「石越ゆる 水のまろみを眺めつつ こころかなしも秋の渓間に」
おおたか静流(しずる)さんの声は丸い
滔々と流れる水のようだ
だから静流と名乗ったのかな、と思う。
ちなみに、以前、私はこの人の声を絃楽器と表現した
……違うな、木管楽器だ。音が丸いもの
15日、初台、近江楽堂にて
静流さんのアカペラコンサートを聴いてきた。
このコンサート、私は2回目、妻は3回目である。
私が1回少ないのは、prediaの初台ライブと重なったから。その日は駅そばのコーヒーショップで一服して、二手に分かれた。

近江楽堂は、都会にぽっかり掘られた聖堂のよう
白壁に角はなく、丸まって天井へとつながっている。
ごうごうと、微かに外気の風音が聴こえる。
このコンサートでは、静流さんは歌う「巫女」
一切おしゃべりをしない。
「歌声」に成り切る。
曲紹介は無言のフリップで行う、ゲスト紹介も――
前回、観たときのゲストは尺八奏者だった
今回は白人のリコーダー奏者。
竹竿のようにベらぼうに長い笛と、拳ふたつほどの小さな笛を使い分けていた。
長い笛はアイヌのムックリのような、ビンビンと弾ける不思議な音を発していた。
静流さんとふたり、歌声と笛で会話する姿は、エルフの戯れのようだった。
演目は日本語、外国語、織り混ぜて
でも、私は思った
やっぱり日本語がいいな
日本語って、母音が伸びやかなんだ
その母音が、円を描いて空へと昇っていく――
その内のー曲
CDで知ってはいた。
でも、なま音の広がり、全然違う
『I remember you』
♪
雨の日には雨が
風の日には風が
ヤサラ ヤサラ ヤサラ
きみを おもいだすよ
……
水は空に帰る
いのち空に返す
ヤサラ ヤサラ ヤサラ
きみも そらに かえる♪
や~さら やさ やさら~
静流さんの声を追うように、視線を上げた――

歌声は立ち昇り、この丸天井で渦を巻いていた。
先に、静流さんの声は水の流れのようだと書いた
でも、違った。
静流さんの声は、下っていく水の音ではない
立ちのぼっていく大気の音だ。
コンサートが終わり、私たちは初めて静流さんに声をかけた――
「十数年前、奈良県川上村の野外コンサートで聴いて以来、ずっとファンでした!」
そして妻とパチリ

巫女から人間に戻った静流さんは、
気さくで人懐っこく――
そのまま妻の友人のようだった。
このアカペラコンサート
歌声になり切るというコンセプトは素晴らしい
でも……
なんだか大人しい、上品過ぎるのだ。
静流さんが身体を揺すらせ、リズミカルに踊っても、
みんなも歌って……とばかりに耳に手を当てても、
観客は固まったまま
静流さんは、本来お茶目な人なのではないか、と思う。
例えば

このチラシ

↑
このイラストが微妙に似てる~(笑)
かつて川上村で、或いは京都のチャリティコンサートで観た静流さん
『おもいとげねば』
♪ひいよろ ひょろろ あほうどり
おもいとげねば かごのとり (ハイ!)♪
――小さな太鼓をポコポコ叩きながら、ステージ中を練り歩く。
『月がとっても青いから』
賑やかな和服の袖を振り、希望に満ちた歌を弾けながら歌う。
そんな静流さんも観たい!
でも、とりあえず
今回、伝えられて良かった――

Arigato!