プラハ室内管弦楽団。原則的に指揮者を置かないアンサンブルです。原則的にというのは稀に指揮者を置いたマッケラス指揮のモーツァルトのようなディスクがあるからです。通常はオルフェウス室内管弦楽団などと同様の演奏スタイルと考えてよいでしょう。レパートリーもお国のチェコものが中心です。ドヴォルザークのセレナードはチャイコフスキーのセレナードとカップリングされることが多いようですが、この組み合わせだとドヴォルザークの素朴さがじゅうぶんに理解されず、つい味わいが拡散することが多いような気がします。たとえばカラヤンのディスクですがシンフォニックなチャイコフスキーに対し同じアプローチではドヴォルザーク本来の曲の良さが出てきません。もっと素朴なメロディなのです。
 このディスクは「ボヘミアの弦」といわれる特性をうまく生かしたスプラフォンのレコーディングでドヴォルザークのセレナード作品22を中心にヤナーチェク「弦楽のための組曲」とマルティヌー「パルティータ(組曲第1番)をカップリングしています。録音はルドルフィヌム(旧芸術家の家)。弦楽合奏なのでホールの響きは重要です。古い伝統的なホールの木質の響き。もともとヨーロッパのスタイルでの弦の重心は低いのですがホールがしっかりと受け止めています。録音に多くの日本人が参加しているのがうれしいところ。演奏自体は少しゆるやかで温暖なつくりですが、ドヴォルザークから連なるカップリングが魅力です。
 故佐川吉男氏がチェコの音楽を熱心に紹介してきました。民俗的なものとモダニズムの融合がユニークで紹介されたディスクを面白く聞いたものです。ヤナーチェクはマッケラスの集中的なオペラ録音でそのユニークな世界が認知されました。知られているのがシンフォニエッタだけではもったいないモラヴィア出身の遅咲きの天才です。そして、マルティヌー。この多作の作曲家の名前は実演でノイマンの演奏する「リディツェ追悼」という管弦楽曲で知りました。ナチスドイツの大量虐殺事件に取材したものです。30近い協奏曲などその破天荒な音楽性はまだまだ認知が十分だとはいえません。この曲集、弦楽合奏なだけに全体が微温的なのですがマルティヌーだけは鋭いところもみせています(ヤナーチェク作品は真価を発揮する前の若書きの作品)。マルティヌー作品、モダンなのにタイトルはパルティータとバロック的です。この二人が民俗音楽の芸術化の手本としたのがドヴォルザークの音楽。モダンへとつながって行く姿を時系列に沿って収録。民俗的音楽がモダンに向かう展開のサンプルを豊かな響きと充実したアンサンブルで聞くことができるのです。

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ユニークな編成のマルティヌーの協奏曲の映像みつけました
弦楽四重奏のための協奏曲 
本CD収録のパルティータ2楽章にも弦楽四重奏とトゥッティの対比があります