夜着に着替えて寝台に横たわった直後、窓が開く音がして王が帰還した。まさに間一髪だったようだが私は寝たふりを続けた。
やがて彼がまとった香水がふわりと漂い寝台がきしむ音とともに王が寝台に滑り込んできた。それもいつものことだったが、戻られたことに安堵してしまう。
「どうやら寝たらしい。ならば起こすまい」
ライザール様が私を覗き込み窺う気配を感じながら心の中で応じた。
――お帰りなさい、ライザール様
やがて隣りからかすかな寝息が聞こえてきて安心したからか今度こそ本当に訪れた睡魔に抗えそうもなかった。
私より遅く寝て早く起きるライザール様の寝顔を見たことはなかった。だけどライザール様も私の寝顔を見たことはないのだからお互い様だった。
いつかそんな日がくるといいのに
今の私にはそう願うことしかできなかった。