オケゲム世俗音楽全集

最古のポリフォニーによるレクイエム、それがはじめてのオケゲムのディスクでした。演奏はターナー指揮のもの。今回採り上げるのはロンドン中世アンサンブルの名高い「オケゲム世俗音楽全集」ですが、さらに名高いデュファイの「世俗音楽全集」の完全に余波を受けての制作ととらえていました。今日のタイム感も違い、その音楽の明確な違いを聞き取ることは難しいにしても、制作にはかなりな困難だったことが推察されます。オケゲム(1410~1497)の活躍した時代の不完全な楽譜。デュファイは研究が進み、多くの楽譜の復元が行われていますが、オケゲムの世俗音楽の研究はまだ途上。HMVでオケゲムを検索しても宗教音楽しかありません。当時の音楽の最高の精華は教会にありました。しかし、教会の外でも盛んに音楽が演奏され、ポリフォニーの目が開き始めていました。教会で活躍した作曲家たちが世俗音楽も残しています。
 結局、音楽を記譜という形で残したことからその音楽が残ったのでした。CD解説によるとオケゲム作品は譜面が残されていなかったり、当時の写本から復元したりなどいったん演奏用の譜面を作成するために多大な労力が払われたとのことです。細かい、構築物のようなオケゲムの宗教音楽同様、世俗音楽も作曲者自身の細かな配慮が払われています。500年前のポピュラーソングを当時と同じような形で鑑賞することは不可能ですが、声楽だけでなく、器楽にも細かな配慮が払われており単なる資料にはとどまっていません。ゆったりとした流れにのって安心して聞けます。
 古楽器のパイオニア、マンロウが演奏していたとき、人々の目に止まったのはその資料的価値ではなく、時を超えた演奏の生命力と、その音楽でした。単なる復元だけだったら忘れ去られた音楽、埋もれたままでもよいのです。現代の知名度からは想像しにくいのですが、当時の人々からは多大な尊敬を集めていたオケゲム。その死を嘆く多くの曲が今も残ります。

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