エルガー、ウォルトン/チェロ協奏曲
カピュソン兄弟。弟のゴーティエ・カピュソンのチェロ。エルガーとウォルトンのチェロ協奏曲です。パッパーノ指揮ロンドン交響楽団。2023年の録音です。ともに20世紀イギリスの作品。エルガーの作品は作曲家として創造力を保ち完成させた最後の大作です。第一次世界大戦は大きな憂鬱をもたらしました。1919年にはパリ講和会議。1920年には夫人の死がありました。エルガー自身も健康を害していましたし、作品の憂愁にも反映しているとされます。夫人の死の後は作曲意欲も大きく減退しました。以降、亡くなるまでの十四年、大作を生み出せませんでした。夫人は初演を耳にしています。エルガー自身の指揮、フェリックス・サルモンドのチェロ。これは指揮者コーツの演奏会を兼ねたものでした。コーツはほとんどの時間を自身に割きました。チェロ協奏曲の初演は芳しいものとなりませんでした。1919年、チェロをベアトリス・ハリスンとしたエルガー自身の指揮による録音が残ります。ウォルトン作品は59年に初演。初演を担ったミュンシュの指揮、ピアティゴルスキーのチェロ、ボストン交響楽団の同年の録音が残ります。二つの作品のおよそ40年の大きい隔たり。それでも録音で作曲家の意図を反映したものを耳にすることができるのです。エルガーの晩年も名声を保ち続けました。いったん埋もれていたチェロ協奏曲を代表する作品としたのが60年代のデュ・プレの演奏でした。 カピュソンの兄ルノー・カピュソンはラトル指揮のロンドン交響楽団のもと2020年、ヴァイオリン協奏曲を録音しています。ヴァイオリン協奏曲は演奏の機会も限られる作品。兄弟を通して協奏曲の代表作を聞くことができる。二人を育んだ音楽的な環境の賜物です。パッパーノの指揮も寄り添ったものとなっていました。人気ブログランキング