「大丈夫かね?」と聞くと
「私、こう見えて『自然児』なんだよ」
札幌のこととて、道産子お馴染みの手稲山に連れていったら……それでも20分は歩いただろうか
「靴擦れしたから、もう無理」道ばたに座り込んでお菓子を広げだした
ひっきりなしに人が通る登山道である
「おいおい、ここで食べるのかよ(汗)」
某女優さんがエッセイに書いていた
この手の人種を「心のアウトドア派」と言うらしい
その妻が、筑波山を登りたい、と言い出した
「ほう?『自然児』かい?」と私もなかなかに執念深い
ここしばらく徒歩訓練をしてきたのは、いずれも平地、いつでも中断できるけれど、山の中はそうはいかないぜ
不安がる私を尻目に、妻はネットで行程を調べて、やる気満々
予定していた4日、土曜日は私が夏風邪で体調を崩したので延期した
ここ数年、季節の変り目に体調を崩していたけれど、今年は軽い。やっぱり徒歩訓練のおかげだろうな
そして5日、日曜日、5時起きで出発――寝坊すけの妻には珍しい、ホントに行きたいんだね
まだ高速も空いている、予定通り7時に到着

神社で道中(?) の無事を祈って、いざ出発
白雲橋を渡る
昭和14年の砂防ダム。苔むして風景に溶けこんでいるキレイに整備された登山道

山裾、ヒノキの人工林はボランティアで整備されていた

これは鋸山でも見た風景、樹木の根が浮き上がった血管のようだ

ギリギリまで迷っていたけれど、3本あるルートの内、白雲山コースを選ぶ、これが中級コース、のはず。
途中、難所アリ……難所の程度が分からない
白蛇弁天でナムナム

道中、小さな祠が随所に見られた
日本人にとって、山はご神体、自然崇拝の対象
筑波山は祷りの場所なのである
この辺りの岩、節理(割れ目)が水平に伸びている。その割れ方で各所に面白い形の巨岩が出来ているのだろう

これなんか、角度によってはガマに見える
筑波山麓男声合唱だ~ん♪
と、歌ってみる。ご機嫌だね
弁慶七戻り

豪傑も怖がるという天井の巨岩
梯子を昇って一段高い所に『高天原(たかまがはら)』の社

ここから下を見下ろすと、何となく神様目線
歩道は岩だらけ、だんだん悪路になってくる

ここで『自然児』に異変が――
岩につまづいてゴツンと脛を打つ……左脛のジーンズにみるみる血の染みが広がっていく
気持ちは前に進んでいたけれど、腿が思いのほか上がらなかった。街中ではこんな不規則な足の動きはしないからねえ
とにかく、ケーブルカーの乗り場までは歩かざるを得ない。ゆっくりゆっくり……
10時を回ると、登山道は銀座と化す
子供連れや団体さん――ロープウェイでショートカットしてきた人達だ
次々と抜かれていく自然児と私
ところが、妻はのん気なもので、行き交う人みんなに「こんにちは」と声を掛けている
手稲山の時と変わんないな――マイペース、自分の体力なりでの楽しみ方を知っている
大仏岩――足許の立て札を見て、どこが大仏?と思った。ふと見上げて驚いた

樹冠を突き抜け、遥か上に御座んした
筑波山の内、女体山頂上にて
ひゃっほう~!のポーズ

山を征服?……西洋人じゃあるまいし
日本人ファイミルは、霊峰・筑波山に登らせて頂いたのである
女体山からケーブルカーの山頂駅へ、もう一息
巨岩群の中でのお気に入り、ガマ石
下顎に並んだ小石――私にはゴジラの咆哮に見える

御幸ヶ原、ケーブルカー山頂駅――平地に観光施設が立ち並んでいる
その片隅に「紫峰杉、徒歩1分」の看板
閑かな歩道を辿ってみると
巨樹――推定樹齢800年

先端が何本にも枝分かれしているのは、風雪に耐えてきた証
幾度災難に遭おうとも、その都度、新しい樹幹が現れ、天へ天へと先端を伸ばしてきたのだ
そして良く見ると

樹幹の洞は苔むし、土となり、種が落ち、そこから新しい樹木が育っている
巨樹が大地となっている
植物でも動物でも、およそ生命のあるものは、桁外れに永い年月を経ると物の怪(もののけ)となり、神に近づく
最後に、有難いものを見たなあ
ナムナム……
かくて、ケーブルカーで山を下る
山裾の温泉で一休み
(但し、皮膚が破けて出血している妻はシャワーしか浴びれなかったらしい)
さて、次の週末は何処を歩こうかねえ、自然児さん(笑)

















