ショパン/ワルツ集
イギリスのピアニスト、スティーヴン・ハフのショパン、ワルツ集です。全集となっています。作品18は華麗なる大円舞曲(Grande valse brillante)となっています。このとき、ワルツではなく円舞と表記されることが多くなっています。円舞とあるように、本来は踊りを目的として発達した音楽でした。三拍子を基調とすることが多いのですが例外もあります。ショパンのワルツはサロンの音楽にはじまり、身体的な踊りを前提にしていません。作品番号を与えられたワルツが「華麗なる」ものとなったのはサロンで効果を発揮することを狙ったものでした。作曲時期も幅広く分布しています。この曲の人類の資産ともいえるリパッティのワルツ集のスタジオ盤は14曲が演奏されました。ブザンソンの最後となったリサイタルには病のため、引き切ることが困難。スタジオ盤には一曲足りないという壮絶な記録となりました。ショパンの死後も作品は発見され、通常は15番から19番とされるところまでがおさえられています。これに憂鬱なワルツ(KK Ib/7, A 1/7)をあわせての20曲。こちらにノクターン第二番をあわせたものをハフが録音しのは2010年のことでした。こちらに2024年、ニューヨークで新たに手稿譜が見つかり、真作と判定された一曲を新たに加えた一枚となったのです。ワルツを貫くものはリズムです。ショパンはウィーン風の表面的な華やかなワルツには反対でした。リズムを日本語表記することは難しい。一般的な律動とするとして、何を意味するのでしょう。音楽は時間に沿って流れます。装飾音も付され、速度は変わる。日本語の三三七拍子というものがありますが、実際は四拍子ですよね。拍子という言葉が意味するところも定義は難しいのです。 一方、ショパンの音楽はどこまでもわかりやすい。ショパンが否定したにしろ、ロマンの音楽家であったショパンの音楽で情動は大きな比重を占めています。演奏によっては特別に美しく、単なるわかりやすさを超えてくる瞬間があります。新たに付された一曲が14年の隔たりを経て加えられる。曲も番号順ではありません。人気ブログランキング
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