お客様より、

最近、鬱血や浮き・鰓異常など、どうしても魚がおかしくなり、不調の挙句バタバタと斃死してしまう。

というご相談があり、魚をお預かり致しました。

 

動画中にあるように、症状としては結果的な敗血症が主疾病となります。

水槽収容時の動作等、極めて典型的な遊泳ポジション・動作を呈しておりますので、飼育者様のご許可をいただき、動画をアップさせていただきました。

これらの特徴は

「浮く」

「鰓の動きが変」

「沈めない」

「各鰭・表皮粘膜の充血」

「尾先の溶け、裂け」

です。

これは放置すると割と早期に斃死が始まります。

 

鰭基部の付け根がぽってりと腫れたように見えるのが、典型的な血管腫脹になります。

この状態が継続すると、毛細血管の末端まで血が届かず、壊死(鰭の裂け・切れ・裂断等)が始まり、それは鰓の毛細血管にも及びます。その為、呼吸は困難になり、鰓病のような症状も呈します。

この状態として誤認識しやすいものはさまざまですが、

「尾腐れ」

「穴空き」

「鰓」

などで、複合感染症に見えがちですが、死に至らしめる原因は結果的な敗血症となります。

 

目に見えている範囲は限られており、浮いている状態というのは浮袋調整機能のみならず、それを司る筋肉や臓器粘膜等の炎症も起こっていると見なければなりません。

従いまして、内&外からのアプローチは絶対不可欠です。

 

使用したコンディショナーは

・スメルチ

・ブラモス

・カラシニコフ

・グラナータ

・ストラジ

5種です。

給餌は治療翌日からBOCTOK3を与えております。

これは単純に増量をしたのではなく、ある成分は足し、ある成分はとどめるというような、魚体バイタルを見ながらの作業を行いました。

搬入から現在に至るまで水換えは一切行っておりません。

 

これらの個体群は、経験豊富な飼育者様のお手元で、非常に良好な管理を受けていたものです。

今回、状態が急転し、私共の元へとやってきたわけですが、

結論から申し上げて飼育者様の管理責任としては何一つ手落ちが無かった疾病であったと判断を致します。

原因はただひとつ。

4月の中旬からの気温上昇に伴い、急上昇した水道水のCODです。

その為、水を換えれば換えるほど症状は悪化し、悪循環になってしまったものと思われます。

https://ameblo.jp/fairlady-sp310/entry-12260010334.html

↑CODについてはこちらをご参照ください。

つまり、ライフラインが劣化し、飼育者様のご自宅に良い水が出なくなった。

たったこれだけのことで、魚は命にかかわるダメージを負います。

 

到着時の袋の水の計測結果は100mg/L以上であり、生きている方が変な数値です。

(手持ち試薬の上限が100㎎/Lだったので、100までしか測れませんでした。工業排水用の試薬ならば500とか1000とかあるので詳細数値が出るかもしれませんが、現実としては100にしろ1000にしろ魚が生きていける数値ではありません)

飼育者様にはCODの緩和策をお伝えし、直近の計測では20㎎/L程度まで下がっていることを確認致しましたので、もう少し時間をかけてクレンジングをした水を使っていただくよう、お願い致しました。

 

毎年のことですが、今年も水を換えたら具合が悪くなる事例が多発しております。

症状そのものに目を奪われがちですが、そこで単純な疾病として捉え、様々な薬を入れてしまうと結果は酷いことになる、ことも案外多いものです。

どうしたらこうなったのか?

正しいことをしていたからこそこうなった、ともいえます。

環境が悪くなる、ということは、飼育者様の責任以外のところで魚が危険に晒されることをも示します。

 

飼育者様には貴重な機会を頂戴し、心より感謝しております。

貴重ななんきんの治療はやりたくても出来るものではありません。

此方の魚たちは順調にいけば後数日でお戻しできます。

どうぞ今後とも宜しくお願い致します。

 

文責:水棲疾病基盤研究所