映画の考察動画とか見る機会が多くなったせいか、youtubeの映画広告で気になる映画をチェックしてしまいます。
この作品は数年前にやっぱりyoutubeでCMを見た覚えがあって、気になっていた作品でした。内容は大人向けのグリム童話って感じでしょうか。
オリジナルな内容ではあるんだけどシンデレラや白雪姫のようなお話しをしっかりと踏襲してるんですよね。
ヴァンサン・カッセルでカンヌと来た時点で想像つくでしょ、どんな感じか。たぶん想像の通りです。
このお話しでは3つの王国の女達の欲望が描かれてるんですが、それが露骨すぎて見るに堪えないまでの愚かしさもあって、なかなか面白かったです。
ある王国に子宝に恵まれない王妃がおり、魔法使いの助言で乙女に調理させたシーモンスターの心臓を食べれば懐妊すると言われます。心臓は手に入れたものの王が帰らぬ人になってしまいました。王を愛してるから子が欲しいじゃないのよ、ただ子供が欲しいって王妃の欲望なんです。亡くなった王には見向きもせず、シーモンスターの心臓を食べた王妃は懐妊しましたが、調理した娘は処女ではなく彼女もまた同時期に出産してしまいました。母親が違うのに瓜二つの男の子が生まれます。王子のエリアスと召使のジョナ、まったく出自の異なる2人でしたが2人の絆は日増しに強まっていきます。夫亡きあといずれ王になる身の息子にジョナを近づけまいと案じた母の気苦労も息子の心を変えることはできませんでした。この王妃見てたら金田一耕助シリーズの「悪魔の手毬歌」のいしだあゆみさんを思い出してしまったわ。顔というか雰囲気が似てる~娘可愛さに暴走しちゃう感じとも。この映画でも常軌を逸した母の愛はやがておぞましい姿へと変じるのでした。お話しの救いはエリアスとジョナが本当の兄弟のように固い絆で結ばれていることかな。
ある国には多情な王がおり、国中の女達と手あたり次第に快楽にふけっていました。王はある夜美しい歌声を聞きます。城下を見下ろすと、一軒のあばら家にローブ姿の人影が見えます。彼女こそ歌声の主に違いありません。興味に駆られた王は宝石を持参して彼女を口説こうとしますが・・彼女の正体は老婆だったのです。老いた姉妹は慎ましい暮らしをしていましたが、王に見初められてしまい引くに引けなくなっていきます。なんとか貧しさから脱したいとあらゆる手を使いますが、老いはどうにもなりませんでした。機転を利かせた姉のドーラは妹の指を鍵穴から差し出し王を誘惑します。何度も舐めていたおかげかその白魚のような指にむさぼるようなキスをする王。この映画では指ですが、その昔、手フェチの男性が美しい手の虜になるって漫画を見たことありますね。あの作品思い出しました。ただもちろんこの王が欲しいのは余すところない欲望なので指だけでは満足しません。どうするのかなって思っていたら、なんとドーラはシワだらけの肌を糊付けしてピンとさせ、全身をすっぽりとローブで覆い、さらに恥ずかしいから明かりを消して欲しいと王にねだり聞き入れられます。抱いたのが老婆だと王が気づいたのは翌朝のことでした。恐ろしい~~~。そこは夜が明ける前に帰んないと。激怒した王は窓から彼女を投げ捨てさせます。木に引っかかりからくも永らえたドーラでしたがあまりの仕打ちに打ちひしがれます。そんなドーラを救ったのは通りすがりの魔女でした。可哀そうによしよしと介抱して母乳を飲ませる魔女に抱かれる老婆、これが芸術なのかわかりませんがシュールな図でした。その効果は目覚ましく老婆はあっという間にうら若き美女に変貌します。一度は諦めるしかなかったチャンスが再びドーラに巡ってきてしまいます。狩の途中で若返ったドーラを発見した王は一目惚れしてしまい彼女に求婚して二人は夫婦になってしまいました。それでめでたしめでたしとはいきません。よせばいいのにドーラは結婚式に老いた妹を呼び寄せ己の正体を明かしてしまいます。「二人だけの秘密ね」なんてあるはずもなくことあるごとに妹は王妃が姉のドーラだと言いふらします。分別のない妹を持て余すドーラでしたが、王に見つかり老婆がすっかりトラウマになった王は妹を追放してしまいます。ドーラだけずるい、私もって意固地になった妹はやがてとんでもないことになってしまい・・・・そしてドーラの魔法も解け、まるでシンデレラのように泣きながら彼女は王宮を去るのでした。ドレスを売って美味しいものでも食べればいいのに、欲張るからダメなのよ。ドーラもまた手に入れたと思った瞬間全てを失ったなんて残酷ですよね。老いても女性だというのはわかりますが老婆の妄執が凄まじくて視覚的にもかなりドン引きな内容でした
ある王国には国王と王女が暮らしておりました。年頃になった王女は素敵な殿方との婚姻を夢見ますが、男親ならではなのか娘の婚姻に王は消極的でした。それどころかペットにしたノミに入れあげます。やがてカバほどの大きさになったノミ・・・マジか。可愛がっていたノミを亡くしてしまい心にぽっかり穴があいた王でしたがついに娘の婚約者を募るおふれを出します。王のメンツのあまり思いがけない相手との婚姻をしぶしぶ了承することになってしまうあたり童話でよくある展開ですよね。王女の結婚相手に選ばれたのは岸壁に住み獣を狩って暮らす蛮人でした。彼を忌み嫌った王女は脱出を試みますが失敗してしまいます。助けにに来てくれた軽業師の人イケメンだったのに~~。怯える王女を前にしてなんとか怒りをおさめた夫でしたが、王女がほだされることはありませんでした。よく男は見た目じゃない中身だよとかいいますが、いやいやいややっぱり見た目って大事なんよ。それに一生あんな穴倉で暮らせないじゃない。結局夫を葬り去った王女は変わり果てた姿で帰還します。メンツの為に娘を手放したものの、やっぱり後悔していたらしく王もまた王女の帰還を喜ぶのでした。
この作品の見どころはやっぱり映像です。老婆を推してくるあたりかなりハードル高いんだけど、全体的に好きな雰囲気でした。おとぎ話なんだけど結末は現実的でシビアでした。私は「ブラザーズ・グリム」より「五日物語」の方が好みかもしれない。