ヘンデル/アリオダンテ
97年録音のヘンデルの歌劇「アリオダンテ」。ミンコフスキ指揮ルーヴル宮音楽隊の演奏です。アリオダンテはオッター、ジネーヴラはリン・ドーソン。ポリネッソはエヴァ・ポドレスと声を揃えています。現代における優れた歌劇録音の一つ。ミンコフスキはヘラクレス、ジュリアス・シーザーとオッターを起用しました。騎士アリオダンテと王女ジネーヴラは愛し合っています。公爵ポリネッサは王位を狙い、ジネーヴラの不貞を疑われる工作をします。やがて悪事がばれて成敗されるという物語。基となったのが狂えるオルランドです。ヘンデルはオルランド、アリオダンテ、アルチーナという三つの名品を残しました。かつてはジュリアス・シーザーくらいであったヘンデルの歌劇録音です。今ではこの三作は多くの全曲盤があります。男性であるアリオダンテに女声があてられる。60年代後半、ヘンデル歌劇ではジュリアス・シーザーの録音を行ったカール・リヒターはカストラートのパートである外題役にフィッシャー=ディースカウの声をあてました。モダン楽器による堅牢な演奏は配役に男性、女性という構図を現代に寄せて再編したものでした。ヘンデルの歌劇の死後の二百年ほとんど忘れられていました。扱われているのは神話や歴史です。長いアリアは明瞭な旋律線を持っています。上演には多くの優れた歌手が必要です。中には失われた声であるカストラートがあります。メゾ・ソプラノ、カウンター・テナーが対応して再現されるものとなりました。そのためには時代楽器が登場し、作曲家の時代の響きが再現されるという下地が必要でした。聴き手もヘンデル時代の声の贅美に慣れる必要もあります。 そういった下地があってヘンデルのリバイバルが進みました。狂えるオルランドは異世界、魔法が扱われています。ファンタジーの要素を含み、そこに蠢くのは人間の感情を含んでいます。ヘンデルの歌劇は長大な歌にのり、感情が表出されます。現代的な視点で物語に没入できる娯楽作なのです。勧善懲悪で、バレエといった見せ場も盛り込まれています。ミンコフスキの演奏は劇性に優れ、歌手の精度も高い。人気ブログランキング