金魚にまつわる江戸時代の出来事として有名なものに、
「淀屋五代目・辰五郎の金魚天井」というエピソードがある。

大坂(現:大阪)の豪商・淀屋は、
町人の分限を超えた奢侈・驕慢を幕府より咎められ、
1705年に闕所(けっしょ/欠所)処分(財産没収)を受けた。

辰五郎は「夏屋敷」と称して、全て舶来のびぃどろで襖や障子をしつらえて、天井にもびぃどろを組み込み、そこに水を張り、金魚を多数放ち泳がせ、客人に披露していた。

まさに、家を潰す奢侈・豪遊のイメージそのものである。

当時、日本一の豪商と言われ、現在の金銭価格にして100兆以上を大名家に貸し付けていた淀屋を取り潰すきっかけに「金魚は一役買った」のである。

「夏屋敷の金魚天井」
日本一の豪商を潰すほどの「有りえない贅沢」のイメージ。

このことが「金魚=夏の季語」へと辰五郎以前・以後でははっきりと変貌を遂げたのである。

つづく。