2022年録音。レイチェル・ポッジャーの無伴奏ヴァイオリンのためのバロック作品集の第二弾。「すべて一人で」。史上もっとも塩素される無伴奏ヴァイオリンのための作品はバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータということになるでしょう。そして、中でも最も核心的な作品というと無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第二番の終曲、シャコンヌということになっています。本来は組曲の中の一曲であり、この一曲を抜くのはよろしくないという立場もあります。ポッジャーの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータは時代楽器の使用の全曲盤としては評価が高いものです。2013年の無伴奏ヴァイオリンのためのバロック作品集の第一弾は守護天使と名付けられました。第二弾はバッハの有名なトッカータとフーガ ニ短調に始まります。第一弾もバッハの無伴奏フルートのためのパルティータから始まりました。多くがバッハの無伴奏ヴァイオリンに感動します。本来は旋律楽器として最も性能を発揮するヴァイオリン。たった四本の弦で多くの声部を感じさせ織りなす世界が精妙だからです。バッハを軸にしながら、無伴奏ヴァイオリンのための作品はバッハには止まりません。ポッジャーが守護天使にとったビーバーのロザリオのソナタの終曲も、多声であることが作品の本質です。四本とはいえ、重音奏法を駆使。時代楽器のため弦の聴力も、ピッチも異なり、奏法も検証されています。ヴァイオリンを使用していますが、多声であることが大前提。歌う性格は追求されていません。無伴奏ヴァイオリン作品集、第二弾に当たる当盤はバッハとタルティーニというよく知られた作曲家の間に、ニコラ・マッテイス二世、ペドロ・ロペス・ノゲイラ、ヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ、ジョン・ウォルシュに、作曲者不詳の作品を挟み込みます。音楽史の他、一般の視聴からはこぼれ落ちたような作品のうちにも弦の性能を生かし、楽器の性能を拓いていったのでした。

 

ロマンのパガニーニ、イザイといった優れた奏者が生み出した無伴奏曲に、バルトーク、プロコフィエフといった二十世紀作品。主要な作品からはずれたところにも、いくつもの無伴奏ヴァイオリンが埋もれていることでしょう。ロマンの時代、無伴奏作品にクラヴィーアを補う試みが行われたことがありました。無伴奏作品は一つの楽器で世界を築きます。バロックを通しても、楽器の性能開発は続き、一本の楽器でも多声は完結されていたのです。

 

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