イラクの報復攻撃に伴い1バレル一時110ドルを付け、今90ドル。

 

 

2022年ロシアによるウクライナ侵攻時は1バレル=100ドル。

 

当時、一時的な供給ショックとみなされていましたが、原油価格・インフレ率が高止まりにより、

 

米連邦準備制度理事会・欧州中央銀行は利上げを実施。

 

 

前回ロシア(供給国)からヨーロッパ(消費国)への供給ライン(パイプライン)の途絶でありましたが、

 

今回は中東産油国から東アジアンへの供給ライン(ホルムズ海峡)の途絶であることから、

 

特に中東依存度(95%)が高い日本にとっては、原油備蓄が250日程度あものの、

 

アメリカ・イスラエルvsイランの緊張が早期に緩和することは重要です。
 

中東依存度:

経済産業省 石油統計速報 令和8年1月分 

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sekiyuso/result.html

 

石油連盟 エネルギー基本計画の改定に向けて

https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/061/061_009.pdf P.12、13

 

日本の備蓄状況:

資源エネルギー庁 石油備蓄の現況

https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl001/pdf/2026/260216oil.pdf

 

その他一次エネルギーの状況:

資源エネルギー庁  エネルギー動向(2025年6月版) LNG(2023年度 中東9.4%)、LPガス(2023年度 中東4.7%)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/energytrends/202506/html/s-1-3.html

 

日本と中東の貿易関係:

JETRO 資源などの物流の要衝、ホルムズ海峡の状況(中東)

 

JETRO 2025年の日本の中東向け輸出額は前年比10.6%増、自動車輸出が増加、中東からの輸入額は11.1%減
(中東、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、日本、クウェート、カタール、オマーン)

 

 

 

<専門家の評価と予測>

 

JETROは2026年3月3日に「トランプ米大統領がイラン攻撃成功を発表、長期化による経済・政治的リスクの懸念も」(

https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/03/1ee3a8d409cccc38.html)と題し、

 

米国のシンクタンクの分析に基づくと紛争になる(長期化・泥沼化する)可能性について、紹介していました。

 

外交問題評議会(CFR)(国際政治経済ジャーナル「Foreign Affairs」発行)の分析

 

・ハーメネイー師を排除することは、政権交代と同義ではない。イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)こそが政権そのもの

・空爆だけでは政権交代という目標を達成できる可能性は極めて低い一方、もし米国が地上部隊をイランへ投入すれば、甚大な犠牲を伴い、作戦失敗のリスクが飛躍的に高まると警鐘

・大統領は、(政権交代の)目標を引き下げるか、長期化し苛烈を極め、失敗に終わる可能性のある軍事作戦をリスクとして負うかの選択を迫られると分析

 

戦略国際問題研究所(CSIS)の分析

 

・作戦は、イランとの長期にわたる紛争の始まりである可能性が高い

・今後、管理が困難となる広範かつ拡散した紛争へと変貌する可能性がある

 

 

 

<輸送船の護衛・保険>

 

イラン・イスラム革命防衛隊は、ホルムズ海峡の航行にイランの許可が必要と宣言、

 

暗に米国・イスラエル(今回の攻撃に賛意を示した国)のタンカー等に対しては許可しないという海上封鎖を宣言。

 

タンカー等のGPSに対してジャミング(妨害電波を 出して GPS を使えなくする行為)とスプーフィング(偽の電波を出して偽の位置情報を利⽤者に表示さ せる行為)等を実施という報道も。

 

 

事態の緊迫化・悪化に伴い、

 

海上保険(戦争リスク)の急騰・引受停止により、ホムルズ海峡でタンカーが停船。

 

GPSに頼らずに渡りきろうとする一部船舶もあるようですが、

 

無保険で事故った場合には、社員の人命のみならず、数百億円のタンカーもパァーとなり大惨事。

 

 

これに対し、トランプ大統領は3月3日ホルムズ海峡を航行するタンカーなどに保険支援と海軍が護衛を指示。

 

 

ただ、専門家によると、保険であれば保障責任の範囲・制度設計・法的根拠・財政負担という問題の解決

(政治的な表明だけでは民間の保険市場を動かすには不十分であり、制度として機能するまでには相当の時間)、

 

護衛であれば護衛艦が数隻展開されたところで全商船をカバーすることは不可能

(「護衛する」という表明と、「商業航行が再開できる」こととは、別の問題)とのこと。
 

 

なかなか進展していません。

 

 

また、ホルムズ海峡を迂回するルートも手一杯の状況のようです。

 

 

GPS:

日本海難防止協会情報誌

【特集】GPS への妨害~ ジャミング・スプーフィング ~

https://www.nikkaibo.or.jp/pdf/607_2025.pdf

 

CNN 戦争の武器として台頭するGPSジャミングやスプーフィング、民間の船にも深刻な影響

 

保険と護衛:

ロイター トランプ氏、ペルシャ湾タンカーの保険支援を指示 海軍が護衛も

 

川嶋章義氏(海運トレンド発信)

 

代替ルート:

LogisticsToday 海と空の代替ルート、すでに限界

 

 

 

<原油備蓄放出>

 

高市首相が11日に、民間備蓄15日分、国家備蓄1ヵ月分の放出についてコメントされました。

 

同日にIEAからは過去最大量の備蓄放出に関して合意とのニュースもありました。

 

さらに、アメリカが、これまで否定的であったインドのロシア産原油の購入について、容認する構えを示し、

 

日本のみならず、各国各方面から、今回の原油逼迫を緩和しようと備蓄や制約を取り外す動きが出てきています。

 

 

ただ、日本の場合、石油精製物・石油化学製品の最終需要が縮小していく状況下で、

 

昨今の脱炭素や経営効率の改善(ROA・ROE、資産・資本効率の改善)の流れもあり、

 

様々な石油精製物ができる中東の原油をメインに精製してきたことから、

 

成分が異なるその他の地域からの原油で直ちに以前と同じものが精製ができるとは限らないため、

 

現場の方々の力に掛かっている状況になっているものと推察します。

 

 

例えば、アメリカのシェールガスからはエタン→エチレン及びプロパン→プロピレンと精製できますが、

 

ブタジエン、イソプレン、芳香族等を精製できないみたいな感じです。

 

 

それでも、原油相場がジワジワと上がってきていますし、背に腹は代えられませんし、

 

一刻も事態が収束することを祈っています。

 

 

備蓄放出・制限緩和:

首相官邸 イラン情勢に関する政府の対応についての会見

 

IEA 原油備蓄放出

https://www.iea.org/news/iea-member-countries-to-carry-out-largest-ever-oil-stock-release-amid-market-disruptions-from-middle-east-conflict

 

ロイター IEA、最大規模の石油備蓄放出勧告へ 計4億バレルと関係筋

 

 

Treasury Secretary Scott Bessent氏

 

日本経済新聞 インドのロシア産原油購入を容認 米財務長官、原油高受け転換

 

石油製品の需要:

石油連盟 エネルギー基本計画の改定に向けて P.18

https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/061/061_009.pdf

 

産地毎の原油の特性:
EIA Crude oils have different quality characteristics(July 16, 2012)

 

kinds-of-crude-oil

 

石油精製物:

経済産業省 GX実現に向けた投資促進策を具体化する「分野別投資戦略」 分野別投資戦略参考資料(化学) P.9、P.2

https://www.meti.go.jp/press/2024/12/20241227006/20241227006-3.pdf

 

出光興産 基礎化学品とは?

 

 

 

<一次エネルギー以外の主な輸送物資>

 

中東依存度(95%)が高い日本にとって、原油が問題となりますが、

 

ホルムズ海峡を通る重要な物資として、化学肥料原料(窒素(尿素)、リン酸()、カリウム(硫酸カリウム・塩化カリウム))があげられます。

 

 

Kirill Dmitriev氏による投稿では、

 

硫黄の約44% 尿素の約31% アンモニアの約18% リン酸塩の約15%がホルムズ海峡経由とのことです。

 

 

 

日本の場合、輸入相手国は、

 

尿素:マレーシア(74%)、りん酸アンモニウム:中国(72%)、塩化カリウム(78%)と

 

ホルムズ海峡の影響を受けにくいように思いますし、

 

備蓄(3ヵ月分)や補助金(2022年ロシアウクライナ侵攻時)などもありますからそこまで影響はないかもしれませんが、

 

そもそも食糧自給率が高くなく、世界の原材料相場の影響も受けやすいことから、

 

昨今のチョコのように、徐々に値段が上がる可能性もあります。

 

 

ホルムズ海峡の閉鎖が長期化した際に、

 

各国で、適切な時期に適切な量の肥料の散布ができなくなった場合には、

 

食物の不作や価格高騰などあるかもしれません。

 

 

日本の化学肥料原料の輸入相手国、輸入量:

農林水産省 肥料をめぐる情勢

https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/attach/pdf/index-225.pdf P.4

 

肥料危機によるリスク:

フォーブス・ジャパン 石油の陰に隠れた危機──ホルムズ海峡と天然ガス・窒素肥料、世界の食料リスク

 

ニューズウィーク日本語版

ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
How the Iran war could create a ‘fertiliser shock’ – an often ignored global risk to food prices and farming

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2026/03/589969_1.php

 

 

 

色々まとめていたら、とても便利でより良いものが発表されていました

 

みずほリサーチ&テクノロジーズ

原油高の長期化が企業業績に与える影響 原油価格100ドル継続で付加価値額は1.2%減

https://www.mizuho-rt.co.jp/business/research/report/pdf/express-jp260313.pdf

 

 

 

また、何か関心のあることがあったら、記載しようと思います。