

相談とはいえ二回目のデートなので正直楽しみ。


恋愛対象とは見られてないかもしれないけど、少なくとも嫌われてはいないみたいなので、もう少し頑張ってみます。


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今日も相変わらずバイト。

久美子があシフトに入っていないので、あまりやる気が出ない。

バイトのシフトがかみ合わず、あれから彼女とは会っていない。


昼休憩はバイトの隆と一緒になった。

彼は22歳のフリーター。

外見はフツメンだが、重度のオタク。

俺もそこそこのオタクなので話が合い、結構慕ってくれている。

その日も一緒に定食屋に昼飯を食いにいった。

ただ、何故か彼はテンションが低かった。

機嫌でも悪いのかなと思いあまり気にしてなかったが、突然奴は口火を切った。


「fairyさん久美子ちゃんと映画見に行った?」

突然の爆弾発言に俺は思わず口の中の生姜焼きを噴出した。

「え、あ、いや、」

「知ってるんですよ」

「何で?」

「昨日聞いたんです、久美子ちゃんから」

「あ、そう…」

「付き合ってるんですか?」

「そういうんじゃ」

「でもデートですよね」

「ただ一緒に映画見ただけだよ」

「合わないと思います、二人」

「え?」

「年も離れてるし、趣味だって」

「そうかな?」

「絶対上手くいかないです」

「おまえ、もしかして久美子ちゃんのこと?」

「(大声で)そんなわけないじゃないですか!」

「…ゴメン」

「とにかく、彼女はやめておいた方が良いです。」


隆に気圧されて、反論出来なかった。

まさかこんな近くにライバルがいるとは…。

隆は良い奴だけど久美子だけは譲れない。

絶対に。


ただショックだったのは彼女が隆に日曜日のことを話していたこと。

別に隠す必要はないけど、俺にとって特別なことだったので…

それなのに彼女にとっては簡単に人に話せる程度のことだった。

ライバル出現よりもそのことの方がショックだった。


まあ冷静になって考えてみれば、彼女にとってはただの友達と映画を見に行っただけなんだよな…

だからバイト仲間に世間話として話すのもしょうがないよね。

当然だけど俺と久美子の温度差は相当だね。

かなりヘコムな…


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とはいえイキナリ告白は厳しいので、話題をそっち方面に振ってみる。


「久美子ちゃんて彼氏とかいるの?」

「いたらfairyさんと映画なんて行かないですよ」


知ってはいたけど一応再確認。


「それに…彼氏は当分作るつもりないんで」


ガーン!!!!!!!!!!

いきなり出鼻をくじかれた。


「な、なんで?」

「付き合っても長く続いた事がないんです。だから、ちょっと懲りたというか

「勿体無いね、モテそうなのに」

「そんなこと」

「男子学生が放っとかないでしょ」

「何回か告られたことは」

「やっぱり」

「でも…結局全部断っちゃいました。」

「そっか・・・」

「私、結構メンドクサイ女みたいで」

「え?」

「確かに寂しがり屋のくせに個人主義というか、相手に依存しないし、ちょっと分りづらい性格だけど」

「そんなこと」

「fairyさんにはまだ地を出してないから」

「・・・」

「それに実家の手伝いがあるから休日もあまり会えないし、相手にそれが許せないらしくて、いつもフラれちゃうんです。」

「ヒドイね」

「しょうがないですよ。だから恋愛に臆病になっちゃって…こんな風に男の人と映画見るの久しぶりなんです。」

「俺は大丈夫なの?」

「fairyさんは私のこと妹みたいにしか思ってないでしょ」

「いや、そんな」

「良いんですよ、分かってるから…」

「…」


こんな話を聞いた後なので結局告白も出来ず。

その後はあまり深い話は出来なかった。

ただでさえ年齢のハードルがあるので一歩踏み出す勇気が無かった。

ただこのまま帰っては男が廃る。

取りあえず夕飯に誘ってみる。


「あのさ、もんじゃ焼きって嫌い?」

「あ、食べた事ないかも」

「ここ月島の近くなんで、せっかくだから食べて帰らない?」

「すいません、今日は早く帰らないと行けなくて」

「あ、そう・・・」

「又、今度誘ってください」


結局夕飯も断られたので、おとなしく帰ることに。

途中何度も告白しようと頑張りましたが、中々切り出せずとうとう最寄り駅に着いてしまった。


「送っていこうか」

「ここで大丈夫です」

「そっか、今日はどうもありがとう」

「こちらこそ、ありがとございました」


立ち去ろうとした彼女を思い切って呼び止めた。


「久美子ちゃん」

振り返る久美子

「また、誘っても良い?」

「もちろん」

久美子ニコって笑い、そのまま振り返って歩いていってしまった。


俺にはこれが精一杯だった。

応援していただいた皆さん申し訳ありません。

ただ、ここで終わるつもりはありません。

今度は食事にでも誘って、なんとか思いの丈をぶつけたいと思う。

今後とも応援よろしくお願いします。


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