 プレシジョンスポーツの変速レバー。緑矢印の小さいレバーは人差指で手前に引き、青矢印の大きいレバーは親指で押す |
クロスバイクやロードバイクなど、スポーツ自転車に乗ると、変速機がついている。ママチャリにも付いているが、せいぜい３段変速というところだろう。うちにあったママチャリも、グリップの根元にダイヤル式のグリップシフトだった。操作法というほどのものではなく、変速メカも内装なので細かいギヤなど見えないし、何も意識することはない。調子が悪くならない限りメンテナンスフリーだ。
高校生まで乗っていた自転車は５段変速だったが、フレームにあるレバーを微妙に動かして５段階に合わせるアナログ式だったので、特にややこしいと思ったことはなかった。
ところが、クロスバイクを買ったらいきなり24段変速。前3枚、後８枚のギヤを操作することになった。24速もあっていったいどうやって使うんだろうと、一瞬途方に暮れるくらい多い。
その戸惑いを消してくれるほど変速レバーは便利なものだった。プレスポのシフターは、グリップを握ったまま親指と人差し指で操作できる。昔のようにレバーの角度調整が微妙でチェーンがチャラチャラ鳴るようなことはなく、カチャッとクリック一発でギヤが入る。今、何速のギヤに入っているかもインジケーターで分かる。右が後ろ、左が前の変速となっている。
 ダホンP18の変速レバー。ハンドルバー下に並んでいて、どちらも親指で押す |
ところが難儀なことに前のギヤはこれが逆で、親指側でスピードが出て、人差し指で坂道となる。前は変速回数が少ないが、きつい登り坂で間違えて上げてしまい、フラついてこけそうになったこともある。
クロスバイクで1年走り、スポーツ自転車に馴染んできた頃にロードバイクも手に入れた。今までとの大きな違いはドロップハンドル。それまでのバーハンドルとはポジションが変わる。ブレーキレバーも、ただ握ればいいだけではなく、指の添え方やら、それまで乗ってきた自転車とは違う。この辺りが初めてロードバイクに乗る時の不安要素だ。
そして変速。これも全く違うシステムになる。シマノのSTI。ブレーキレバーが変速レバーも兼ねている。右が後ろ、左が前は変わらずだが、変速操作は、ブレーキレバーおよびレバー本体に内蔵されている小さなレバーを内側に押すことで行う。
後ろ(右手)は、レバー全体を押すと（青矢印）ロー側に、小さなレバーだけを押すと（緑矢印）トップ側にシフトされる。そして前のギヤは、レバー全体でアウター(スピードが出る)、小レバーでインナー(登り坂)となる。
 TREKドマーネ4.5の変速レバー、シマノのアルテグラ。機械としての精度が高く動作も正確で節度があって気持ちいい。グレードが上がるほど価格が性能に反映する |
なんでこんなややこしいロジックになっているのか。自分が物覚えが悪いのを棚に上げて、少しイラっとする。しばらくして、やっと自分の思い違いに気付いた。
大きいレバーは大きいギヤ、小さいレバーは小さいギヤだったのだ。
これなら操作のロジックもちゃんと通っている。
プレスポの変速レバーも同様。人差し指の小さいレバーが小さいギヤ、親指の大きいレバーが大きいギヤに対応していたのだ。ダホンも同様だった。
これに気づいた瞬間から頭の中はスッキリ整理され、変速方向を間違うこともなくなった。
レバーの大小は、同時に操作に必要な力の大小も表している。大きなギヤにチェーンを掛け替えるには、チェーンを引っ張って広げなければいけない。小さなギヤに落とすのにそれほど力はいらない。単なるアイコンとしてだけでなく、理由があってのことなのだ。
じっくり眺めてさわっていると、こんなすごいメカニズムを作った人達は本当に偉いと思う。変速するたびにその凄さに触れられるのも、機材スポーツ自転車の面白さだ。
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