2人の美女、「OLD」のトーマシン・マッケンジーと「ザ・メニュー」のアニャ・テイラー・ジョイ出演の作品です。この2人は美人でかわいい。
最初はyoutubeの広告で見て興味を持ち、おそらくホラーだろうと期待値高めで見ました。
かといって60年代カルチャーは詳しくないのでいまいちわからない
トーマシン演じるヒロインエリー(エロイーズ)はド田舎からロンドンに上京してきてソーホーに住むことになった服飾デザイナー専攻の学生です。女優さん自身18歳とのことなので初々しいフレッシュさがありますね。
一方エリーの夜毎の夢に登場する女を演じるのはアニャ・テイラージョイ演じるショーガールのサンディ(アレクサンドラ)です。彼女もまたステージに立つために意気揚々とショービジネスの世界に飛び込んだのですが、華やかな世界の裏側は生々しく醜悪な男社会でした。
作品を見る前は「ネオンデーモン」とか「ブラックダリア」みたいな感じ?って思ってたんですが、あそこまでの猟奇的表現は皆無でした。真相はかなり猟奇だったのにね。かと言って「プラダを着た悪魔」ほどヒロインの成長する過程を描いているわけでもない。しいて言うなら甘い誘惑には裏があるから気をつけなさいって教訓映画なのかな。60年代はまだ混沌とした時代だったし職業選択の自由や男女平等なんて概念すらなかったでしょうから。
サンディの選んだ男は最低最悪なクズだったのに対し、エリーが選んだ男性は優しくて穏やかでエリーの良き理解者である裏表のない好青年でした。しかも若干ポリコレ感もあったな。いい子なんだけど友達にはなれても彼氏じゃないよねって感じ。たぶんヒロイン役の女優さんのタイプで多少作品のバランス調整があったような気がしますね。汚れ役はサンディが引き受ける代わりにエリーは闇の世界を垣間見るだけで綺麗なままでいられるっていうか。エドガー・ライト監督がどこかパパ目線になっちゃったかな?って気がしました。
正直言って、ホラーとして見ると物足りない作品でした。ヒロインが汚れたり(サクランみたいに好青年かと思いきや・・・とかね)挫折(デザイン盗まれるとか)してもよかったかなって。でもそこはやっぱりトーマシンの魅力といいますかそうはならなかったね。同じように夢があって輝いていたサンディが男達に食い物にされて堕落していく様は見ていて胸糞なものだったので対比としてはいいかもしれません。
サンディの末路を考えると、サンディがこれから夜の世界に飛び込むシーンで颯爽としていた姿をふと思い出して空しい気持ちになります。彼女が話しかけたバーテンダーも客たちも彼女が堕ちることを承知で何食わぬ顔をして値踏みしてるんですからね。知らぬは頭がお花畑の当人だけっていうね
残酷な世界をあつ森で妄想再現してみた
次々とくる客たちに様々な愛称で名乗るサンディー(アレクサンドラ)。そのワンショットが次々と切り替わっていくんだけどアニャの表情が見事だったな。こっちまでもらい泣きしそうになった。あの店にいた男性ほぼ全員がグルっていう胸糞さ。この映画見ると男性不審になりそうただサンディは強い女だからやられっぱなしじゃないのよ。
エリーの方も順風満帆とは言えません。ルームメイトがかなり嫌な女でマウントとってくるしイジメてくるのよ。信用できない相手からもらった飲み物は飲んじゃダメだって何が入ってるかわかんないでしょ。(ペッとかしてるかもよ)それが嫌になり一人暮らしを始めた部屋では夜な夜な悪夢にうなされるとか夢にも逃げ込めなかったか。エリーは母を幼い頃に亡くしておりその姿を今も視てるんですが、それについては幽霊を見ているというより残留思念のようなものを見ているのかなって思いました。単純に幽霊だって言ってしまうと辻褄があわない気がするので。ただあの部屋で寝ていたら悪夢も見るよね。あの場所が「現場」だったにしては気づかないあたりがファンタジーな設定すぎるかな
大家さんの役の女優ダイアナ・リグさんはこちらの作品が遺作になってしまったそうですよ
ぶっちゃけこの映画はトーマシンのフレッシュさで方向性が希望のあるものになったと思うし、アニャ・テイラー・ジョイが異彩を放って最低限の面白さは保証してるけど、ホラーとしても中途半端だし青春映画でもないし、こういったら失礼だけど「世にも奇妙な物語」レベルですんじゃいそうなお話しでした。ってかよくあるお話しだって印象です。後半なんて錯乱したトーマシンがロンドンの町中を疾走してるイメージしかない。観光案内かな?って思いました。(京都ミステリーでやたらと景勝地歩き回るのと同じ感じかな)ソーホーっていうからアメリカの方かと思ったらロンドンだったし、かといってロンドンの良さがそこまで出てる感じでもなかった気がしました。
なんだろう期待値が高すぎたかな。シナリオのせいなのか構成のせいなのか撮り方のせいなのか。もう少しなんとかならなかったのかなあって感じですね
男女で意見もわかれそう。少なくとも私は見て不快な気持ちになったので