白い服着た | 空はどこから/猫の長靴

空はどこから/猫の長靴

日記は苦手だけど、何があって何を思ったのか、あんまり分からなくなるのもねぇ(´Д`)
だからちょっとだけ、記録を残します。

「白い服着た少女のようには、いかないのデスヨ…」

主人公もりちゃん(女子大生)が下宿先の子、まーちゃん(幼稚園児)に呟く言葉。
もりちゃんは卒業と同時に故郷へ帰り、お見合いをすることになっている。

これ、樹村みのりさんの『菜の花』のワンシーン。



みのりさんは、私の敬愛する漫画家さんである。

みのりさんの作品はシリアスなものでもコミカルなものでも、底に流れている想いが終始一貫している。

それは
「人間は善い者である。
だから人が誰かを傷つけたとしたら、
それは何かの間違いである」

人間は悪いものだ、汚いものだ

と言ってしまった方が、気持ちは返って楽になる。

でも、みのりさんは人間は善だと信じることを諦めない。

そして、現実をみつめる。

だから、痛々しい。



単身、ナチスのユダヤ人収容所跡を訪ねている。

「13歳の時からずっと、強制収容所のことを考えてきました…」

彼女には納得出来ないのだ。

人間は他者に対して平気で残酷なことが出来る存在だ
ということが。

(私も小学生の時、ナチスがレジスタンスを虐殺する小説を読んで、食事が喉を通らず寝込んだことがある)



ただし、誤解のないように

みのりさんの作品は、コミカルなものが多く、基本明るい。

人間の善良さを信じ切る人だから、本物のポジティブさを持っている。


冒頭の『菜の花』は『菜の花畑シリーズ』のプロトタイプ



このシリーズの最終話
『菜の花畑は満員御礼』が懐かしい。

この回、謎の老人が登場する。
幼いマアちゃんは、生まれて初めて、
人は誰でもみんな歳を取り、やがては「死」んでしまうのだ、と知る。

ため息をつくマアちゃんを、モリちゃんはギュウっと抱きしめる。

こんな時、どう答えたらいいのか分からない、と落ち込むモリちゃんに、
謎の老人が微笑む
「あんたはちゃんと答えたよ」


そして老人は、初老の家政婦、岩子さんの思い出を語る。

それは終戦の日
大人たちがしょげかえっていた夏の日

岩子さんは突然、大事に大事にとっておいたワンピースを着て街を歩きたくなった

ワンピースは薄いクリーム色に小さな白い花柄の、軽くてきれいな夏服だった

人に見せるとか、みんなを驚かせるとか、そんな気持ちじゃなかった

ただ、彼女はお日さまを見上げ、
焼け跡の街を

ずんずん、ずんずん

歩いていった…

岩子さん青春のときだね。



この最終話、高校の授業をサボって喫茶店で読んだ。
大学生活はムチャクチャだったが、高校でサボったのはこのー回きりだった。

私の青春のときである。




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