以下は
http://ameblo.jp/fairlady-sp310/entry-11981628303.html にてご紹介差し上げた
ジャンボオランダの解剖所見になります。
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斃死直前に明らかな脱色が発生したことより、内臓に何らかの障害(機能不全もしくはその他壊疽等)が発生していることを推測し、斃死後48時間室温で経過したものを冷凍保管し、本日の解剖と致しました。
(生前の障害部位の特定の為、定石通り腐敗の開始を確認した後冷凍保管いたしました)
生前の姿と解凍後の姿はかなり変わってしまっているのですが、間違いなく同じ個体です。
(側線位置や鱗数等でご確認下さい)
解剖写真は非常に生々しく刺激が強い為、pdfファイルとし、ダウンロード可能な形といたしました。ブログにアップしているサムネイル画像は、白黒&加工しております。
閲覧を希望される方は、以下のURLよりダウンロード下さい。
【閲覧注意です】http://katsumishouten.jp/kingyo/matsugkarakaibouJora.pdf


解剖所見:
【死前期】
斃死直前、明らかな脱色の発生。
 →肝臓もしくは腎臓機能の異常が疑われる

【解剖時】
鰓:異常は認められない
腎臓:異常は認められない
心臓:異常は認められない
浮き袋:異常は認められない
肝臓:やや形が崩壊/色は白色
   →死前に痛んでいた可能性がある
腹膜:重力のかかる部位に明らかに粘膜剥離痕跡
   凝血点を播種状に確認
腸:全体的に腸を包む粘膜が剥離し、炎症を生前起こしていたことを確認
  (全体的に形状が半崩壊)

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死因:腹膜炎から敗血症を起こし、斃死に至ったのではないかと推測される

腹膜の粘膜剥離と凝血点について推測:
まつかさは腹水を急激に抜くと、血性の腹水を誘発し、短時間に斃死に至ることが経験上判明している。
今回大型個体を目視で確認したところ、既に生前に腹膜の剥離が発生していたことが明らかになった。これは可能性としては推測されるものではあったが、直に目視できたことで事実として確定した。
加圧後の減圧により上皮や粘膜組織の致死的剥離が発生する疾病は、人間では免疫異常亢進系の疾病に見られる特徴である。(例:SJS症候群等)
免疫の異常亢進が収まらないうちに腹水を減圧してしまうと、腹膜の致死的剥離を誘発し、敗血症により短時間に斃死させることが伺えた。
今回、この個体については速やかな腹水の減圧=立鱗の解消にこだわり、免疫の異常亢進状態を解消するすべなく腹膜炎を発生させ、斃死に至らしめたものと思われる。
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【今後の対策】
●今回の失敗のひとつの要因に、幾度かの換水があったものとおもわれる。
治るまで水の維持の出来るような容量の水槽を用意すべきであり、頻繁な換水は腹水の減圧を促すため、斃死を誘発する要因のひとつとなる。
塩は0.6%使用し、浸透圧による内部への取り込みを優先した。0.6%でキープしていたものを水換えを行うと、必ず塩分濃度の乱高下が起こり、これは絶対に避けるべきであったと思われる。
換水をしなければならないときには、あらかじめ塩分濃度を調整し、その水を使うべきであったと深く反省している。
●塩分濃度の調整については、現状、内部に有効成分を到達させる殆ど唯一の方法である。
(注射を試みた他個体には、注射痕が化膿し、斃死が発生。そもそも免疫異常亢進系の症候群をきたしている際に注射等の刺激は強すぎて望ましくはない)
後にブログアップする問屋の生還組については、塩分濃度0.6%無換水で2015/3/7~本日まで継続しているので、塩の使用は禁忌とするべきではない。
●免疫異常亢進系の疾病であると仮定した場合、水温を過度に上昇させることは徒に炎症部位を拡大させるだけであると推測される。
●まつかさの原因については、環境・化学物質・原虫・細菌・ウイルス、餌料由来、その他様々であるのだが、起こる現象としては、免疫が異常亢進を起こし、自らの体を攻撃する現象であることが推測される。魚類ではなく哺乳類のケースでは、原虫や線虫を大量に宿した際にはそれらの代謝物が体内でアレルゲンやトリガーとなり、免疫の異常亢進状態を引き起こすことは既に判明している。この状態で哺乳類であれば一番必要なのは、抗生剤ではなくプレドニン等のステロイド剤を大量に投与することである。しかしながら、プレドニンは哺乳類用のステロイドであり、魚類には効果が無い。
この問題を解決するべく、私どもは2008年頃から魚類に対してステロイド的な効果を発揮する物質を探索し、幾つか特定し使用を試みたのだが、それらは濃度によっては魚毒性が強く、効果より先に魚が駄目になる代物ばかりであった。
今回、次項で御紹介する成功例で使用した「ブラモス7.1」には、5種の魚類に対してステロイド的に作用する物質を使用している。これは、レッドスターの特許技術を応用して魚毒性を失活させ、薬効のみを引き出したものである。

まつかさの治療には抗菌剤はもちろん必要だが、何より必要なのは
●魚体の免疫を異常亢進させた原因の排除(虫の場合は駆虫)
●ステロイド的に作用する物質
●考え得る全てのストレスを排除すること
この3点かと推測される。

治癒個体の経過と推測については、次項にて御紹介と致したく願います。

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まつかさについての推論と治療方針をその身を持って教えてくれたジャンボオランダ他、あまたの治験魚達に、心よりの感謝と哀悼を捧げるものであります。




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