039のつづきである。

この調子で読んでいくといつまでも終わらなくなるので核心に入ってゆくのだが、

「子ができなかったので妾を迎えて、金魚を飼育していた。女房が妊娠した妾に嫉妬して妾を惨殺するのだが、いまわの際に立ち会った金魚が妾の復讐をする為に女房に祟り、女房は魚と人間のあいのこのような化け物に変身してしまう。
 これこそが<らんちゅう>のはじまりであった。」
ということである。

男女の嫉妬怨恨に終始し、女房の嫉妬高じてらんちゅうが出来上がるのである。
子宝あるところに金魚がついて回るのも興味深い。
金魚はどこまでも妾の味方をし、忠実にあだ討ちをしようとしているのだ。

当時金魚の持っていた文化的側面
・金魚が遊郭につきものであったこと
・それに伴った男女間の愛憎問題(家庭を持って遊郭に入り浸る男)
・子宝を導く金魚(大名家や有力寺社のものであった時代の名残)
・わが身を捨ててでも忠実に女子供の生命を守る金魚
これらの重要な要素が見事に盛り込まれていてきわめて興味深い。

そして金魚愛好家には最も重要なこと、外から新しいものを連れてこなくても、手元で品種改良を行うことによって「らんちゅう」が出来上がっていったという史実までもが読み取れるのである。

つづく。