メシアンの代表作、トゥーランガリラ交響曲。エサ=ペッカ・サロネンの初期の代表的な録音の一つです。ピアノはポール・クロスリー。イヴォンヌ・ロリオに学んだクロスリー。イヴォンヌ・ロリオが参加した録音も数多あるわけですから、演奏も次の世代に移り変わりゆく時期となります。演奏は85年録音。アメリカ・デビューは84年ですから覇気ある二十世紀音楽のスペシャリストとしての適性を示したものでした。ストラヴィンスキーの音楽も、三代バレエだけではありません。協奏的作品や、あまり取り上げられない作品にも目を向けています。作曲作品も発表しているサロネン。フィンランド出自で、若き才能として注目されました。58年生まれですから、現在は還暦を超えています。以降も、シェーンベルクをはじめとした二十世紀の録音は多い。老成とならずに、機動力を保っていて欲しい指揮者の一人です。作品は、指揮と、資金提供で大きく貢献したクーセヴィツキーの依嘱で作曲されました。こうした委嘱は財団を通し、著名な作曲家に依頼されます。同時期のものにバルトークの管弦楽のための協奏曲などがあります。こうした移植で音楽界を盛り上げることと、作曲家を支援し発表の場を与えるという意図もありました。49年にバーンスタイン指揮のボストン交響楽団によって初演。作曲家もしばしば録音、演奏に立ち会い、自身も詳細な分析を説明しています。ミュンフンの録音ののちには改訂が行われたりもしています。二十世紀、交響曲を作曲しない作曲家も多くなりました。メシアンの作品も分野としては異形です。通常の楽章数を超え、十もの楽章がある。

 電子楽器、オンド・マルトノの使用に、ピアノも加わって、独特の響きを加えています。メシアンといえば自身カトリックとしての世界観をしばし作品に投影します。オネゲルの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」、ジョリヴェの協奏曲といった作品にも、その独特の音響を披露しています。テルミンの模倣から始まったオンド・マルトノは、微妙な音程の表現を可能としました。シンセサイザーなどにも採用されるリボンコントローラーももちます。鍵盤を使用し安定した音程で表現もできます。強力なポルタメントで効果を上げる方がこの楽器らしい。時間の感覚の麻痺する静的な音楽と、大音響と推進力とは対比されます。こうした作品は若い指揮者が取り上げることが多く、古く小澤征爾盤もそうした期待に応えたものでした。

 

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