昔「オオアタマクサガメ」として分類されたこともある、クサガメの巨頭タイプです。
特に雌の巨頭が顕著です。
今回、知人に繁殖の為にお借りし、共同でこの亀達の繁殖を行います。
爬虫類マニアの言うところの、ブリーディングというやつですね!
お約束通り股にはさんで画像を撮ろうと思ったのですが、
やってみたら実にリアリティがあり、
頭だけ股から出すと洒落にならない画像が撮れてしまい、世の中に出すのは止めました。




餌は、現在、通称「少年」と呼んでいる、中学生のお客様に捕獲してきてもらっています。
この少年は、必ず毎週2~3回弊店に遊びに来る常連様で、
「お、来たな、少年!」とか「少年!」とか「どうした、少年!」とか呼んでいます。
彼はフィールドの達人で、私が●●を取ってきてよ!と頼むと、大体3日以内に捕獲してきてくれます。勿論、彼はバキバキの金魚マニアで、私からいろんなことを聞いていきます。
私の機嫌が悪いときにも、忙しいときにも、東京電力と怒鳴りあいをしているときにも、彼は動じず、金魚のイロハを盗み取っていきます。
このまま行くと、彼が20歳ぐらいになった頃には「金魚師匠」と呼ばれる輩100人が束になってもかなわないレベルになるものと心底楽しみにしています。
さて、中学生である彼は、当然お小遣いは少ないのですが、私のオーダーに応じて野の幸を捕獲し、それを金魚に換えます。従って、通貨がその時々によって色々で、少し前まで「アオダイショウ」や「ギギ」「クロメダカ」が通貨単位だったのですが、最近はオオアタマクサガメの餌が通貨単位になっております。
例)
少年「この金魚幾らですか?」
私「3000タニシぐらいだね」とか、「10ギギかな」とか「それ高いよ!2アオ(ダイショウ)だね」とか。
こんな感じです。
そんなこんなでこの少年は、非常に将来有望でかけがえのない大切なお客様の一人です。
追記:
オオアタマクサガメは昔亜種として認識されたものですが、現在はミトコンドリアDNAの解析から、亜種ではなく個体の差異の一部であるという見解が一般的です。
じゃあ、この頭蓋骨が二つに割れたような巨頭化とは何なのか?ということについて、弊店内で議論を重ね、推論を立ててみました。
Q:オオアタマクサガメとは?
→事実としてわかっていることは以下ものである。
1)雌の老化個体に多い。
2)主に硬いカルシウムの多い貝類を好んで摂餌する。
3)しかし、クサガメは普遍的に硬い貝類を常食しているものではなく、どんなに強制しても硬い貝類を拒否するものが非常に多い。
4)異常に発達した嘴を持っている。
5)日本全国でおよそクサガメの分布するエリアでは少ないながら発見されている。
6)遺伝傾向がある。
7)遺伝子解析ではクサガメとオオアタマクサガメは同種と認められた。
概ね1)~7)のような事実があります。
→導き出された推論は以下のようなものとなりました。
・この形質はXX染色体で発現する。Y染色体には乗らないか、極めて稀である。
・カルシウムを異常に欲しがる。これは一種の代謝異常であり、カルシウムの代謝異常を起した場合、人間の場合であっても外観は容易に変貌する。(ex:プロテウス症候群など)頭蓋骨の変形や、特にカルシウムの集積する嘴の異常発達は代謝異常の産物であれば、同種として納得の出来るものである。
・この形質は遺伝性であることが知られている。そして雌に多いということはXXで発現可能になる劣性のものである。*爬虫類の場合については不勉強で恐縮なのだが、魚類の場合、性染色体が必ずしもXX・XYではなく、鮭などでは繁殖できる染色体異常としてXXXXXやXXXY等、単純な法則にあてはまらないケースが多い。仮にXXYのこの種のクサガメがいたならば、それはオオアタマ化するものと考えられる。
・代謝異常として考えた場合、致死性である可能性があるが、生息域に貝類が多いクサガメの場合、欲するものをふんだんに摂取できるのならば、致死性にはならない。貝類の乏しい環境下では知らずに淘汰されている可能性はある。
1992年発刊の加藤進氏著「世界のカメ」にて、オオアタマクサガメが亜種(Chinemys megalocephala)として表記され、中国広西省に分布するグループであると紹介されている。これには、「背甲に3本のキールがあり、頭部と口が非常に大きい。発見されている個体数も僅かである」と説明がある。
頭部と口が非常に大きい以外は、形質的にクサガメとほぼ同様の形態を示すものであり、広東クサガメの背甲キール1本などとはこの点でも差異がある。
このように上記の記載のように、昔から存在することが知られているものであり、昨今の環境汚染や外来種との競合で選択的に摂餌する対象を変えた等の可能性は比較的低いものと考えられる。
→総論
それでは「オオアタマクサガメ」とは、カルシウムの代謝異常をきたす遺伝性疾病のグループであり、「病気」なのか?と問われると、それは、何とも言いがたい。例えば異常をきたした方が餌の安定性が高まる(この場合は貝類)のであれば、これは「病気」ではなく、いわば神の与えた種の選択肢の一つであり、ノーマルな代謝を持つものよりも優位に立つ「進化」ともなる。
しかし、我々ホモサピエンスでも、ざっと分けて黒人・白人・黄色人種の3種が居る。更に細分化すると有名なものではアボリジニの頭蓋骨と白人等の頭蓋骨を並べて「絶対同じ種族ではない」等、極めて差別的な表現がなされるケースも少なくはない。
代謝異常と考えた場合、致死性でない程度ものであるならば、それはその家族の「個性」となり、治療する方法も、また、治療する必要もないことから、【異常なものではない】と考えられ、極めて亜種に近いながらも「同種」の異型であると結論付けられるのではないだろうか?
代謝異常として考えた場合、ブリーディングを行う上でこれは有用な視点となり、その表現型(いわゆるモルフ)、このへテロ(因子として持っているもの)ではない無い個体に無茶をして貝を与えて飢えさせるような愚かなことは不要になり、また、計画的&効率的に繁殖が可能になる。ようは、この形態を利用し、逆引きを行えばよいだけのことなのである。
爬虫類マニアの皆様。
そして学者の皆様。
これらの推論に何か異論をお持ちの場合はご遠慮なく御自説をお聞かせください。
私ども魚類専攻のため、聊かあきめくらの考察なのかとも思い・・・。
更に雄の黒化についてですが、
以前T君が
【クサガメの雄は黒化するが、雌にもするものがある】と、ブログで綴っておりました。
常識の範囲では雄のみ黒化ということになっています。
雄のみ黒化という現象がある以上、性染色体としてY染色体に黒化の形質が含まれていることは十分推察されることであり、全否定することは全く合理的ではありません。
黒化の遺伝子が性染色体のYのみに乗ると仮定した場合、
仮に
XXXYやXXXXXYのような個体が居た場合、X染色体が重合すればするほど外観的には「女性」らしくなるので、Y染色体を持った殆ど雌の外観を持つ個体となります。この場合、Y染色体が入っているので、その「雌のように見える特徴を持った個体」は黒化し、いわゆる「雌が黒化した」という現象が必ずどこかで発生することになります。
従って、T君の言う「雌も黒化」ということは、十分自然下でもありえることであると私どもは考えます。
*X染色体の数を3以上としたのは、XXYの場合、女性とも男性ともつかない中性的外観~男性的外観に偏るケースが多いからです。また魚の場合で恐縮ですが、Yが混ざらなければX染色体は幾ら重合していても、繁殖は可能(当然仔出しは悪くなりますが)です。下手をするとXXXYの場合、繁殖が出来てしまうケースもあるかもしれません。
減数分裂のシステムを考えた場合、卵量の多いものほど投げ輪的に分割されるだけなので、そのとき片側に何が選択されているかは純粋に確率の問題になりますので、交尾~産卵の過程で私たちが普段常識として考えていること以外の事象が多く発生し、全ての選択肢が起こりうるものであろうことは容易に推測が出来ます。
いい加減とまらなくなってきましたので、またこの件については、カテゴリー「オオアタマクサガメ」で綴って参ります。