2005年J1第26節の柏vs神戸。もう知ってる人も多いでしょうが、誤審が起きてしまいました。

今回はその問題点を解説してみたいと思います。もちろんわかりやすく。

 

この誤審を理解するには「競技規則第3条 交代者の数」と「第12 ファールと不正行為」を知っていなければなりません。しかし本ブログではまだ第3条までしか掲載していませんので、解説のはじめに簡単に第12条について説明します。

 

 

<サンスポの記事(一部抜粋)>

「ルールの間違いだ」2つの誤審に神戸激怒再試合求め提訴

後半41分にMF小林亮が途中交代する場面。退く選手がピッチ外に出るまで交代要員はピッチ内に入れないが、同選手がラインを越える前にMF大野がピッチ内に入った。

その数秒後、片山主審はまだけいれんする右足を引きずりながらピッチ内を歩く小林亮に遅延行為でイエローカードを提示。同選手はこの時点でこの日2度目の警告となったが、同主審はそのとき2度目と気づかず、第4審判に指摘されてベンチに座っていた小林亮にレッドカードを出した。

厳密にいえば、小林亮は交代前に退場となるため、大野が出場することはできなかった。しかし柏は11人のまま最後までプレーを続けた。

 

<主要な事実>

 ① K選手がフィールドから退く前に、交代要員であるO選手がフィールドに入った。

 

    ② K選手はベンチに戻る際に、遅延行為をとられ警告を受けた。

(K選手はこの試合2回目の警告。)

 

 ③ 第4審に指摘され、ベンチにさがったK選手に対してレッドカードを示した。

 

  ④ Oの交代は認められ、試合終了までプレーした。

 

 

<解説>

○第12 ファールと不正行為

 本条には、ファールの規定とそれに伴う警告・退場の規定が書かれています。

そして今回関わってくるのは、イエローカード(警告)・レッドカード(退場)の規定です。

 

●警告となる反則

1.反スポーツ的行為を犯す

2.言葉または行動によって異議を示す

3.繰り返し競技規則に違反する

4.プレーの再開を遅らせる

5.プレー再開時に規定の距離を守らない

6.主審の承認を得ずフィールドに入る

7.主審の承認を得ず意図的にフィールドから離れる

 

●退場となる反則

1.著しく不正なファールを犯す

2.乱暴な行為を犯す

3.人につばを吐きかける

4.手を使って意図的に相手の得点を阻止する

5.そのファールがなければゴールが決まりそうなシーンで、ファールを犯す

6.攻撃的・侮辱的・あるいは下品な発言や身振りをする

7.同じ試合の中で2回目の警告をうける

 

今回は上記の赤字の部分の知識が必要です。

 

 

さて、解説にはいっていきます。

 

主審の誤審&ルール適用のミス

  適切な交代方法でなかったのに、交代を認めてしまった。(適切な方法は第3条参照

  2回目の警告にもかかわらず、レッドカードを示さなかった。

  でレッドカードを示しK選手を退場処分にしたのにもかかわらず、O選手のプレーの続行を認めた。

 

 

では、片山主審はどうすればよかったのか?

 

 

適切なジャッジ

 K選手がフィールドに入った時点でK選手に1度フィールドから出るように命じ、入場のやり直しを行う。

 

② 同じ試合で2回目の警告なので、K選手にイエローカードを示した後すぐにレッドカードを示し退場処分にする。

 

 K選手へレッドカードを示した時点(第4の審判に指摘されて誤りに気づいた時点)でO選手の交代を無効にし、O選手をフィールドから離れされる。なぜなら、K選手へのレッドカードは本来交代前に示されなければならなかったもので、でレッドカードの判定を行ったとき同時にO選手の交代も無効にしなければならないから。

 

 


<解説後記>

この一連の誤審の原因はにあると思いますね。交代が正しく行われていれば、主審に時間的余裕が生まれの誤審への連鎖を抑制できたのではないでしょうか。

 

たかが交代、されど交代!(笑)

 

しかし、この事件の中で唯一喜ばしいのが第4の審判の助言があったことです。助言の後にの誤審が起きてしまったことは残念ですが、本来審判は主審・副審・4審が協力して行うものです。そういう点で見れば、4審とのコミュニケーションはとれていたのかな~なんて思います。

 

 

<サンスポの記事>

まだけいれんする右足を引きずりながらピッチ内を歩く小林亮に遅延行為でイエローカードを提示』

 

いやですね~この記事の書き方。これでは片山主審がK選手に遅延行為で警告したことも誤審と言っているようなもんですよね。実際このシーンを見ていないのでなんとも言えませんが、片山主審=ダメ審判とイメージさせるようなこの書き方はなんとも心にひっかかります。

「知ってるよ、11人だろ!」って言わないで是非読んでください。この間Jリーグで起きた問題はこの規定に絡んでいます。また、2005年から変更になった部分もあるので、審判員の方は要注意です。

 

 

 

<競技者>

○試合は11人以下の競技者からなる2つのチームによって行われる。

○チームのうち1人はゴールキーパーである。

○いずれかのチームが7人未満の場合は試合を開始しない。

 

みなさ~ん、「未満」の意味分かります?? 別にバカにしてるわけじゃないですよ~。

この前、友達に「以下」と「未満」の違いがわかんない人がいたもんで(^_^;)

つまり一方のチームが6人になった時点で試合は終了です。決して続けてはいけません。練習戦として続ける分には構いませんが・・・。

 

 

ジャジャン♪ 突然ですが問題です。

Q.一方のチームが7人で試合(国際Aマッチ)をしている時(交代要員枠はすべて使いきっている)そのチームの選手が怪我をして、治療のためにフィールドから出ました。つまりフィールドには6人しかいません。主審はいかなる行動をとるべきでしょうか?

 

A.続きを読む、本文末へどうぞ。

 

 

<交代人数>(初心者読み飛ばしOKゾーン)

●公式競技会

FIFA、各大陸連盟、各国協会が行う公式競技会の試合では、いかなる試合でも最大3人までの交代を行うことが出来る。

<最低3人の交代人数が確保されています。>

 

○競技会規定の中には、3人から最大7人までの範囲で、登録できる交代要員の数を明記しなければならない。

<「この大会では交代要員枠は○人にしましょう!」って決めなければなりません。>

 

●その他の試合

 国際Aマッチにおいては、最大6人までの交代を行うことができる。

<国際Aマッチにおいては、交代人数が最大6人に制限されています。>

 

その他のすべての試合においては、次の条件を満たせば、6人を超えて交代することが可能

    ○関係チームが最大交代数について合意する。

  ○試合前に主審に通知する。

  <両チームが「この試合は交代無制限だ!!」と合意して、主審にこのことを伝えれば無制限もありということです。>

 

 

<氏名の届出>(初心者読み飛ばしOKゾーン)

  すべての試合において交代要員の氏名は試合開始前に主審に届けられなければならない。氏名の届けられていない交代要員は試合に参加できない。

 

 

試合前に、主審のところに言って・・・

「僕、中田っていいます。」

「僕、宮本」

「俺は名前変わって、三都主になったんですよ~。エヘヘ♪」

って言いにいくわけじゃありませんよ。

 

 

<メンバー表に名前を明記して提出しなければならないということ。>

 

 

 

<交代の手続き>

 0.第4の審判に交代を通告する。

 1.交代する前に主審に交代の通告をする。

 2.交代要員は交代によって退く競技者がフィールドの外に出た後で、しかも主審の合図を受けてからフィールドに入る。

 3.交代要員は、試合の停止中にハーフウエーラインのところからフィールドに入る。

 4.交代は交代要員がフィールドに入ったときに完了する。

 5.その瞬間からその交代要員は競技者となり、交代を完了した競技者は競技者ではなくなる。

 6.交代した競技者は、その試合に再び参加することはできない。

 7.交代要員は、出場するとしないとにかかわらず、主審の権限と職権の行使に従わなければならない。

 

 ○解説

0.競技規則にはありませんが、実際はこのような手続きがあります。第4の審判とはロスタイム表示や、ベンチコントロールをしている審判です。

1.少年サッカーでは第4の審判が「しゅし~~~ん!!」って叫んでいるあれです。気づいてくれないと悲しいです(>_<)

    Jなどの試合では4審が副審に伝え、副審がシグナルヒップを使って主審に伝えています。

2.各チーム11人以上がフィールドにいることがあってはいけません。さらに1度に大勢が交代する場合、入れ替わった人数が明確になるようにするためです。

3.OUTする選手は必ずしも入る選手と同じところから出る必要はありません。

5.これに絡んだ問題がこの間発生しましたよね。詳しくはコラムに掲載予定。

6.少年サッカーにおいて、同じ選手が何度も試合に復帰できるのは、「競技規則に関する注解」によるものです。

7.主審が絶対ということです。

 

 

シグナルビップシグナルビップ:フラッグについているボタンを押すと主審が腕につけている受信機が「ブルブルブル」と震えます。Jリーグなどの観客が多い試合ではスタンドの背景とフラッグの色がかぶって見にくかったり、声が聞こえにくいので「ブルブルブル」で主審と副審は交信するようにしています。「ブルブルブル」には夜以外にも使い道があったんですね~~(笑)

 



<ゴールキーパーの入れ替え>

 ゴールキーパー以外の競技者は、次の条件でゴールキーパーと入れ替わることができる。

  1.入れ替わる前に主審に通告する。

  2.試合の停止中に入れ替わる。

 

 少年サッカーで時々ありますよね~。また、Jリーグなどでは交代要員枠を使いきった状態でゴールキーパーが退場になった場合などに起こることがあります。

 

 

<違反と懲罰>

○主審の承認を得ないで交代要員がフィールドに入った場合

 1.プレーを停止する。

 2.交代要員にイエローカードを示して、フィールドから離れるように命じる。

 3.プレーを停止した時にボールがあった地点から、間接フリーキックで試合を再開する。

 

○競技者が主審の承認を得ないでゴールキーパーと入れ替わった場合

 1.プレーを続ける。

 2.次のアウトオブプレーになったとき、入れ替わった両選手にイエローカードを示す。

 

○本条その他の違反に対して

 1.関わった競技者にイエローカードを示す。

 2.警告をするために主審がプレーを停止したら、プレーを停止した時にボールがあった地点から、間接フリーキックで試合を再開する。

 


 

<競技者と交代要員の退場>

○試合開始時にレギュラーメンバーが退場させられた場合、氏名を届け出た交代要員の中からに限って補充することが出来る。

 <試合前にレギュラーが退場させられても11人で試合をすることができます。>

 

○試合開始の前後を問わず、氏名を届け出た交代要員が退場を命じられた場合は、その補充はできない。

 <交代要員が退場させられた場合は、補充することはできません。>

 

<チーム役員>

1人のチーム役員は、試合中に戦術的指示を競技者に伝えることができる。

 

<よくジーコと通訳がベンチから立ち上がって、選手に指示を出していますがこの場合通訳は人数に数えられません。>

 

○指示を伝えたら所定の位置に戻らなくてはならない。

 

<役員の皆さん、伝えることを伝えたらベンチに戻って座っていましょ~~。>

 

○全てのチーム役員は、テクニカルエリアが設けられている場合には、その中にとどまっていなければならないし、責任ある態度で行動しなければならない。

 

  <テクニカルエリアについては、後ほど解説予定です。>

 

 

 

 

 

A.主審は治療の間は試合を停止し、その選手が復帰できないと判断した時に試合を終了する。

 

 

投稿に少し時間があいてしまいましたが、これからもよろしくお願いします。

皆様のアクセス数が投稿の支えとなっております。

 

 

以前、サッカーボールには4号球と5号球があることについて触れましたが(正確には3号球もあります)

 

その他にも

 

「手縫いのボール(通称:縫いボール)」

         と

「機械による張り合わせのボール(通称:張りボール)」

 

2種類に分けることができます。

 

縫いボールは主に競技用、張りボールは主に娯楽用として使われています。
私の個人的な意見ですが、張りボールには縫いボールにくらべて「若干軽い」「皮革が薄い」「安価」という特徴があります。

 

現在サッカーボールはパキスタン、インド、中国、インドネシア、スペイン、ドイツ、ブラジル、アルゼンチン、日本などで生産されています

また人件費の問題上、先進国では主に張りボールが生産され、手縫いボールの多くは発展途上国で生産されています。その中でもパキスタンがその約70%をインドがその約10%を占めており、これら各国で深刻な問題が起こっています。

 

その問題とは「児童労働」です。

 

そして、その主な原因として

 

「貧困」

「技術革新」

「戸籍制度」

などが挙げられます。

<貧困>

最近は化学繊維の使用が増えていますが、昔はボールの材料として牛の皮革が使われていたことは皆さん知っていると思います。

(『第2回コラム ~サッカーボールの歴史~』参照。まだ読んでいない人はそっちを先にどうぞ!)

 

ヒンズー教では死は不浄とみなされ、牛の死体処理・皮剥ぎ・皮なめし・皮袋・皮バケツの製作という皮革関連の仕事は下級階級の仕事とされています。つまり貧困家庭がそれらの仕事を請け負い、結果としてその家庭の子どもが働くことになるのです。子どもが家計を支えるために労働に従事する。このことは児童労働によく見られる要因です。

 

<技術革新>

また「技術革新」も児童労働に大きく影響しています。過去においてサッカーボールの生産は熟練の技術が必要とされていたため児童労働の対象ではありませんでしたが、技術革新によって単純作業が増え、児童でも就労することが可能になりました。80年になる製造の歴史の中で児童が縫い合わせ作業に従事しはじめるのは約30年ぐらい前からです。

さらに作業の単純化は、サッカーボール生産を家庭での内職にすることを可能にし、またイスラム社会では女性は家庭での仕事が好まれるという事情もあいまって、児童労働に拍車をかけています。つまり、子どもが親の手伝いとして仕事に従事しやすくなるということです。

 

<戸籍制度>

ILO138号条約によれば、発展途上国では14歳未満で義務教育を終えていない児童の労働を禁止しています。日本のように戸籍制度が確立されている場合には問題はないのですが、戸籍制度のあいまいな国では年齢の確認が難しいのです。パキスタンやインドでは多くの年齢不詳の児童がおり、最終的には医者の鑑定によって年齢を決めています。鑑定を受けていない子どもたちは年齢をごまかすことが容易で、戸籍制度の早期確立が求められています。

 

 

 

さて、これらの子どもたちはどのような労働条件で働いているのでしょうか?

 

 

<賃金>

賃金は出来高払いで、インドでは1個完成させると質のよいポールであれば20ルピー(日本円で60円)ぐらいで、児童は1日で約1個、大人は34個ぐらい作ることができます。また質によって手間賃に差が設けられていて、質が悪いと1134ルビーにしかならないのです。このあたりの最低賃金は63ルビーですので、13個以上作らないと最低賃金にも達しないことになります。また児童が作るボールは力が十分でないために質の悪い場合が多いので、低い手間賃しかもらえていません。

 

<強制労働>

さらに問題なのは強制労働(債務労働)がみられることです。親が仲介業者から借金をして、その返済のために親とともにこどもも働くという事態が生じています。

そして特に問題なのは私語、失敗をした際にこどもを処罰することです。倉庫に閉じ込める・柱に吊す・むちで打ちつける・食事を与えないという人権を無視する取扱がなされているのです。また、失敗したり材料を無駄にした場合は賃金から差し引かれます。これに乗じて仲介業者がピンハネをし、計算能力の無いこどもの弱みにつけこむ場合もあります。

このような取扱に子どもたち自身は抗議をする手だてがありません。そもそも日本で言えば小学生程度の子どもたちに講義する能力があるわけがありませんし、抗議をすればただちに請負契約や雇用契約が切られるでしょう。日本のように公的扶助の制度はないし、労働組合が結成されたという報告もありません。

 


 

○各団体の対策

 

 

<リーボック>

リーボックは1992年に「人権に基づく生産基準」という企業行動規範が作成しました。この生産基準の中で強制労働や14歳未満の児童労働を利用する取引先と提携しないことを明言しています。

具体的な対策として、3名の監視人をリーボックが雇用しうち2人は人権団体で活動している者1人はアメリカの会計事務所に所属する者である。先の2名は子どもが働いていないかどうかを各工場や家庭に出かけてチェックします。この2名には予告なくいつでも工場や家庭に入って調査する権限を与えられています。あとの1名は会計帳簿を検査する権限を与えられていて、帳簿によって生産数を確認し、それによって従業員の数を予測します。そしてそれが現実の従業員数と食い違っている時は、児童労働の疑いが生じます。

 

<国際サッカー連盟> 

 国際サッカー連盟は19969月に労働行動綱領を定めました。これは労働・雇用に関する基本的ルールを順守して作られたボールにだけ、国際サッカー連盟のライセンスの使用を認め国際サッカー連盟が認可したというログマークをつけることを定めたものです。2002年の日韓共同開催ワールドカップでも同様な措置が取られました。このワールドカップではアディダスの取扱いの下、モロッコで子ども以外によって生産されたボールが使われました。

 

 

 

 日本は世界生産量の約7%のボールを消費しています。もしかしたら、今皆さんが持っているボールも子どもたちによって作られたボールかも知れません。プロ選手の移籍で何億というお金が動いている中、たった数十円で必死にサッカーボールを作っている子どもたちがいることを是非覚えておいてください。

 

 

 

参考資料:『パキスタン・インドにおけるサッカーボールの生産と児童労働』