例えば歩きながら、TVを見ながら
或いはシャワーを浴びながら、はたまたトイレに座っているときに、
ふと口を突いて出る口癖がある
──ふぁいちゃん愛してるよ
愛猫ふぁいが死んでから、もう一年半になる。
それでも十数年言い続け、病気になってからは連日、背を撫でながら呟いた言葉。
もう私の脳みそから消えないらしい。
私のスマホの待ち受けは、今でも ふぁいである。
妻の待ち受けは既に あき・けいに変わっている。
私は脳の切り替えが出来ないらしい。
男は未練な生き物なのである。
アプリに保存されたアルバム。
スマホで撮った写真が時系列で並んでいる。その数、千三百枚。
タップしていくと、まず ふぁいの写真がズラズラと現れる。
香箱座りの写真、毛布にくるまった写真、団子虫で丸まった写真

その合間に、イベントで撮ったprediaメンバーの写真が入る。
妻の写った写真も、たま~にある。
やがて、ふぁいの画像は点滴に繋がれた写真となる。

病院の処置室で初めて点滴に繋がれた時──
頬杖ついて ふぁいを所在なげに見つめる妻の姿が残っている。
次第に、脳が冒され身体の歪んだ写真となってゆく。
もはやトイレにも行けず、硬直して横たわる姿をprediaのタオルが包んでいる。
prediaタオルは山ほどあるので、介護に何枚も使った。
猫ベットに安置され、線香を立てた写真。
火葬場で焼かれる直前、硬直した前足に花束が挟まれている。
その写真は十数枚ある。
そして、ふぁいの写真は終わる。
──火葬場の煙突の写真。
その後はブログ用に取り貯めた写真になる。
ふぁいの死をきっかけに書き始めたからだ。
本やCDの写真、地方の風景写真、そしてprediaの写真。
ある日、月子一族が裏庭に現れる──

それからは あっき・けいたの写真が続くようになる。

そんなスマホの写真をタップしながら、いつもの口癖が出る。
……愛してるよ
聞こえた妻は自分のことかと勘違いしたかも知れない。
でもまあ、勘違いしたとしても───
100パーセントの間違いでも、ない。
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