ラン・ランのフランス音楽をまとめた一枚です。2023年録音。サン=サーンスの動物の謝肉祭、ピアノ協奏曲第二番を一枚目。ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ、ドビュッシー/小組曲、フォーレ/楽園にて、/パヴァーヌ、ドリーブ/花の二重唱、サン=サーンス/トッカータ、/白鳥、ルイーズ・ファラン/練習曲 第10番嬰ヘ短調、シャルロット・ソヒー/無言歌(4つのロマンティックな小品 から第4番)、ジェルメーヌ・タイユフェール/ゆるやかなワルツ、メラニー・ボニス/小さな子供が眠りにつく、 リリ・ブーランジェ/明るい庭からを収録。有名無名を問わずに構成されています。管弦楽はネルソン指揮のゲヴァントハウス管弦楽団。もう一台、ピアノが必要な場合はジーナ・アリスが加わります。四手用に編曲された白鳥だけは多重録音でランランが演奏。動物の謝肉祭は白鳥を除いて、作曲者が生前の出版を禁じていた作品です。私的な演奏会での作品ということで、こちらには作品番号も与えられていません。現在では、作曲者の名前とともに思い出される作品の一つです。ラン・ランの意図は、こうした子供も入りやすい間口を提供することにあります。そのための選曲で、わかりやすさも追求されています。多くの作曲からとられています。動物の謝肉祭ではピアノが活躍します。優れたピアニストであったサン=サーンス。ナレーションを入れたり、管弦楽版もある作品。シリアスな作品としてとられている第二ピアノ協奏曲も、各楽章の性格も多彩な作品として知られます。管弦楽の重い響きはこの一枚の中では異質な響きです。サン=サーンスに続いたドビュッシー、ラヴェルといった作曲家からは保守的すぎると見られていました。さらに後世では「軽すぎる」という評も受けることになります。作品の総数は多く、全容に触れていない皮層な誤解もあります。作品はアントン・ルビンシテイン、ロシアに音楽をもたらした偉人の指揮、サン=サーンス自身のピアノで初演されました。作品には、ルビンシテインの作品や、ショパンを思わす楽想も現れます。動物の謝肉祭での様々なパロディと同様、様々な素材をシリアスな作品にも展開することができたのです。

 高い技術によって、初めて実現するものです。家族向けの構成の通り、技術は盛られた楽曲を楽しむ要素にすぎません。制作は真剣なもので、間口も広く奥行きもある。動物の謝肉祭に始まる娯楽性の高い構成。サン=サーンスの娯楽性も強かな職人的技と独創から生み出されたものでした。

 

人気ブログランキング
人気ブログランキング